『幻の旅路』を読む 第2章−3 イギリス | 『幻の旅路』大湾節子のブログ

『幻の旅路』を読む 第2章−3 イギリス

1Fundao,Portugal19860403
1. Fundao, Portugal 1986.04.03


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大湾節子さんの『幻の旅路』を読む。(8)
2016年04月24日 12時00分00秒
テーマ:『幻の旅路』を読む


スリランカの留学生 (P73)
彼のような発展途上国から来た留学生は、ロンドンなどの大都会で大学を卒業したら、何か道が開けると信じている。
しかし、英国のように伝統はあるが保守的な国で、こういう若者たちがどこまで入っていけるだろう。
彼が失望するようなことは言いたくないが、どこの国でも地位もお金もない外国人が生活していくのは楽ではない。
頑張ってね、と月並みの励まし言葉で別れる。



3Portalegre,Portugal19860404
2. Portalegre, Portugal 1986.04.04


5CatelodeVide,Portugal19860404
3. Catelo de Vide, Portugal 1986.04.04


ポルトガルの留学生(P74)
「ポルトガルの留学生」の節では、大湾さんが6枚の写真を公開しています。
本文の読後感の前に、写真を見た感想を書きます。

74頁の写真(上)
「ポルトガル 清いタメガ川の橋の上からアマランテを望む」 1986.04.02
NHK のBSプレミアムで「関口知宏のヨーロッパ鉄道の旅」というシリーズが先月放送され、私の妹が外国旅行が好きなため、録画を頼まれました。
平日の朝、15分ずつ放送され、2週間ほど続きました。
数年前から好評を博している番組のようで、断続的に放送されています。
先月の番組では、関口知宏さんがオランダ、ベルギー、オーストリア、チェコを旅していました。

実は、私は、何度も海外旅行に行く妹や弟とは異なり、まったく旅行や外出を好まず、現在は健康のために散歩するくらいが関の山です。
それでも、このような紀行番組を見ることは嫌いではありません。
大湾さんが撮影したポルトガルの風景は、オランダやベルギーなどとは少し異なったイメージを伝えているように思えました。
自然が多くて「華美な様子はないけれども落ち着いている」というイメージです。

74頁の写真(下)
「ポルトガル 赤褐色の屋根と白い壁と青い縁どりのオビドスの家々」 1986.03.28
写っている手前の家の屋根の恰好が日本の瓦屋根と似ていると思いました。
ずいぶん坂道があるように見えました。

75頁の写真(上)
「『ポルトガルの4月』 美しい水の都アマランテを望む」 1986.04.02
この写真は74頁の写真(上)と同じ場所を、アングルを変えて写したものでしょうか。
落ち着いていてとてもよい場所だと思いました。
豊かな川が流れているのは優雅さを醸し出しますね。


15Portalegre,Portugal1986.04.04
4. Portalegre, Portugal 1986.4.04


16Espinoho,Portugal1986.03.30
5. Espinoho, Portugal 1986.03.30


17Evora,Portugal1986.04.04
6. Evora, Portugal 1986.04.04


18Lisbon,Portugal1986.03.28
7. Lisbon, Portugal 1986.03.28


75頁の写真(下)
「ポルトガル 笑い顔がかわいい海岸の町エスピノホの子供たち」 1986.03.30
長袖のセーターを着ているように見えるかわいい子供たちが3人。
顔つきがいわゆる欧米の風貌とは少し違って見えました。
子供たちの後ろのショーウィンドウには、動物の人形のようなものが並んでいてかわいいと思いました。

76頁の写真(上)
「ポルトガル ワインで有名なボルト旧市街とドウロ川を望む」 1986.03.31
若き日の大湾さんが、溌溂(はつらつ)として、颯爽(さっそう)として、喜びに満ちているように、写っています。
これほどの美人さんだから、土地々々の若い男性が声をかけてきたのだなぁ!と、すっかり納得してしまいました。

76頁の写真(下)
「ポルトガル ギマランイスの教会で、内気ではにかみやの子供たち」 1986.04.01
厚着をしているかわいい女の子が3人写っています。
ポルトガルの早春も肌寒いのでしょうか。
子供たちの後ろは教会なのでしょう。かなり大きな建物だと思いました。


ポルトガル人のルームメートが返ってきた。
ガールフレンドも一緒である。
彼女もロンドンに住んでいる留学生かと思ったが、そうではなかった。
ただの通りすがりのアメリカ人の旅行者だという。
「やっ こさん、たまたまスーパーマーケットで出会って、気が合ったもんだから、彼女、それから二ヶ月も彼の部屋に居候だよ。
やっと明日、オレゴンに帰るといって いたけれど」。(略)
こうして宿泊代を節約できるなんて最高に魅力だろう。
それに、一緒に寝てくれる人がいたら、旅先でも寂しくないというわけだ。
でもこういう打算的な関係は、私には到底ついていけない。

 
どうも、刹那的(せつなてき)な生き方をする若者が多いのかなぁ。
私などは、大学時代、ひたすら大学の図書館に籠(こも)って勉強三昧だったので、私個人の性分か、あるいは国民性の違いなのか、欧米の学生と日本の学生では勉強のスタイルが違うのか、と、考えました。
けれども、ここまで書いて、「でもなぁ・・・」と思いました。
現在の大学生の勉強のスタイルは、どこの国でも大差はないのかも・・・とも思いました。


自分の生まれた国に何の愛着もなく、いま生活している社会にもあまり関心を持てず、ただ「自分だけ良ければいい」という自己中心型の人間のように思えた。
大学院生というから、色々と興味ある話でも聞きだせるかと思って訪ねてきたのだが、彼も彼のルームメートに倣(なら)って、一夜のデイトの相手を探していたらしい。
全く期待外れで歯車が合わないと分かったので、早々にしてその場を引きあげる。

大湾さんのおっしゃるとおりです。
早々と立ち去って大正解でしたね。
それにしても、大湾さんが第2回目の旅に出たのが1979年ということですから、40年近く前の若者気質の一端が書かれているわけなのですよね。
いや、このように当時の若者たちを十把一絡(じっぱひとからげ:ひとまとめに、まとめて扱いこと)に考えるのはよくないな、と、書いたあとで反省しています。


ロンドンで、インドの青年ブラトール(P76)
9月22日 ロンドン


どこの国でも自分たちと違う人種や出身国、あるいは宗教や考え方などを極端に忌(い)み嫌い、排斥(はいせき)しようとする過激なグループがいる。
いま世界中を脅かしている テロリストもその一つだ。
こんな連中は、自分たちの主張を破壊的な行為でしか表現できず、自分たちと違うものを何でも攻撃の対象にする卑劣な人間だ。
そんな人間が横行している世の中で、偏見を越えて心通じ合うものがいたら国籍や年齢など全く関係ないのだろう。
私は、それから延々と続いた旅を通して、そのことをさらに深く学んだ。
第二回目の旅 完


つい先日、テレビのニュース番組で知ったのですが、最近、ツイッターやフェイスブックなどで投稿記事が炎上することが増えているといいます。
被災地を支援したことを書いた芸能人が、売名行為ではないかと攻撃を受けているらしいです。
被災地支援をしている人たちがSNSに投稿したことを、それこそ十把一絡(じゅっぱひとから)げに 攻撃するのはいかがなものか、と思いました。
これらは、テロとは次元が違うとは言うものの、他人や他国を攻撃する心情ということでは、なにか、底流で繋(つな)がるものがあるように思えて仕方ありません。

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本名『幻の旅路』
発行『2010年8月30日』
著者『大湾節子』
発行所『茉莉花社(まつりかしゃ)』
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