ビオ・ワイン考1 ワイン添加物(日本)  | ろくでなしチャンのブログ

ビオ・ワイン考1 ワイン添加物(日本) 

           ビオ・ワイン考      

               理解を深めるための ワイン添加物(日本) 

                                

 

ワイン添加物に対して適用される法律は、

 

① 食品全般を対象とした~食品衛生法

② ワインの保存料を対象とした~酒税法

③ 有機ワイン表示に関して~酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律


 とされます。


さくらんぼ 食品衛生法上認められている添加物として次の4種類となります。

 

1 指定添加物


   食品添加物は、化学的合成品や天然添加物など製造方法の違いに係わ

  らず食品衛生法第10条に基づき、厚生労働大臣が安全性と有効性を確

  認して指定した添加物でなければ、使用することができません。
   平成26年11月17日現在、445品が指定されており、指定添加物リ

  スト こちらへ  と呼ばれます。

       食品衛生法第10条、食品衛生法施行規則第12条 別表第一

 

2 既存添加物名簿

   長年の使用実績を厚生労働大臣が認め「既存添加物名簿」こちらへ  

  として公示されています。
   既存添加物名簿には平成26年1月30日現在365品が表示され

  ています。安全に問題のあるもの、使用実態を失ったものは名簿から消

  除されます。新たに品目が追加されることはなく、むしろ使用実績のない

  ものは削除される方向にあるとされます。

     食品衛生法及び栄養改善法の一部を改正する法律附則

       第2条第4項

        既存添加物名簿の公示 平成8年4月16日厚生省告示第120号

 

3 天然香料基原物質リスト 

   動植物から得られる着香を目的とした添加物で、一般に使用量が微量

  で、長年の食経験上健康被害が認められていない612品の添加物リ

  スト。 こちらへ  示は物質名ではなく、基原となる動植物(イチゴ、コー  

  ヒー等)で示されています。       食品衛生法第4条3項

 

       昭和34年12月28日厚生省告示第370号

           上記告示第370号一部改正に伴う

       食品衛生法に基づく添加物の表示等について
           平成22年10月20日消食表第377号

           最終改正 平成26年4月10日消食表第43号  

 

4  一般飲食物添加物リスト
   一般に飲食に供されているもので添加物として使用されるものとされ10

  6品 こちらへ  が示されています。

 

        根拠は3と同様 

 

食品衛生法 こちらへ
   昭和22年12月24日法律第233号

   最終改正 平成26年 6月13日法律第 69号

食品衛生法施行規則 こちらへ

   昭和23年 2月10日厚生省令第 23号

   最終改正 平成26年11月17日厚生労働省令第124号

食品衛生法及び栄養改善法の一部を改正する法律 こちらへ
  平成 7年 5月24法律第101号

   改正 平成15年 5月30日法律第 55号


ばいきんまん 指定添加物については、指定添加物リストに掲載された添加物のみが使

 用可能です。元々は化学的に合成された添加物に対して安全性と有効性

 を確認して指定されてきたものです。

  天然成分の添加物に対しては法律上の規定が存在しませんでした。

 そこで平成7年に新たに天然成分の添加物も加えた法整備を行うこととさ

 れますが、既に使用され、長い食経験があるものについて、例外的に指定

 を受けることなく使用・販売などが認められます。つまりは、既存添加物名 

 簿は過去の実績をベースに名簿化したもので指定したものではない(既存添加物は名簿表現、天然香料及び一般飲食物はリスト表現で使い分けている。)ようです。極端な表現をすると参考名簿となるのでしょう。

 

  対して、天然香料、一般飲食物添加物については指定方式を採っている

 ようです。天然香料、一般飲食物添加物の指定は例示的に示されているも

 のであり、リスト外の品目が全て使用禁止とはならないようです。

  代表的な品目として、塩や醤油は一般飲食物添加物に搭載されていませ

 ん(食品扱いとされます)。天然香料基原物質リスト、一般飲食物添加物リス

 ト外の添物は個別判断によるとか(厚生労働省担当者談)。

  

さくらんぼ 酒税法に於ける添加物  


酒 税 法             
                                     昭和28年 2月28日法律 第  6号   

                             最終改正 平成25年12月13日    第103号

 (その他の用語の定義)
3条13号 (果実酒に関し) 

 要旨 イ 果実又は果実及び水を原料として発酵させたもの

     ロ 果実又は果実及び水に糖類を加えて発酵させたもの。

     ハ イ又はロの酒に糖類を加えて発酵させたもの。 

     ニ イ~ハの酒に糖類、香味料もしくは水を加えたもの。 

3条14号 (甘味果実酒に関し) 

 要旨 ニ 植物を浸してその成分を浸出させたもの若しくは薬剤を加えたも

       の又はこれらの酒類にブランデー等、糖類、香味料、色素若しくは

       水を加えたもの。

 

酒税法施行令

                                    昭和33年 3月31日政令第 97号
                             最終改正 平成26年 5月14日政令第179号

 (果実酒の原料等)

第7条第1項第2号  法第3条第13号ロに規定する政令で定める糖類は、
              糖、ぶどう糖又は果糖とする。

 

国税庁長官告示に表記される添加物

    (酒税法施行規則の規定に基づく告示)

 

   酒類保存のため酒類に混和することができる物品の指定告示の制定

   について

                      平成 9年4月23日 課鑑15 課酒1-22 課法3-15

                  改正 平成27年1月15日課鑑2

                      発 国税庁長官 受 国税局長、沖縄国税事務所長

 

 酒税法施行規則第13条第8項第3号の規定に基づく、酒類保存のため酒類に混和することができる物品について告示したから、下記事項に留意のうえ、関係者をよろしく指導されたい。

 

酒類の品目 全酒類 

 混和することができる物品名
 

 活性炭 既存添加物

 フィチン酸(既存添加物-酸味料・製造用剤)

 寒天(一般飲食物添加物-製造用剤)

 ゼラチン(一般飲食物添加物-製造用剤)

 アルギン酸ナトリウム(指定添加物)~糊料

 カラギナン(既存添加物-増粘安定剤)

 トナイト(既存添加物-製造用剤)

 活性白土(既存添加物-製造用剤)

 ケイソウ土(既存添加物-製造用剤)

 微小繊維状セルロース(既存添加物-増粘安定剤・製造用剤)

 小麦粉(一般飲食物添加物-製造用剤)

 グルテン(一般飲食物添加物-増粘安定剤)

 卵白(一般飲食物添加物-製造用剤)

 柿タンニン(既存添加物-製造用剤)

 タンニン(既存添加物-製造用剤)

 二酸化ケイ素(指定添加物)~製造用剤

 ポリビニルポリピロリドン(指定添加物)~製造用剤

 コラーゲン(一般飲食物添加物-製造用剤)

 パパイン(既存添加物-酵素)

 プロテアーゼ(既存添加物-酵素)

 キトサン(既存添加物-増粘安定剤・製造用剤)

 エンドウたんぱく 

 エリソルビン酸(指定添加物)~酸化防止剤

 エリソルビン酸ナトリウム(指定添加物)~酸化防止剤

 窒素 既存添加物

 ウレアーゼ(既存添加物-酵素)

 炭酸カルシウム(指定添加物)~強化剤・製造用剤

 炭酸カリウム(指定添加物)製造用剤

 炭酸水素ナトリウム(指定添加物)~膨張剤

 炭酸ナトリウム(指定添加物)製造用剤

 アンモニア(指定添加物)~製造用剤

   又はイオン交換樹脂(指定添加物) 製造用剤


酒類の品目 果実酒又は甘味果実酒

 混和することができる物品名

 ペクチナーゼ(既存添加物-酵素)

 ヘミセルラーゼ(既存添加物-酵素)

 β-グルカナーゼ(グルカナーゼは既存添加物-酵素)

 カゼイン(一般飲食物添加物)~製造用剤

 カゼインナトウム(指定添加物)~製造用剤

 L-アスコルビン酸(指定添加物)~酸化防止剤・強化剤

 L-アスコルビン酸ナトリウム(指定添加物)~酸化防止剤・強化剤

 二酸化硫黄 指定添加物

 DL-酒石酸水素カリウム(指定添加物)~膨張剤

 L-酒石酸水素カリウム(指定添加物)~膨張剤

 アラビアガム(既存添加物-増粘安定剤)

 クエン酸(指定添加物)~酸味料

 ソルビン酸(指定添加物)~保存料

   又はソルビン酸カリウム(指定添加物)~保存料

 

参 考 

酒税法施行規則第13条第8項第3号 要旨
 酒類の保存のため、第3号に定める物品を混和したときは、新たに酒類を製造したものとみなさず、当該混和後の酒類の品目は、当該混和前の酒類の品目とみなす。
3号 国税庁長官が指定する物品

ばいきんまん 酒税法では原料の定義、対象となる酒の分類、税率を定めています。ワ

 インは果実酒と甘味果実酒に分類されます。

  元々税金を捕る(失礼、取るですね。)ための法律ですから、醸造に於ける

 酵母や濾過方法等については関与していないのです。


  酒に関しては主要財源のため財務省(旧大蔵省)所管とされているので

 す。結局、酒税法で定めているのは定義付けのため糖類、香味料、色素と 

 添加保存料の規定だけです。

  補糖に関しては糖、ぶどう糖又は果糖が使用可となり香料も認められ

 ます。甘味果実酒は色素も認められ、保存料に関しては主発酵後に添加さ

 れる保存料と解釈されているようです。
  ワインに限定して酒税法をみてみると、低価格帯のワインや甘味果実酒

 が包含されているため香料や多くの保存料が定められていると思われま

 す。

  理論的には食品衛生法に基づき、国税庁長官告示に表記される添加物
 が告示されています。上記混和することができる物品に関しては全酒類に

 認められる添加物(31品目)と果実酒又は甘味果実酒(13品目)に認められ

 る添加物がワインの保存料として認められています。

  各品目の右に参考までに食品衛生法上の添加物区分等を表記しました。

 エンドウたんぱくについては、一般飲食物添加物に入るはずですが一般飲 

 食物添加物リストには加えられていません。 厚生労働省に問い合わせて

 も分からないとのこと。国税庁では食品衛生法に則って告示しており、添加 

 物リストは厚生労働省に問い合わせろとのこと。なんとも・・・・。

  おそらくは、一般飲食物添加物の指定は例示的なものであり全品目が指

 定されているわけではないという結論でしょう。

 

さくらんぼ 酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律に於ける添加物

酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律
                                    昭和28年 2月28日法律第 7号

                             最終改正 平成26年 6月27日法律第91号

第86条の6第1項 抜 粋

   財務大臣は、酒類の取引の円滑な運行及び消費者の利益に資するため

 酒類の表示の適正化を図る必要があると認めるときは、酒類の製法、品質

 その他の政令で定める事項の表示につき、酒類製造業者又は酒類販売業

 者が遵守すべき必要な基準を定めることができる。


法第86条の6第2項

   財務大臣は、前項の規定により酒類の表示の基準を定めたときは、遅滞

  なく、これを告示しなければならない


酒類における有機等の表示基準

                              平成12年12月26日 国税庁告示第7号

                       最終改正 平成24年 7月     国税庁告示第7号


(有機農畜産物加工酒類の製造方法等の基準)  抜 粋

2 有機農畜産物加工酒類の製造方法及び品目(酒税法に規定する酒類の

  品目をいう。)の表示方法の基準は、次の各号に掲げるとおりとする。

(1) 原材料(加工助剤を含む。)は、次に掲げるものに限り使用することがで

  きる。

チ 別表1の食品添加物(組換えDNA技術を用いて製造されたものを除く。)


別表1

クエン酸

乳酸

リンゴ酸 

L-アスコルビン酸

L-アスコルビン酸ナトリウム

タンニン(抽出物)

炭酸ナトリウム

炭酸水素ナトリウム

炭酸カリウム

炭酸カルシウム

炭酸アンモニウム

炭酸マグネシウム

塩化カリウム

塩化カルシウム

塩化マグネシウム

L-酒石酸

L-酒石酸水素カリウム

リン酸二水素カルシウム

硫酸カルシウム

アルギン酸ナトリウム

カラギナン

グアーガム

アラビアガム

ベントナイト

ケイソウ土

パーライト

二酸化ケイ素

活性炭

木灰

香料(化学的に合成されたものでないこと。)

窒素

二酸化炭素

酸素

酵素

一般飲食物添加物 注 食品衛生法に於ける106品

二酸化硫黄

酵母細胞壁

 

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