名曲百選第二章(57)手を差し伸べても消える儚い雪~中島みゆき | 日々の生活(くらし)に音楽を♪

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俺の初恋はRock'n' Roll 俺の傍らには何時も音楽があった。


私が住んでいる所は、今年も雪が積もっています。
そんな雪景色を見てると、学生の頃、国語の教科書に載っていた 三好達治さんの詩を思い出します。

太郎をねむらせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。
二郎をねむらせ、二郎の屋根に雪ふりつむ。


雪が深々と降る夜って、とても静かというか、静寂に包まれるんですよね。

その静寂が、太郎と二郎を眠りに誘ったのか・・・、僅か2行の短い詩ですが、北の街の雪の降る夜の情景が浮かんできます。

若い頃は、英語はカッコイイなと思ったりした事もあったのですが、今は英語より日本語の美しさに惹かれます。
英語のアルファベットというのは記号にしか見えませんが、       日本の漢字には一文字一文字に意味があって、日本の良き文化が漢字にも現れているように思います。

話は変わりますが、昨年の暮れの紅白は、私の好きなアーティストが3組も出たので久しぶりに楽しめました。
中継でしたが、チョビ髭をつけ登場し平和への願いを込めた歌を歌ったサザン、艶やかな着物にギターという姿がカッコ良かった椎名林檎さん、そして両親から美しい雪という素敵な名前を付けてもらった、この方の存在感と熱唱も紅白を盛り上げました。

雪/中島みゆき


日本のアーティストの中で一番日本語の美しさを大切にしているには、この方ではないかと思います。

手をさしのべればいつも
そこにいてくれた人が
手をさしのべても消える
まるで 淡すぎる 雪のようです


いつも傍にいてくれた人が、手を差しのべても消える淡い雪のように消えてしまった。
雪の儚さと人の命の儚さを掛けたんですね。

この歌は、みゆきさんが亡くなられた父親への思いを綴った歌で、雪の降る夜の静寂と父の死という寂しさを巧みに合致させた歌です。
ピアノがメインのシンプルなアレンジが、この歌の良さを際立たせますね。

あの人が教えるとおり
歩いてくはずだった私は
雪で足跡が見えない
立ちすくむ あなたを呼びながら


父の背中を見て、自分の生き方を模索しながら歩いてきたのに、父の足跡すら見えなくなってしまった。
みゆきさんにとって父親の存在というのは大きかったんですね。
深々と降り積もる雪は、亡き父との思い出の積み重ねのようにも思えてくる、切なくも美しい名曲です。



作詞 中島みゆき
作曲 中島みゆき

雪 気がつけばいつしか
なぜ こんな夜に降るの
いま あの人の命が
永い別れ 私に告げました

あの人が旅立つ前に
私が投げつけたわがままは
いつかつぐなうはずでした
抱いたまま 消えてしまうなんて


雪 気がつけばいつしか
なぜこんな夜に降るの
いまあの人の命が
永い別れ 私に告げました

手をさしのべればいつも
そこにいてくれた人が
手をさしのべても消える
まるで 淡すぎる 雪のようです

あの人が教えるとおり
歩いてくはずだった私は
雪で足跡が見えない
立ちすくむ あなたを呼びながら


手をさしのべればいつも
そこにいてくれた人が
手をさしのべても消える
まるで 淡すぎる雪のようです

あの人が教えるとおり
歩いてくはずだった私は
雪で足跡が見えない
立ちすくむ あなたを呼びながら

雪 気がつけばいつしか
なぜ こんな夜に降るの
いま あの人の命が
永い別れ 私に告げました



今回は、三好達治さんと中島みゆきさんの 『雪』 をお届けいたしました。
深々と降る雪は、時に人の心に降り積もる事もあります。