ワインの関税 | ろくでなしチャンのブログ

ワインの関税

                    ワインの関税

 

 

 ワインの関税はどれ位かかるのでしょうか。まず、日本に持ち込まれる場合には「関税」と「酒税」と「消費税」がかかる事が原則です。

 

 そこで、スティルワインについてみてみましょう。

スティルワインですので、フォーティファイドワイン(ブランデーやポートワイン等)、スパークリングワイン、フレーバードワイン(リキュール等)は別です。

 

日本に持ち込まれる場合は、次の3通りにより結果が異なります。

 

  1.海外旅行による持ち込み。

  2.海外から取り寄せ(個人用)

  3.海外から取り寄せ(営業用)

 

1.海外旅行による持ち込み

 

 多数の海外帰国旅行者から、関税や酒税等をとるのは非常に煩雑です。そこで考え出されたのが簡略化です。

 帰国した際は、「携帯品・別途申告書」を家族の代表が書いて提出します。

この場合、お一人様3本までは、「関税」「酒税」「消費税」がかかりません。

 ロマネ・コンティエ3本とシュヴァルツ・カッツエ3本を持ち込んでも、関税等がかかる対象は3本を超える分だけです。

 ではどの3本を申告しようかと考える必要はありません。どんな高級品であろうが「重さ」だけが対象なのです。そして、「関税」「酒税」「消費税」をみんなまとめて、リッター当たり200円なのです。

 これは関税定率法の簡易税率がどうとかで決められている様です。

前記の例で6本分から3本分を引き、3本分の計算は

 

 750ml×3本=2250ml 

   ℓに直して

 2.25ℓ×200円=450円

   100円未満の端数はカットされ、

 

「関税」「酒税」「消費税」込で、納税額は400円となります。

 

 お一人様で計算したので、夫と妻でしたら各3本まで無税ですので、6本持ち込みでも無税となります。

 

 

2.海外から取り寄せ(個人用)

 次に、海外から取り寄せを行う場合をみてみましょう。ここでも分類が2通りあります。

 

① 総額10万円未満のワイン輸入の場合は簡易的に、

   関税額70円/ℓと酒税80円/ℓが適用されます。

  (消費税及び地方消費税5%は10,000円未満は課税対象外)

  

    合計10ℓのワインの場合は、関税額700円と酒税800円の

  合計1,500円の納税額となります。

  

② 高額ワイン輸入の場合

  CIF価格に小額輸入貨物に関する簡易関税率表による15%を

 かけた金額と、ℓ当たり125円で計算した金額のいずれか低い金額

 が関税額となります。但し、下限は67円/ℓとなります。 

  CIF価格とは、商品価格(卸値価格で算出されるため買入価格の

 0.6から0.8倍)+保険料+送料です。

 

 ではCIF価格総額50万円、総量7.5ℓのワインを個人輸入する場合をみてみましょう。   

 

   ① 原則は、CIF価格50万円×0.15=75,000円

   ② ℓ当たり125円で計算すると

             7.5ℓ×125円=937円 となり、

 

937円の方が低い金額となり、なおかつ下限67円/ℓでの計算値

 

   ③ 67円/ℓ×7.5ℓ=502円   を上回りますので、

 

関税額は937円で100円未満カットで900円となります。

 それに、酒税がℓあたり80円ですので、

             7.5ℓ×80円=600円

 

 関税+酒税=1,500円 となります。 

  (消費税及び地方消費税5%は10,000円未満は課税対象外)

 

 ここで、問題になるのが商品価格をどう算定するのかとなりますので、ワインの領収書や販売価格証明書等が必要です。海外生活から帰国等大量のワインを持ち込む場合は、事前に税関の「事前教示制度」を利用して確認されることをお薦めします。

 

 もう一点、個人って何となるのですが、個人が一般消費用として輸入する場合で業務用としての輸入ではないと言う事です。一般的基準は10㎏以内で、750mlで計算して大凡12本以内のようです。

 具体的には、海外から送られてくると「外国郵便物課税通知書」が送られてきますので税額と通関手数料200円(収入印紙納付)を収めて受け取ります。

  

3.海外から取り寄せ(営業用)

 基本156.8円/ℓ又は、ワイナリー出荷価格+保険料+運賃の合計額(CIFですが、ワイナリー出荷価格の分が個人用と異なる)に対し21.3%/ℓのどちらか安い方。但し、最低税額93円/ℓです。


 

 ワイン出荷価格1本(750ml)1,215円、運賃22円、保険料3円合計1,240円のワインを100本輸入すると、

 

 基本 1  156.8円/ℓ×75ℓ=11,760円

 基本 2  124,000円×0.213%=26,412円

 最低税額  93円/ℓ×75ℓ=6,975円 

 

基本1と基本2の安い方は11,760円。

尚且つ、最低税額6,975円を超えているので、11,760円で決定。

 

  関税額は11,760円となります。

  酒税は80円/ℓですので 80円×75ℓ=6,000円

  消費税 124,000円×0.5%=6,200円

 

  となる筈なのですが、輸出元がWTO加盟国(欧州のほとんど加盟、ロシアは非加盟。)ですと、協定税率が前記、簡易関税率表による15%をかけた金額と、ℓ当たり125円で計算した金額のいずれか低い金額の関税額となりますので個人輸入と変わらなくなります。因みにフランスはWTO加盟です。

 

  WTO基本1  124,000円×0.15%=18,600円

  WTO基本2  125円/ℓ×75ℓ=9,375円

 

  関税額は9,375円となります。

  酒税は80円/ℓですので 80円×75ℓ=6,000円

  消費税 124,000円×0.5%=6,200円

 

4.その他  輸入関税は輸入元によっても税率は異なる様で、チリは優遇され(経済連携協定)ているので関税率は基本13.8%と低く、最低税額50.25円/ℓと最高税額125円/ℓとされています。

 

 ですから、高級ワインでも関税は94円/750mlとなるようです。この関税率も毎年約1.15%づつ下がっていき2019年4月には関税が0となるようです。チリワインが安くなるかも。だけど円高だか円安の影響もあるのかな。

 

 アルゼンチン、ブラジル、ベネゼェラ等の国は特別特恵国とかで基本的に関税が掛からないでワインが輸入できる様です。

 

注 税法は細かな規定がありますので、フォーティファイドワイン、スパークリングワイン、フレーバードワインにより税率は異なります。いわゆる高級品扱いのものは税額も高いままです。

 また、個人用輸入のつもりでも、ワインは食品扱いとなりますので、業務用扱いで「食品衛生法に基づく食品等輸入届出書」の提出を検疫所に対して提出を求められる事がある様です。

 因みに、検疫所が何故関与するかと言うと、植物防疫法(果物、穀類等)、家畜伝染病予防法(肉類)、食品衛生法(食品一般)の管理・取り締まり機関だからです。

 

 最近話題の中国は、自国輸入に対するワイン関税を2005年から瓶詰めワインについて43%から14%に下げていますし、香港では2008年4月からワイン関税は撤廃されているそうで、ワインブームが起こってワインがどんどん値上がりしているんだって。にっくき中国め、と思ったら駄目だよ。日本のバブルでワインが値上がりしたのを忘れないで。


 

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