ボルドーに見る葡萄品種 3 ポムロール
ボルドーに見る葡萄品種 3
メルロー(Merlot, 「メルロ」の表記も)。
ボルドーのポムロール地方では有名な葡萄品種ですが、その他の地域でももちろん人気があります。メルローの名は果粒の色が似ているところからプティ・メルル(小つぐみ)という小鳥の名が訛ったものといわれています。
歴史家アンジャルベールは、メルローは1784年には、サンテミリオンとポムロール地域における良質の葡萄品種として記録があるとされています。
従前カベルネの補助品種として使われていましたが、実力が認められたということでしょう。
メルローはカベルネ・ソーヴィニョンほど樹勢が強くないのですが、腐敗の影響を受けやすいという欠点もあります。粘土質、重い石灰質の土壌を好む早熟タイプの品種であり、出来あがるワインは、タンニンはやや少なく、舌ざわりがふくよかで派手さはすくないものの、まろやかで、色が濃く、濃厚なタイプになるのですが、飲みやすい特徴も有します。
カベルネ・ソーヴィニョンとの比較では、色はやや朱色を帯びており、香りはカベルネ・ソーヴィニョンがヴァイオレットやブルーベリーのような、フローラルな香りがするのに対し、メルローはプルーンのような、熟した黒い果物の香りがすると言われ、味はカベルネ・ソーヴィニョンほど、酸味やタンニンは強くなく、芳醇でまろやかな味わいと言われているようです。
ポムロールのシャトー・ペトリュス、ルパンはほぼ100%メルローで造られており、シンデレラ・ワインと呼ばれているワインもほぼ100%メルローで造られていると言っても過言ではないようです。
ポムロール及びサンテミリオンの主要60シャトーほどを調べてみると、植栽割合でメルロー割合の低い、例外的なシャトーは、
ポムロール
シャトー・クロ・レグリーズ~メルロー60% カベルネ・フラン40%、
ヴィユー・シャトー・セルタン~メルロー50% カベルネ・フラン25%
カベルネ・ソーヴイニョン20%マルベック5%、
シャトー・ラフルール~メルロー50% カベルネ・フラン50%
等がありますが、殆どがメルロー植栽割合が80%以上となっています。
結果的にポムロールのワインが、濃密で絹のようなしなやかなタンニンを感じ、酸やタンニンは控えめだが高アルコールとか、やわらかく、豪勢で、果実味に富んでおり、みずみずしく、明白なタンニンが少なく、アルコール度が高いと言われるのはメルローの品種によるものと思われます。
ボルドー全体で見ると、カベルネ・ソーヴィニヨンに向いている砂利質の土地よりも、メルローに向いている粘土質の土地のほうが圧倒的に多く、植え付け面積もメルローの方が倍近くあると言われます。
結果的に、ボルドー・ジェネリックのワインはメルロー主体のものが多いようです。
改・ブログ総索引-1 こちらへ
改・ブログ総索引-2 こちらへ
改・ブログ総索引-3 こちらへ
改・ブログ総索引-4 こちらへ