CH シュヴァル・ブラン詳解 その1
シャトー・シュヴァル・ブラン その1
Chateau Cheval Blanc
格付 2012年 Premiers Grands Crus Classes A
格付 2022年 離 脱
AOC Saint Emilion Grands Crus
~白馬の意味。前身は宿屋でブルボン朝創始者アンリ4世が【白馬】でおとづれ、
1泊したことに由来。
セカンド Le Petit Cheval(ル・プティ・シュヴァル)
年間生産量4万本
畑 面 積 37ha~単一区画
年間生産量 8万本
隣 接 畑 フィジャック(元はフィジャックの一部)
オーナー アルベール・フレール、ベルナール・アルノー(ルイ・ヴィト
ン・モエ・エ・ヘネシー社長)1998年取得
作付割合 カベフラ49% メルロー45% カベソー 6%
平均樹齢 45年
植栽密度 8,000本/ha
収 量 35hl/ha
土 質 等
ポムロールとの境界線付近のレ・グラーブ・ ド・サンテミリオン(サンテミリオンの
砂利)地区。
○ 鉄鉱石を岩床とした砂利の多い砂礫質及び粘土質土壌。畑の20%は砂が
多く混じり錆色に赤茶けた砂利質。40%は砂利が混じった砂質。残り40%
は下層に密度の高い青粘土。表土は砂が混じった粘土質。高い浸透性、細
粒の土壌に砂が多く、泥土と粘土の含有率が低く、オー・メドックと大変似て
いる。但し、地下数mの深さに水脈はない。総酸量は他の土壌より少ない。
土壌はカベルネ向きとされる。
○ 礫質土壌のワインにおける長所は、熟成すると並はずれた複雑さに成長し、
豊かなアロマとなり、長い余韻を感じさせる。
収 穫 手 摘。
選 果 除梗前後2回選果
タ ン ク コンクリート・タンク、ステンレスタンク
新樽比率 100%
マセレーション 低温マセレーション(場合により)
発 酵 21日から28日間
樽 熟 成 18ケ月から20ケ月
澱 引 3ケ月に一度
コラージュ 卵 白
濾 過 しない。
アッサンブラージュ
1995年 メルロー47% カベフラ53% 13%/abv
1996年 メルロー44% カベフラ56% プレスワイン17%
1997年 メルロー83% カベフラ17% プレスワイン12%
1998年 メルロー56% カベフラ44% プレスワイン10%
1999年 メルロー61% カベフラ38% プティ・ヴェ 1% プレスワイン10%
2000年 メルロー53% カベフラ47% プレスワイン 6%
2001年 メルロー68% カベフラ32% プレスワイン 1%
2002年 メルロー53% カベフラ47% プレスワイン 4%
2003年 メルロー44% カヘフラ56% プレスワイン 3%
2004年 メルロー47% カベフラ53% プレスワイン 6%
2005年 メルロー51% カベフラ49% プレスワイン 5%
2006年 メルロー54% カベフラ45% プティ・ヴェ 1%
2007年 メルロー47% カベフラ53% プレスワイン 6%
2008年 メルロー55% カベフラ45%
2009年 メルロー55.9% カベフラ42.5% プティ・ヴェ1.6%
2010年 メルロー48% カベフラ50% プティ・ヴェ 2% プレスワイン 2%
2011年 メルロー47% カベフラ52% プティ・ヴェ 1%
2012年 メルロー53% カベフラ45% プティ・ヴェ 2%
2013年 メルロー49% カベフラ48% プティ・ヴェ 3% 22hl/ha
2014年 メルロー55% カベフラ45%
2015年 メルロー55% カベフラ45%
2016年 メルロー55% カベフラ45%
2018年 メルロー54% カベフラ40% カベソー 6%
2019年 メルロー58% カベフラ34% カベソー 8%
2020年 メルロー65% カベフラ30% カベソー 5%
2021年 メルロー43% カベフラ52% カベソー 5%
特 徴 堂々とした芳香と滑らかな口当たり、しっかりとしたタンニン
とバランスの良さ。
香 り ミネラル、メンソール、スパイス、クランベリー、マンゴー、
チェリー、ココア、ミント、花、
※ 飲み頃 収穫後5年から30年
▲1960年代、1970年代若干不評
評 価 ボルドー第4版 重要なヴィンテージ
○ 1961年 PP91
上手く保存されていたこのボトルのワインは、過去20年~25年間十分な飲み頃になっているが、衰えの兆しは全く見せていない。深遠なボルドー・ワインの偉大なヴィンテージの魔法の一つだ。相当な琥珀色からガーネット色をしていて、甘草、ジャムにした様な赤系果実や黒系果実、スパイス箱、西洋杉を思わせるエキゾチックなノーズがある。口に含むと、ミディアムボディの、汁気の多い、肉付きの良いワインで、たっぷりのグリセリンと、非常に柔らかい肌触りの印象がある。読者諸兄氏が新品同様のまま保管されていた、より大きなマグナムやダブルマグナムのような瓶の1961年をお持ちでない限り、飲んでしまうべきだろう。 最終試飲2002年12月
予想される飲み頃 2002年まで
○ 1962年 PP88
多くのワインより長寿命であったが、現在は衰えている。色は相当琥珀色になっており、味わってみると、少々目が緩んだ、ちぐはぐなワインを感じる。とは言え、ハーブ、土、甘草、トリュフを思わせるいくらか甘い果実味はずるずると続く。口に含むと、ほのかに、乾燥したなめし革が感じられ、硬いタンニンが頭からフィニッシュまででしゃばっている。 予想される飲み頃 2010年まで
○ 1964年 PP96
超大作のシュヴァル・プランで、恐らく、1960年代、1970年代に造られた中で最も偉大なシュヴァル・プランだろう。このワインは未だに濃い、くすんだガーネット色をしており、コーヒー、黒系果実、スパイス箱等の圧倒される香りがある。豪勢で、肉付きが良く、並外れたグリセリンと力強さを持っている。未だに非常に筋肉質で、心持ちたくましい。脱ぎ捨てるべきタンニンがあるが、寿命の点ではどうやら不死身の様である。新品同様のまま保管されていた瓶から最大限推理するに、まだ思春期後半であり、飲み頃のピークを迎えていないと思う。 予想される飲み頃 現在から2025年
○ 1966年 PP85
良好なワインだが、偉大ではない。色は中程度のルビー色で、縁は琥珀色になった。つつましいシュヴァル・ブランには、スタイリッシュで、抑制のきいたミネラルの香りと、ブラックカラント、スパイシーなオークを思わせるブーケがある。味わってみると、このワインはミディアムボディで、ほどほどに肉付きが良いが、この素晴らしいヴィンテージのシュヴァル・ブランとして期待したほどに官能的でもなく、凝縮感もない。
予想される飲み頃 1990年まで
○ 1970年 PP83
一貫してがっかりさせられる作品。この草っぽい、軽量級のシュヴァル・ブランは、相当な琥珀色になっており、土、灰皿、スパイス箱、いくらかカラントの趣がある。口に含むと、やや幅の狭い体躯で、既に衰えている。 予想される飲み頃 2008年まで
○ 1971年 PP84
優良なワインだが、過去数年で酷く茶色くなり始め、いささかがっかりさせられる。それにもかかわらず、いまだにたっぷりの果実味があり、ブーケは焼いた様な、ローストした様な特徴と、ミディアムボディを持っている。心地よい、そう高級ではないシュヴァル・ブランだ。 予想される飲み頃 1993年まで
○ 1975年 PP88
香りは複雑だが、もしブーケが90点に値するとしたら、風味にはがっかりさせられる。スパイス箱、西洋杉、黒系果実、ミネラルを思わせる大柄なノーズに、ほとんどエスプレッソの様な趣があり、いささかタニックな、ミディアムボディのワインで、渋いタンニンがあり、頑強なフィニッシュだ。縁にはかなり琥珀色が見えるので、飲んでしまう必要がある。ばらばらになる危険はないが、熟成するにつれて、干からびるのではないかと私は疑っている。 予想される飲み頃 2002年まで
○ 1976年 PP82
目の開いた、超絶的に葡萄の完熟感のある、焼かれた様なスタイルのワインを造り、もう十分に飲み頃になっている。重みを身につけ、いくらか褐色がかった色になっている。熟した果実、ミネラル、ナッツ、香ばしいオークを思わせるブーケがある。味わってみると、豪勢で、ふくよかで、食欲をそそる、肉付きの良い、プラムの様な、フルーティな風味がある。酸が弱く、非常に柔らかく、成長し続けるだろう。
予想される飲み頃 2000年まで
○ 1978年 PP87
やや青臭い、ハーブを思わせるスタイル。暗いガーネット色をしており、いくらか西洋杉、スパイス箱が感じられる、ミディアムボディの頑強な舌触りをしたワインであるが、魅力、果実味、グリセリンが感じられない。
予想される飲み頃 2002年まで
○ 1979年 PP86
健康的な暗いガーネット色をしていて、やや痩せた、一面的なシュヴァル・ブランには、赤系果実、黒系果実、ミネラル、土の趣があるが、コンパクトに造られた画一的なワインである。向こう10年~12年程良く熟成する筈である。しかし、ロット全体が肯定的な予定通りの成長をするわけではない。 予想される飲み頃 2002年まで
○ 1980年 PP80
凡庸なヴィンテージにしてはかなりの成功作と言える。色は中程度のルビー色で、ハーブを思わせる、西洋杉の様な、フルーティな香りのほどほどに強烈なブーケがある。ミディアムボディで、過度な凝縮感があり、フィニッシュはしなやかで、やわらかい。衰えていくだろう。 予想される飲み頃 1990年まで
○ 1981年 PP89
このどこかしらチャーミングな、軽量級のシュヴァル・ブランは十分な飲み頃になっているが、エレガントで、甘いレッドカラントやブラックカラントがミネラル、甘草、ほのかなハーブと混ざり合った趣がある。スパイシーな、ミディアムボディの,とても心地よいワインで、その調和に相当の魅力がある。 予想される飲み頃 2002年まで
○ 1982年 PP96
若いうちは一貫して100点のワインだったが、タンニンがより感じられる段階にきており、若いうちから現在も保有する並外れてエキゾチックな豪勢さが、今は主要な特徴ではなくなった。とは言え、このフルボディの、とても汁気が多い、十分な飲み頃に達したシュヴァル・ブランは、沢山の称賛を集めている。赤系果実や黒系果実の甘い香りと混ざり合った甘草、スパイス箱、香りがグラスから飛び出す。味わってみると、このワインはフルボディで、とてもリッチだ。グラスに注いでおくと、興味深いニューアンスが成長し、、その後突如として急落する。非常にうっとりとさせられるシュヴァル・ブランで、1964年以降、1990年以前で、確実に最も偉大なシュヴァル・ブランだ。 予想される飲み頃 2016年まで
○ 1983年 PP93
甘いジャムにした様なプラム、ブラックカラント,燻煙、コーヒー、アジアのスパイスなどを思わせる爆発的な強いアロマがあり、豪勢な、ミディアムからフルボディの汁気の多いワイン。ゴージャスな、非常にセクシーな、魅力的スタイル。徐々に琥珀色を増しているものの、衰える兆しは全く見えていない。タンニンはまだ甘く、果実味もしっかり存在している。最終試飲2003年1月。
予想される飲み頃 2010年まで
〇 1983年 PP94 Neal Martin Wine Advocate July 2016
1983年の Cheval Blanc は、偶然にもマグナムから提供されたものは、一貫してヴィンテージの傑出したワインの1つです。これは私が遭遇した中で最も優れた例の1つです。確かに、その黄褐色の縁の色合いのおかげで、その年齢を隠すことはもはやできませんが、アロマティクスは赤い果物、葉巻の箱、ビーフストック、タバコの香りでいっぱいで、すぐにあなたの感覚を捉えます。味わいはミディアムボディで非常にバランスが取れており、鋭い酸味に支えられています。30年経った今でも、ここにはたくさんの新鮮さがありますが、それでもその年齢を恨んだり偽装したりすることはありません。マグナムからでも、飲用プラトーの終わりに近づいているように感じますが、それでも得られる喜びはたくさんあります。果実味と肉感の香ばしい芯を維持しながら、これは素晴らしい Cheval Blanc のままです。
予想される飲み頃 2015年から2030年
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Le Petit Cheval 等
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