津波跡地のモンシロチョウ
津波跡にはチョウの姿が希薄だった。これまでに見かけたのは、モンシロチョウ、モンキチョウ、ベニシジミ、ヤマトシジミ、ツバメシジミ、キタテハ、ヒメアカタテハ、キアゲハ、イチモンジセセリ、それぐらいでしかなかった。
今回、モンシロチョウが大発生した。これまでにも食草となるもの(スカシタゴボウとマメグンバイナズナ)は非常に多かったのだが、個体数は少なく、砂浜で外来種オニハマダイコンに産卵しているのを確認した程度だった。
チチコグサに静止するメス。
草むらのなかで交尾するものが十数組見られた。
これが津波跡の農地で発生した姿を最も象徴するカット。一面に生えたケイヌビエの穂で交尾する雌雄。
ガマの葉で交尾する雌雄もいた。これも農地跡が湿地になった津波跡を特徴づける場面のひとつ。
気温が高いので敏感で近寄りづらかったが、草むらのなかでは翅を開いている雌雄もみられた。
これが今回食草となっていたスカシタゴボウ。春から津波跡地に多数が生えていた。
成虫が好んで集まっていたアメリカタカサブロウ。
翅が伸びるか伸びないかのうちに、早速オスに見つかって交尾が成立。
そこにさらに他のオスが何度も求愛していた。
水面に浮かぶガマの葉裏でモンシロチョウが羽化している。何とも奇妙な光景だ。こうした非日常が、津波跡ではあまりにもたくさん起こり続けている。
9月29日、名取市