根付「茄子地雌雄秋虫鳴遊圖」の件1。 | 根付・帯留 鹿角細工工房「鹿正洞」ブログ

根付「茄子地雌雄秋虫鳴遊圖」の件1。

今年、僕の棲む山梨県が
「国民文化祭」を主催している。

「国民文化祭(以下 国文祭」というのは、
国体の文化系バージョン。
毎年どこかしらの自治体が持ち回りで運営。
('10年は岡山、'11年は京都、'12年は徳島で開催。)
会期中、絵画/彫刻/書道/写真/演劇/音楽等々
様々な分野のイベントが催される。

三年前の岡山には、
利休根付「梢に蜂」で工芸部門のコンペにエントリー。
畏れ多くも、賞なぞ頂戴してしまった。

以来受注品対応の忙しさにかまけ、
コンペ/公募展の類からは距離を置いていたが。
'13年は地元が国文祭の主催自治体。
ここは何としても参加しなければ...と、
早くから心に決めていた。
この参加が自分にとって、
何か一つの節目に成るようにも思われる。

ところが今年の工芸部門は、
参加対象を「陶磁」「木竹」「紙」の三分野に限定しており。
「その他」の枠も用意されていない。
担当運営者に嘆願したが、やはりここへの出品は受理されず。
メイン主催者の勧めで「ハンドクラフト部門」の方に
参加させて頂く形となった。
これが本年三月頃の話。

思い出すのも忌まわしい、あの酷暑の中。
受注品と同時進行で
出品作・根付「茄子地雌雄秋虫鳴遊圖」を製作。
八月末の一次出品期限にギリで間に合わせた。

その甲斐有ってか、同作は
「国民文化祭実行委員会会長賞」を受賞。
今月5日(火)~10日(日)の間、
「中央市立玉穂総合会館」内会場にて
公開展示されることになった。
甚だ身に余る事態である。

細工完成後、既に二ヶ月以上経過しており。
最早僕の心中に有るのは自戒と反省のみであるが。
以上の報告を兼ね、
これから数回に分けて
同作の製作工程を紹介して参る所存だ。

まずはいつも通り「スケッチ」から。















こんなのを描いた。

根付・帯留  鹿角細工工房「鹿正洞」ブログ-スケッチ

イベント公開時期の「秋」にエイミングした意匠。
秋の味覚「茄子」型の額縁に、
「秋草」が這う。
上下に向き合う「秋虫」二匹。

副旋律に「陰陽」を意識。
故に「茄子」は二個。
「葉」には若いのと枯れたのが有り。
「虫」も雌雄。

因みに「虫」は、
産卵管を持つ「下のヤツ」が雌。
とかく勇ましいのは、雌の方。

本体は鹿角で、
「虫」の目玉にだけ牛角を象嵌。

透かしを多く採り、
繊細で儚い印象にしたい。

そんな意匠。



次は「生地取り」から先。

続く。



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