遥か昔に、日本が貿易立国として立ち直るには、給料を抑えて人件費を減らす事が必要なのでは?と書いた記憶が有りますが、今の日本がその通りになってきていて興味深い。
日本が戦後の経済復興を遂げられたのは、教育を受けた人間が安く使えたというのも要因。
さすがに戦後の人件費ほど安くありませんから、軽工業が日本に戻って来るのは考えにくいですが、他の先進国より安い人件費や物価を、日本が維持しているというのは、他の先進国からすれば魅力的だし、船舶輸送や航空輸送しやすい立地だというのも、他の先進国からすれば魅力的に映るだろう。
「失われた20年」「失われた30年」と言われる事が多いですが、停滞していたからこそ生まれたメリットとして、他の先進国と比べて人件費が安いという事が生じたのだと思うし、人件費が安く映るからこそ、船舶輸送や航空輸送しやすいインフラが整っている事も、他国の目に映るようになったのだろう。
日本の持つメリットとして、内需が大きいというのも挙げられる。
これは日本で生産した物が、日本国内で捌けるというのに繋がる訳で、熊本に出来る半導体工場の半導体は、世界に輸出する事だけを見据えた物ではなく、日本国内でも消費される事を前提にしている。
地産地消ではありませんが、消費される見込みがあるからこそ、生産者は安心して生産出来る訳で、日本は工業国としての一面があるからこそ、生産された半導体は安定的な供給を求められるし、そのような安定供給を求められているからこそ、人件費が安くなった日本に半導体工場を作るメリットも大きくなる。
経済というのは、複雑に絡み合っているからこそ、何が正しいのか分からない。
見方を変えれば、違った一面が存在するというのが、社会という存在な訳で、「私の経費は貴方の売上」といったような事が複雑に絡み合っている。
そのような複雑さこそが面白さでもあるし、先行きの不透明感にも繋がっている事を、忘れないようにしたいものだ。