3D初体験、「カールじいさんの空飛ぶ家」 | "楽音楽"の日々

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$"楽音楽"の日々-カールじいさん
ここ数年、3D(Three Dimentionつまり立体映画ですね。)の映画が次々と公開されています。
私は興味を持ちながらも、作品として観てみたいと思うものがなかったので、今まで未体験でした。

で、昨年末に公開された2本「カールじいさんの空飛ぶ家」と「アバター」は観る価値があるんじゃないかと思って、劇場に足を運ぶことにしました。

ディズニー=ピクサー社初の3Dアニメ「カールじいさんの空飛ぶ家(Up)」は、ピクサー制作のアニメをずっと観続けて来た私にとっては、当然チェックすべき作品でした。
我が国での公開は12月でしたが、全米での公開は5月ということで、この手の話題作としては珍しく半年以上も待たされた形での公開となりました。その間に最大級の評価とともにさまざまな情報が入って来ました。それでも新鮮な感動を味わいたいと思っていた私は、極力余計な情報を受け取らないように心がけて来たのです。
まぁ、大体のストーリーぐらいは知ってましたけど。

12月15日に福岡近郊では最大のシネコンで鑑賞しました。
ユナイテッド・シネマ系の劇場ですが、3Dメガネはリサイクル式(劇場の出口で回収する方式)のしっかりしたタイプでした。
メガネはとても重くて、鼻が低い私は鑑賞中にずり落ちるのを何度も上げなければなりませんでした。作品に集中するには、ちょっと邪魔でしたね。子供用はあるんでしょうか?同一タイプしか用意されていなければ、子供にはまず無理です。

ピクサーの作品では毎度おなじみの短編アニメからスタートです。
今回の作品は「晴れ ときどき くもり(Partly Cloudy)」というタイトルの、6分の短編です。
相変わらず、クオリティ高いですねー。

あ、3Dの効果ですが、作品が始まる前の「Disney」や「PIXAR」のロゴ・タイトルから、いちいち飛び出す3D専用ヴァージョンになっていて、こちらの期待を高めてくれます。

「晴れ ときどき くもり」は空の上のハナシで、奥行きと高低差が3Dによってリアルに感じられるように作られていました。ただし、3Dのための「あざとい」演出は皆無で、品の良さも従来のピクサー作品らしいもので好感が持てました。

さて、「カールじいさん」です。

巻頭から10分間がサイコーです!
少年時代のカールがエリーと出会い、結婚して年を重ねてエリーが亡くなるまでを、テンポ良くわかりやすく見せてくれる演出は、この数十年の全ての映画の中でも特筆すべき素晴らしさだと思います。
ここまでの展開だけで、私は涙してしまいました。

子供もおらずガンコじじいになったカールに、区画整理による立ち退きの波が押し寄せます。
このあたりから、細かいギャグや繊細な伏線があちこちに見られるようになって、ピクサー映画らしい展開になります。
そして、突然おびただしい数のカラフルな風船が登場して家が浮かび上がるシーンのカタルシスは、鳥肌が立つ程のニクい演出でした。

ある程度予想はしていましたが、空に浮かんだ家から下界を見下ろしたりするシーンでは、3Dが見事な効果を上げていて、高いところが苦手な私は恐怖感をおぼえるほどのリアルさを出していました。
本来「絵空事」である「映画」の中でも、アニメはなおさら感情移入しにくいものです。
そういったハンデを解消するリアルな3D効果は、この作品に必要不可欠のものだったと断言できます。

カールとエリーの夢であったエンジェル・フォールのあるギアナ高地で繰り広げられる冒険は、私の予想を超えてスリル満点の展開で、「モンスターズ・インク」でも興奮させてくれた監督、ピート・ドクター(Pete Doctor)お得意の手法でした。
ギャグとスリルとサスペンスを絶妙にブレンドさせたつくりは、大人から子供まで誰でも楽しめる「ディズニー・ブランド」そのままのような気がします。
最後には感動とほんのちょっとの寂寞感が残って、とても後味の良い作品になりました。

昨日発表されたゴールデン・グローブ賞では、「アニメ賞」と「音楽賞」を獲得したようです。
正直なところ、私は「傑作」だとは思いません。けれども、これまでのピクサー作品の水準を大きく上回る出来になっているのは間違いありません。是非、劇場で3Dでご覧になるのをおすすめします。
私にとっては、「ミスター・インクレディブル」で大ファンになったマイケル・ジアッチーノ(Michael Giacchino)が音楽賞を獲得したのが、とても嬉しいことです。ジャズでもクラシックでもこなしてカラフルな音楽を作り上げるマイケルは、「LOST」や「エイリアス」などのテレビ・ドラマや「MI:III」、「レミーのおいしいレストラン」、「スピード・レーサー」、「スター・トレック」など、最近の話題作に欠かせない作曲家になりました。
アカデミー賞は獲得していないにもかかわらず、2008年のアカデミー授賞式での音楽監督をつとめたりしています。
ひょっとしたら3月に発表されるアカデミー賞では、念願の音楽賞をゲットするかもしれません。

ということで、初めての3D映画を堪能した作品なのでした。