「81(エイティーワン)」@要町(☆☆彡)
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 開宴とともにシャッターが上がリ、食事中も閉められているという秘密のプライベートダイニング。
 エル・ブジの流れというと科学に基づく奇抜さがクローズアップされますが、限りなく味に焦点を当てたその構成は、五感を震わす素晴らしさです。
 3月いっぱいで現在の場所を離れ、8月に移転オープンされるのが本当に楽しみです。
 
住所:豊島区西池袋5-25-2 B1F
電話:03-6909-4850
定休:日祝日 完全予約制
営業:18時半~
 
 要町の6番出口を上がってすぐのビル1階に白いシャッター。
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 そこには9×9とだけ書かれています。予約時間になるまで、このシャッターは開きません。
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 階段を降りると黒とウッドの扉が二つ。正面がお手洗い、右がダイニングの入り口です。
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 ダイニングはコンクリ打ちっ放しのおしゃれ空間。白いテーブルクロスのテーブルに黒の椅子。
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 奥にはシェフが料理を作るステージがあります。
 手前階段下にはストーブがあり、上には本が置かれていました。
 異色のシェフと言われる永島健志シェフは元海上自衛隊員。両腕にはタトゥー。髭を生やした細身で、シェフには珍しいチャラさとどことない危うさを感じる方。
 貸し切り6~8名から。コース15000円のみ。
 
15年3月13日夜の来訪。
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 3月末で閉店予定のこちらは大きな宿題店でした。肝心の幹事はお仕事にためこの日不在に。
 貸切のためか、スタートは19時45分。
 事前に把握できていた参加者はfacebookの返事を見る限り、ぼくを含めて7人…のはずが、料理研究家の美女と事前に参加予定だったという方が加わって、なぜか9人の会に(笑) 永島健志シェフが快く特別に9席目を用意してくださり、助かりました。
 
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 最初にお手拭きを。長細い指輪か眼鏡の高級なケースのような箱で。
 
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 乾杯は「エル・ブジ」のシェフであるフェラン・アドリア氏がワインのように楽しめるように作られたというスペインの高級ビール、イネディット。前例のないビールという意味らしい。
 原料には水、大麦麦芽、小麦、ホップ、コリアンダー、オレンジピール、酵母を使用し、ラガービールとホワイトビールの醸造法を組み合わせて醸造されているセレブを迎えるためのビール。バルセロナNo.1のビールメーカー「ダム社」と共同開発したものです。ワインボトルから注がれたそれはシャンパーニュのように見えますが、飲めばそれは確かにビールの味わい。それもすっきりして切れのある飲み口でぼくにも飲めます! 麦のスパークリングという表現はまさに的を得ています。ほんのちょっとアルコール度数も低いらしい。
 
 コースは15000円一本とのことですが、この日は飲み物をつけて20000円ぽっきりという会費。
 
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 最初に供されるのは薄いガラスのグラスに湯気の立つスープ。
 これが年2回旬になるという春の玉ねぎ、それも淡路島のミネラル栽培の物をじっくりと炒めてやや焦がし、水を加えたジュース的スープ。飲むとなんだこれ!! バニラのような華やかな香りに引き込まれ、玉ねぎらしい甘さが味わえて最高!!
 この香りはスープではなく、グラスの内側をブランデーでねぶってあるからだという。
 いただくときに香りと味が混ざり合い、極上のスープに昇華されております。
 
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 次はワンスプーンで。今年初物の蛍烏賊。それも生の物をついさっき釜揚げにしたばかりのもの。
 酢味噌ではなく、アリオリソースにパプリカのソースを合わせています。が、あくまでもメインはホタルイカ自身。その肝の味わいもよく美味しい。
 
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 次の飲み物はカ・デル・ボスコのスパークリング、フランチャコルタです。カ・デル・ボスコとは森の家の意味らしい。イタリアのスパークリングワインの頂点と言われるだけあって泡がきめ細かくて美しく、香り良くて味も濃い気がします。
 
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 次は例の卵と呼ばれるこのお店のスペシャリテ…かな?
 カルボナーラの再構築と言われていました。メインに据えられているのはもみじという鶏の有精卵。ネットで調べると、後藤孵卵場@岐阜県岐阜市が作出したゴトウ赤玉鶏とあります。中の黄身が半熟になるように火を加えてボール状に卵を作り、割るとその香りが広がる白トリュフのオイルを注射器で入れてあります。ちなみにその際に空気も入れて膨らませており、割る時に感じる弾力も楽しむ趣向。
 周辺に撒かれているのは削りおろしたペコリーノ。その下にはレア~なバンチェッタに濃度の高いクリーム。上には黒胡椒でカルボナーラに。
 トリュフの香りがとても良く、なるほど美味しい~!!
 
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 次は国産ワイン。ルバイヤート甲州のシュール・リー。香りが日本酒に近いかも。ほろ苦さがある辛口のワイン。敢えて糖分を残してあるそう。

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 バラのように仕立てた愛媛の真鯛。藻塩に3日つけて熟成。ねっとりと濃厚にしたに絡みつくエロティックな仕上がり。
 周辺の緑はわさび菜。それに酸味は同じ愛媛のブンタン。ブンタンは美味しいけど、真鯛の味わいを酸味が打ち消してしまう気がするかな。
 
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 新政の6號酵母で作られたNo.6のX-type。エクセレントに当たる純米大吟醸です。ワインにはないさすがの甘みと旨味が乗っています。

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 愛知県の三河湾の旬のアサリをたっぷりと盛り付けたファルファッレ。基本はアサリ出汁で作り上げたアーリオオーリオでした。
 ここに菜の花と旨味調味料となっているトマトをプラス。
 ファルファッレは蝶々型のショートパスタで、アサリ出汁をすくって食べるのにちょうど良いかも。結構硬めの茹で具合でした。
 ちなみに普段はパスタは出さないそうです。

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 赤に近いロゼワイン、ラ・アミスタッド。希少なロハル種の葡萄100%です。
 
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 福岡のサワラ。しっとりとした火入れです。
 ソースはとちおとめのイチゴのソース。香りに甘さが素晴らしい。
 上にはディル。塩は薄い結晶でプラスされていました。

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 赤ワインはブルネッロ ディ モンタルチーノ。作り手はマストロヤンニ。
 当然のことながら、この頃には酔っ払っています(笑)。
 

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 肉料理の際に使用できるのは福井の龍泉刃物のナイフ。その文様の美しいことと言ったら極上です。
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 中央に鎮座するのは宮崎牛のモモの赤身肉。まずはウェットエイジングということで1週間くらい寝かせています。そして63度で火が入り生でなくなる、68度でたんぱく質が変性する、という理論に基づいて、65度での真空調理。提供前に周り4面を焼いています。
 ここに25年熟成のまろやかな甘味と旨味の濃いバルサミコと結晶の塩。
 
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 デザートに出される飲み物は木内梅酒。スピリッツに梅を漬け込んだものだそうです。甘ったるくなくとろみもなく、すっきりとしていつつ、梅の甘さが美味しい。
 
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 デザートは今まで料理を載せていた黒い皿の上に供されます。
 桜の生クリーム。混ぜ込まれているのはフランボワーズのフリーズドライ。
 上に乗っているのがチョコのコーンフレークに塩。
 そしてアクセントとして一部にクミンのスパイス。
 最後に横に添えられる黄色い砂糖は口の中で弾けます。
 食感といい味といい素晴らしい。
 
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 飲み物はカプチーノをいただく。
 
 ところで3月いっぱいで閉店予定ですが、移転先は決まっています。
 広尾で12席に増席。18時と21時の2回転となり、世界最高のレストランを目指すという。
 8月1日オープン予定が楽しみです!
 

81創作料理 / 要町駅椎名町駅池袋駅
夜総合点★★★★ 4.5