羽織紐「弥坂瓊之玉【ヤサカニノタマ】」の件6。 | 根付・帯留 鹿角細工工房「鹿正洞」ブログ

羽織紐「弥坂瓊之玉【ヤサカニノタマ】」の件6。

鹿正洞で進行中の、
羽織紐「弥坂瓊之玉【ヤサカニノタマ】」の件。
前回からの続き。


「組み立て」。



さて、これでパーツは揃った。

「緒【オ】」を通して、
羽織紐の体裁に組み立てよう。





と。

ここで一つ、問題が。

根付・帯留  鹿角細工工房「鹿正洞」ブログ-組紐

他の細工に使うような「組紐」が、
この細工には全く似合わない。

細かく撚りの入った組紐ってのは、
どこか「産業の香り」がして。
勾玉の纏う「古代の空気」に
馴染まないんだよ。

特に金とかの、派手な色は駄目だね。
細工を殺しちゃうわ。







で、考えるワケ。
卑弥呼の時代、
首輪なんかの「緒」には
どんな素材が使われていたんだろう?と。

まず考えられるのが、
植物系の材。
芋類の蔓や麻の繊維。
竹/樹木の皮を裂いて、
「こより」にしたもの。

それから、動物の革/腱/腸。
馬の尾毛や鯨類の髭なんてのも
有りそう。

何にせよ、そうしたナチュラルな
素材だった筈だし。
やっぱり、それ方面がこの細工にも
似合うんだと思う。


あちこち歩いて、
合いそうな材料を集めてみたんで。
これから一つずつ、
テストしてみよう。









まずは麻糸。

麻ってのは、古代から日本で栽培されていて。
「魏志倭人伝」や「風土記」にも記述が有る。
戦国時代に木綿の栽培が普及するまでの間、
これが一般的な繊維材だった。

根付・帯留  鹿角細工工房「鹿正洞」ブログ-細い麻糸

ん、合うね。確かに合う。
しかし....こいつは細いせいか、
それとも色が生成りだからか。
「緒」自体の主張が弱いわ。
ちょっと面白味に欠けるよ。

















次の候補。

最初のより若干太目で、
オリーブ色に染めた紐。
これなら、最初のより主張する筈。

根付・帯留  鹿角細工工房「鹿正洞」ブログ-オリーブの麻紐

お、良く似合うね。
お洒落な感じ。

........お洒落なんだけど、
ちょっと「トイッシュに見える」
のが気になるな。
「アジアングッズ」とか、
そういうアレなら構わんが。
「神器」「呪具」としては...、如何なものか。



















一寸変わり種。
絹糸を撚り合わせたもの。

根付・帯留  鹿角細工工房「鹿正洞」ブログ-弦

恐らく「古い楽器の弦」だと思う。

これも渋いオリーブ色なのだけど。
テグスみたいな透明感が有って、
細工の質感にマッチする。

惜しむらくは、余りにコシが強過ぎて。
実用上の難が出そう。
画像でも、変に突っ張っちゃってる。

















最後にもう一案。
太目の麻。
少し古色が付けてある。

根付・帯留  鹿角細工工房「鹿正洞」ブログ-太い麻紐

お、この感じかも!
他の候補よりも撚りが甘くて、
アルカイックな印象。
「注連縄」っぽい雰囲気も有るし。

これで行ってみようかな...。





「組み立て」後半戦に続く。


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