シャトー・カントメルル詳解 その2
シャトー・カントメルル その2
Chateau Cantemerle
5 級 PP5級
AOC Haut Medoc Commune マコー村
〇 2019年 VP91~VP93 Antonio Galloni, Vinous.com, June 2020
2019年のカントメルルは素晴らしいです。深く、真っ黒で、非常に表現力豊かなカントメルルは、2019年の真の傑出した存在です。濃い赤と紫がかったベリーフルーツ、グリルハーブ、バラの花びら、スパイス、甘いパイプタバコ、ミントは、ここで少しなだめながら発展する多くのメモの一部です。何よりも、ここで際立っているのはワインの並外れたバランスと調和の感覚です。お見逃しなく!
○ 2019年 PP89~PP91 Barrel Sample Lisa Perrotti-Brown Wine Advocate Apr 2021
深いガーネットパープルの色を持つ、ラズベリープリザーブ、砕いたブラックカラント、モレロチェリーの活気に満ちた概念に加えて、クローブ、カシア、ユーカリ、溶かしたチョコレートのヒントを乾燥ハーブのワフトでガラスから湧きます。ミディアムボディの口蓋は、カリカリの赤と黒のフルーツの風味と新鮮さの際どいラインで、少し歯ごたえのある仕上げで、そのステップで本当のスキップを持っています。
○ 2019年 PP92 William Kelley, RobertParker.com Apr 2022
豊かなベリーフルーツ、甘草、杉、スミレ、ローム質の土壌の概念でグラスで開きます。ミディアムからフルボディで、フルーツの肉質のコア、生き生きとした酸、粉末状のタンニンがフィニッシュに優しく主張します。これは瓶詰め後(執筆時点では約11か月前)にシャットダウンしましたが、跳ね返り始めて、本当の魅力と個性のワインを明らかにし始めています。
〇 2020年 VP86~VP88 Neal Martin, Vinous.com, May 2021
2020年のカントメルルはノーズにしっかりと巻かれており、ブラックベリー、シダー、タバコの香りを明らかにするには多くの同軸が必要です。ヨウ素のタッチが曝気とともに現れます。味わいはミディアムボディで、黒と赤の果実が甘く、後ろ口蓋に軽い甘草のタッチがあり、しっかりとしたわずかに単色の仕上がりです。うまくいけば、これは瓶詰めの時までにもっと個性と人種を発達させるでしょうが、この素晴らしい不動産の可能性を考えると、私はもっと期待していました。 予想される飲み頃 2026から2040年
〇 2020年 PP88~PP90 Lisa Perrotti-Brown Wine Advocate May 2021
濃い紫黒、カシスのコーディアル、プラムの煮込み、ブラックラズベリーの香りの強さと純度に加えて、乾燥したプロヴァンスのハーブ、インドのスパイス、ウッドスモークのヒントを明らかにします。ミディアムボディの味わいは、親しみやすい歯ごたえのあるタンニンと、香ばしいブラックフルーツのフレーバーをサポートするのに十分な新鮮さを提供し、ハーブリフトで仕上げます。 予想される飲み頃 2024から2036年
〇 2021年 PP90~PP91 Willim Kelley, Wine Advocate ♯260 Apr 2022
ブラックカラントとプラムのアロマにスパイスボックス、黒トリュフ、ローム質の土のヒントが混ざり合った、困難な年に非常に強力な取り組みです。ミディアムボディからフルボディ、肉厚で魅力的な、しなやかでジューシーで、たっぷりのフルーツのコアと塩味のあるフィニッシュがあります。ヴィンテージの寝台車に数えられることは間違いありません。
〇 2021年 VP88~VP90 Neal Martin, Vinous.com, May 2022
杉にインスパイアされた心地よいブーケがあり、通気でライトブラックの果実が強くなります。味わいは粒子の粗いタンニンでミディアムボディで、かなり構造化されており、まともな長さのフィニッシュに向かって古典的なタバコのノートを明らかにしています。これは早飲みのクラレットとしてうまくいくでしょう。
〇 2021年 VP89~VP91 Antonio Galloni, Vinous.com, Mar 2022
パワフルでクラシックに造られたワインです。パイプタバコ、杉、ブラッドオレンジ、エキゾチックなスパイスはすべて、ミッドウェイトのフレームを通り抜けています。カベルネは、今年のブレンドで特に顕著です。良い深さとたくさんの個性があります。2021年に必要なのは、すべてをまとめるためのエレベージだけです。
〇 2021年 IP80~IP82 Lisa Perrotti-Brown The Wine Independent, May 2022
ミディアムからディープガーネットパープルの色、赤と黒のプラムの煮込みの芯の上にゴムとタバコでハーブの香りが際立っています。軽いボディからミディアムボディで、口当たりは少し薄く、歯ごたえのある食感とタルトで突然の仕上がりです。
価 格 表 Chateau Cantemerle
2000年 £54 2011年 £30
2001年 £36 2012年 £27
2002年 £33 2013年 £27
2003年 £38 2014年 £28
2004年 £33 2015年 £29
2005年 £42 2016年 £31
2006年 £38 2017年 £31
2007年 £30 2018年 £26
2008年 £32 2019年 £20
2009年 £40 2020年 £
2010年 £46 2021年 £
WINE SEARCHER 2021.5.15記
ちっぽけなマコー村のちょうど南にカントメルルの愛らしいシャトーがある。有名な県道2号線(ボルドーからメドックに抜ける幹線道路)に沿った深い樹木に覆われた公園の中にあり、そのワインづくりの歴史は、16世紀後半にさかのぼる。今世紀になってからの大半の期間はデュボ家が所有しており、ほれぼれするほど香り高い、エレガントな姿のワインの生地としてこのシャトーを有名にしたのは、この一家である。しかし、資金難や一族の内紛のせいで、カントメルルは1980年、売りに出された。
1970年にはこのシャトーは荒れるがままになっており、1975年以降のいくつかのヴィンテージはその影響をまぬがれ得なかった。カントメルルのセラー、シェ(ワイン蔵)、そしてシャトーは刷新され、新しいセラーや醸造設備、最新設備を導入したテイスティング・ルームなどがつくられた。そしてとりわけ重要だったのは、品質に対する真剣な取り組みがなされたことである。
1980年以前は、瓶ごとのばらつきがかなりあって、多くのヴィンテージが、古い樽のにおいや果実味の欠如という欠点を抱えていた。経営者が変わってから今日に至るまでの最上のワインは1989年と1983年である。ブドウ畑は大幅に植え替えられたため、樹齢が上がるにつれて、品質はさらに向上するに違いない。カントメルルのスタイルの特徴は、リッチで、しなやかな果実味と、強烈で華やかなブーケにある。畑の比較的軽い土壌と高いメルロの割合を考えると、決して超大作になるようなワインではないだろう。カントメルルの最良の作品は、きまって、いくばくかの芳香がある早熟タイプであり、そのために若いうちから、申し分のない魅力がある。ただし、高い期待が寄せられているにもかかわらず、カントメルルは過去10年間、1989年と1983年ほど卓越したワインをつくっていない。
一般的な評価 ボルドー第4版
カントメルルは、いつになったら神秘的な1989年、1983年、あるいは1961年のような出来栄えをふたたび見せてくれるのだろうか? どうしたことか、このシャトーは1970年代と1980年代のスランプの後、完全に回復したことがない。ワインは、よくできているが、並はずれたものとなることはない。概してその格付けにふさわしい。ただし、読者の方は、(残念なことにめったにないが)偉大な成功作に注意を向けるとよいだろう。三級に比肩する作品で、まぎれもなく目を向ける価値がある。全体からみると、品質に対する価格比には興味を持てる。
歴 史
このシャトーは、古い要塞の跡に建てられました。要塞はバイキングらの襲来を防ぐために建てられたものであり、メドック川から1㎞離れた深い樹木に覆われた公園の中にシャトーがあります。
記録では1147年に法服貴属であるカントメルル領主がいた様で、この一帯でワイン造りが始まったのは1354年頃と言われています。
14~16世紀にはブランクフォール家が所有、1579年にはヨハン・ヴィルヌーヴが取得し、その後3世紀にわたってヴィルヌーヴ・ドゥ・デュルフォール家の所有となります。
1892年、シャトーはデュボス家に売却され、300年間続いたヴィルヌ-ヴ・ドゥ・ドュルフォル家の支配は終わりを告げることとなります。
ほれぼれするほど香り高い、エレガントな姿のワインの生地としてこのシャトーを有名にしたのは、この一家です(パーカーの弁)。しかし、資金難や一族の内紛のせいで、カントメルルは1980年、売りに出されます。
新しい所有者テオフィル・デュボスは、カントメルルのブドウ栽培者であり、同時にメドックのクリュ・クラスの労働組合副委員長であり、1914年に売られることになるデュボス・フレール社の仲買人でもあったようです。彼の死後、息子ピエールとベルナルがカントメルルを相続し、1923年にはピエールの単独所有となります。
1930年から始まった戦争の間、いくつかのワイン区画で葡萄樹が引き抜かれ、1945年からは25haしか栽培出来ず、その状態が1981年まで続いたとようです。
1981年からは現在のオーナーSAMBTP社(保険会社のようです。)の所有となりました。SAMBTP社、Société Assurances Mutuelles du Bâtiment et Travaux Publics所有に関し、ピエールが建築共済組合と建設省に売却したとの記述や、コルディエ社を中心とするグループに売却としたものもあり、これらの共同体なのか、あるいは大株主(出資者)なのかも知れません。
シャトー名について
1643年、カントゥメルル領主ルイスの弟がソーヴ城に住み、そこをシャトー・カントメルルと命名したとされていますが、デュルフォール家との関係が不明です。
格付け追加
1855年、ナポレオン3世によるメドック格付けに際し、ボルドー商工会議所は、格付けリストを提出しました。しかし、リストにシャトー・カントメルルは記載されておらず後に追加されます。
カントメルルの追加は次のような理由と言われています。
当時のカントメルルが、ボルドーのクルティエを通さず直接オランダと取引していたため、その販売価格をクルティエ達が知らなかった。
オーナーが、現実にカントメルルは秀逸なワインを造っており、オランダでの評判が高く、5級に格付けされた他のシャトーのワインよりも、実際に高価格で取り引きされていた記録提出を組合に行い、1855年9月、まだ万博開催中に、カントメルルは5級クラスとして、「カントメルル、ヴィルヌヴ・ドュルフォル婦人、マコー」と追加されたのです。
5級最後に小さな字で追加されています。アンダーラインのような部分。
この歴史あるリストが変更になったのはこれが最初のことで、2度目は1973年の、かのムートン・ロートシルトの変更がなされただけの様です。
その他
カントメルルの葡萄畑は「87ha」と比較的大きく、マコー村とリュドン村に跨った一帯に広がっています。畑の大部分は、グラーブ地区と非常に近い珪土質砂利の土壌で、資料では、畑の平均樹齢は「30年」となっていたのですが、醸造責任者のパスカルさんの話では、「植え替えをして、樹齢が10年未満の区画から採れる葡萄はセカンドに回すから、グランヴァンの平均樹齢は40年ぐらいと考えてもらっていいですよ。」とのこと。
1970年代に低迷していたシャトーは、1981年からのSAMBTP社の大々的な投資により、セラーの新設、醸造設備の一新、最新設備を導入したテイスティング・ルームの設置など、積極的な改善がなされ、一躍その品質を向上させていると言われています。
レ・ザレ・ド・カントメルル
Les Allees de Cantemerle
AOC Haut Medoc
年間生産量 15万本から16万本
樽 熟 成 12か月
新 樽 率 20%
セパージュ
2000年 カベソー70% メルロー30%
2001年 カベソー60% メルロー30% カベフラ10%
2002年 カベソー50% メルロー40% カベフラ10%
2003年 カベソー50% メルロー40% カベフラ10%
2004年 カベソー40% メルロー38% カベフラ22%
2005年 カベソー45% メルロー45% カベフラ10%
2006年 カベソー67% メルロー33%
2007年 カベソー33% メルロー62% カベフラ 5%
2008年 カベソー80% メルロー17% カベフラ 3%
2009年 カベソー61% メルロー29% カベフラ10%
2010年 カベソー87% メルロー13%
2011年 カベソー82% メルロー16% カベフラ 2%
2012年 カベソー82% メルロー 8% カベフラ10%
2013年 カベソー75% メルロー25%
2014年 カベソー68% メルロー32% 12ケ月熟成 生産量16万本
2015年 カベソー75% メルロー25%
2016年 カベソー75% メルロー25%
ロランジェリー・ド・カントメルル
L'Orangerie de Cantemerle
シャトー・クリュ・カントメルル
Chateau Cru Cantemerle
AOC Bordeaux Superieur
AOC Bordeaux
シャトー・クリュ・カントメルル・グラン・レゼルヴァ
Chateau Cru Cantemerle Grand Reserve
AOC Bordeaux Superieur
平均樹齢 40年
樽 熟 成 12か月
アッサンブラージュ
メルロー90% カベソー 5% カベフラ 5%
バロン・ヴィルヌーヴ・ド・シャトー・カントメルル
Baron Villeneuve de Chateau Cantemerle
AOC Haut Medoc
旧セカンドと思われます。
シャトー・カントメルル詳解 1982年~2018年 その1 詳解はこちら
シャトー・カントメルル詳解 2019年~ その2 詳解はこちら
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