ボルドーに見る葡萄品種 1 カベルネ・ソーヴイニョン | ろくでなしチャンのブログ

ボルドーに見る葡萄品種 1 カベルネ・ソーヴイニョン

          ぶどう ボルドーに見る葡萄品種 1

 

 カベルネ・ソーヴィニヨンは、代表的な赤ワイン用ブドウ品種の1つであり、水はけのよい砂礫質の土壌と温暖で乾燥した気候向きであると言われています。

 ヨーロッパ系のヴィティス・ヴィニフェラ(en Vitis vinifera)種の1つで、1990年代の遺伝学的研究によりソーヴィニョン・ブランとカベルネ・フランとの自然交配によって誕生したとされており、フランス南西部のジロンド地方原産の様です。ボルドーで栽培されだしたのは1780年頃からとされており、シャトー・ラトゥールのマネジャーが、パリのオーナーに送った手紙に「私はマネジャーとして、このシャトーの一番よい畑に、カベルネ・ソーヴィニヨンを植えることを決めました。なぜならこの葡萄からは、いつでもベストなワインを造ることができるからです。」との記録が残っているとされています。

 

 この時代のボルドーにおける葡萄樹の王座に君臨していたのは、マルベック、カルムネールと言った種であったようです。ところが、1850年代、1860年代のウドンコ病、フィロキセラ、ベト病に対して、これらの種は対応力が不足していたのです。1つにはフィロキセラ対策としてのアメリカの台木とフランスの穂木を接ぎ木する手法に対して、台木との相性が悪い。2つにはウドンコ病、ベト病に対する抵抗力がなかった。この点から、カベルネ・ソーヴィニヨンがボルドーの王座に就くことになります。つまり、葡萄樹の病害がカベルネ・ソーヴィニョンをボルドーに広めることとなったとも言えます。

 

 カベルネ・ソーヴィニョンは、葡萄の房は小さいものから中くらいのものまであり、細長い円すい形をしており、たくさんのブルーム(果粉)で覆われ、皮は厚く丈夫で、青黒い非常に蝋がかっているため、カビに強いとされています。この皮の厚い特徴から古くは「ヴィドゥーレ」「ヴェデーレ」(「硬い」の意)と呼ばれたようです。

 葉は五角形をしており特徴的です。果実は、球形で小さく、黒色。締まった歯ごたえのある果肉はとても特徴的な風味をたずさえており、凝縮した味わいを持ちます。

 収穫までに要する期間が長く、収量も少ないものの、豊かなタンニンと色素、そして香味成分のために世界中で作付けされています。

 造られるワインは濃厚な赤紫色をもたらし、タンニンを豊富に含むため、長い熟成にも耐えるとされています。カベルネ・ソーヴィニヨンの最高級のワインは10年から数十年間の熟成によって、力強い骨格、深みのある果実味、上品なタンニン、繊細さを極めた気品等と言われる飲み頃を迎えます。

 

 カベルネ・ソーヴィニヨンのワインの香りについては様々な事が言われており、メトキシ・ピラジン(Methoxypyrazine)に由来するピーマンのようなアロマ、スミレ、ブラックカラント、スパイス、カシス、なめし革などと形容され、時にいくぶんハーブのような香りが混じり、熟成により西洋杉の木のような香りが生じるとも言われます。ニューワールドのものになるとチョコレートやオークの香りが強くなると言われます。

 また、気候により香りも異なるとされ、低温気候ではベルペッパー、アスパラガスの香りを発し、中温気候ではミント、ブラックペッパー、ユーカリ、鉛筆の芯の香りを伴い、高温気候ではジャムの香りがするとされています。

 

 このように美点ばかりが強調されることの多いカベルネ・ソーヴィニョンですが、栽培は難しいようです。水はけが良い土壌を好むことから、丘の上の砂利が厚く堆積した土壌に植えられ、丘のふもとの粘土質の土壌にメルローを植えられることが多いようです。

 粘土質土壌に植える場合は、台木に水の吸い上げの悪い台木に接ぎ木する方法(日本もこの手法を採り入れているようです。)もあるようです。また、樹勢が強く、放っておくと栄養分を枝葉の成長に使ってしまうため、細やかな摘葉が必要であり、摘房により収獲用の葡萄に栄養分がいきわたる様な管理が必要となります。これらの管理を怠ると薄っぺらい、青くさいワインしか出来ない事となります。とくに、収穫期が近づいた摘葉は重要であり、太陽の恵みをたっぷり受けた葡萄の果実は、カシスやブルーベリージャムのような濃厚で甘い香りを生み出すと言われています。対して、収穫期の太陽が不足するとピーマン系の香りを生むと言われているようです。

 

 それでは、天候に恵まれ、カベルネ・ソーヴィニョンが完熟したボルドーの葡萄と、新世界におけるカベルネ・ソーヴィニョンの葡萄を比較してみると、やはり気候の違いから新世界の葡萄は、青臭さが殆ど感じられないジャムにしたかのような甘い香りが漂うのです。しかし、出来あがるワインとしては、悪者と見られがちな青くさいピーマンの香りが引き立て役となるのか、ボルドーのワインは複雑な芳香を醸し出すと言われています。

 しかし、それでもカベルネ・ソーヴィニョン100%でワインを作ると、後味は深いものの、口の中での味わいに欠けるところがあり、フレッシュな味わい、果実味の深いメルローやカベルネ・フランとブレンドされることになるようです。

 


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