「ラ・ボンバンス」(☆☆☆)
http://www.bombance.com/
横浜発 驢馬人の美食な日々-LaBOMBANCE
 
 フランス語でご馳走の意の店名、まさに和と洋の融合をなした名店でした。
 小ぢんまりした大きさ居心地のよい大人の空間でありながら子連れも可能というのが驚き。

 その料理は旬の素材をアイディア溢れる調理で繰り広げられ、シェフ自らがサーブするところも素敵です。
 
住所:港区西麻布2-25-24B1F
電話:03-5778-6511
定休:日祝日
営業:18時~22時
 

 マンションの小さな入り口、そのコンクリートの壁に看板が掛けられています。西麻布方向から来ると見えないので、通り過ぎても仕方ないか。
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 扉を開けたところにも下りていく階段の前の扉。黒い壁に光る店名のプレート。

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 中を開けると曲がって降りていく階段で、フラワーアレンジメントを見つつコンクリの壁と木の格子の壁の間を下ります。突き当りにはコンクリの壁に直接絵が飾られ、下まで降りたところにはモビールのような昔の日本の飾りが下がっています。
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 ダイニングは大きな木のカウンター。席数が少ないですね。予約が困難なのも仕方ないか。
 奥の壁は和の塗り壁で出っ張った棚に飾りが乗せられています。照明は暗くダウンライト。雰囲気はバーのようでとても落ち着いています。
 ぼくらが座ったのはカウンターとは離れた黒いソファ席の一角。子連れには助かります。
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 障子のように見える階段側の壁には先ほどみたおもちゃが影絵になって動いています。なんて良いセンスと感心。
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 木のテーブルの上には模様の入った円形のガラス板。白いナプキンに本日のメニューがのっています。箸は先端がとがるように細い箸。京都の箸屋さんがつくるものを思い出しました。akikoさんが紹介されていた箸ですが、これがそうかどうかはわかりません。

 

09年4月8日夜の来訪。

 7日は入籍記念日。そのお祝いの場所として選択したのは予約困難と噂されるこの店。

 15時半に家を出て、16時半前に近くの駐車場についてしまいました。しばらくうろうろしてお店を探し当てたのですが、「メゾン・ド・ウメモト 上海」 のときと同様に通り過ぎていました。
 17時の予約。本来18時からですが、早めの時間に入れさせていただきました。
 しかし、17時ですでに先客がいらしていました。最初は店の人かと思いましたが、すぐに芸能人が一人入ってきました。京本正樹さんです。この日の食事はブログ にも書かれていました。
 
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 飲み物はソフトドリンクをお願いする。と、烏龍茶になりました。
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 その後はほうじ茶が頃合をみはからって出てきました。
 
2009年4月8日 10000円 
 コースは一本のみ。それでいていつ来ても違うものが出てくるという常連の方の声が聞こえてきます。
 
浅利の茶碗蒸し デュクセルのスープ
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 最初に供されたのは白いスリムな碗で見た目はポタージュスープのようです。
 刻んだシブレットを散らし黒胡椒を挽いたクリーミーなスープを口に運べば素晴らしいばかりのキノコの味わいにバターと玉葱の甘みと旨味。ぎゃあ!美味い!といきなりやられてしまいました。いやあ、和食だと思っていたものですから。調べてみるとデュクセルとはキノコ(シャンピニョン)、タマネギ、エシャロットをきざんで妙めたものだそうです。
 その下をスプーンですくうとトロリンと柔らかな茶碗蒸しでたっぷりのアサリ。
 こんな組み合わせもあるのですね~。しょっぱなからここに来てよかったと家内と二人で喜びました。
 
沖縄とうもろこしの掻き揚げ
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 変形したハートか葉っぱを燃したと思われる白い皿に。
 味付けは塩だけというシンプルな掻き揚げ。これが美味い。弾けるような固さのとうもろこしの実が美味しいのです。
 
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鯛白子の焼きおにぎり ちり酢
 サクサクの食感が美味しい小さな薄い焼きおにぎりにとろりとした鯛の白子。上には大根おろしでしたが、ちり酢とあるのでさわやかだったような気がします。
春独活と牛ロースの山椒焼き
 牛ロースでさっくりした独活を巻いた焼き物で、木の芽をつけて焼いてあったような気がします。
生湯葉生ウニ生山葵 冷やしアン
 グラスに入っているのは下に生湯葉、その上に新鮮なバフンウニで、和風餡をかけてあります。上には山葵。甘いバフンウニがとても美味しく、贅沢な感じの小さなグラスでした。
江戸前トリ貝の炙り焼き
 今が旬の新鮮なトリ貝の炙りです。塩と少しの酢橘の香り。
  
フォアグラソテー長茄子の煮物
ハス芋と隠元のあん掛け 卸生姜
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 ソテーしたフォアグラが2枚に長いも。上にはスカッとした細長いハス芋と短く切りそろえたインゲン。おろし生姜を乗せています。
 フォアグラには甘いものを合わせるシェフが多いと思いますが、和風出汁の餡をかけて生姜でいただくのは初めてです。流れ出るフォアグラの油が他と絡み合い、全体として味が昇華していきます。
 
すっぽんコロッケ タルタルそーす
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 小さめのコロッケなのですが、中はすっぽんのエキスを吸わせたリゾットとすっぽんの肉という贅沢な構成。底に敷いてあるタルタルソースと一緒にいただきます。洋食の範疇でしょうが、アイディアですね~。
 これがまた面白い器できました。斜めにした大きなコーヒーカップのようですが、最初からこういう作りの器。なにしろ、上面にはカップに穴が開いてますし、底は最初から斜めにカットされています。皿とカップでずれないように間にウェットティッシュみたいなものをはさまれていました。
 
名古屋コーチンの炭火焼き 竹の子の山椒焼き
生わかめと春ふきのお浸し

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 扇型のガラスの皿で供されたのはメインでありながらも八寸の後半のような印象。
 中央にあるのは塩をした名古屋コーチンの炭火焼。シンプルでありながら素材の味わいを楽しむにはこれが一番と思わせてくれます。その上には同じく炭火焼した京の万願寺唐辛子。
 右は穂先の方の竹の子を木の芽をつけて焼いたものです。シャクシャクの食感と香りが実に良い。
 左はこの時期しか食べられない生のワカメに春の蕗のお浸しでした。
 
焼き金目鯛の小鍋
焼き葱 お豆腐 竹の子 水菜

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 銀色の小鍋でひとつひとつ作っていると思われる一人用の鍋物です。
 上にはたっぷりの刻んだ水菜。その下には柔らかな竹の子と豆腐、そして焼いてある金目鯛です。鍋のスープ自体、これでもかと鰹節を投入した濃い出汁で、そこに焼くとこんなに香るのかと驚く金目の身が入っています。うれしい美味しさです。
 
旬野菜の一皿
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 盛り合わせで野菜が出てきます。野菜好きの家内にはたまりませんね。
 このとき、娘のトイレに付き合っていたので詳しいことを聞けておりません。
 左から、三つ葉のお浸し。これが…と思うほど太い茎。白ゴマが意外に主張していました。
 四角いガラスの小皿には芥子菜の酢の物。これは酸味が強くてぼくは駄目でした。
 トマトは家内が聞いた説明では塩を振ってあるらしい。充実した甘いトマトです。
 中央には沖縄とうもろこしのヤングコーンの炭火焼みたいです。包まれたままで、外の葉をはがしていただく。髯までいただける新鮮さでした。
 
新もずく雑炊 イクラ餡
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 耳がついたような白い器に少量の雑炊。
 僕が好むタイプの米粒がしっかりしている雑炊にもずくが入って見えます。上にはイクラがたっぷり。スープの雑炊というよりももずくの入るとろりとした餡の仕立てになっていました。これを鼈甲と思われる大き目の匙でいただく。うん、最後まで美味しい。塩梅がどの皿もぼくらにあっていたので、この皿もちょうどよい加減でした。
 と、ここで思い出しました、市場に出回っているフェイクのいくらは熱い湯に入れると白く濁ってしまうことを。この味をちゃんと憶えておかないと!!
 
 最後にデザートも聞かれたのでもちろん注文。別会計らしいのですがこれだけ美味しい店なので頼まずには帰れません。
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 2品の盛り合わせ。右は黒ゴマのシャーベットです。金沢と書かれた円筒形の器は途中までの深さのもの。黒ゴマの香りがするシャーベットで甘くありません。不思議な感覚。好んでは食べないかな。
 一方、左は白いブランマンジェですが、コーヒーのブランマンジェなのです。豆の中心だけ使っているのでしょうか。とろとろのスープととろとろのブランマンジェを一緒に救い上げていただきますと、クリーミーでありコーヒーの香りがしっかりします。こちら甘~い!! これには娘も大喜び。普段でも苦いコーヒーを美味しいといって飲みますからね…。
 この対比が面白いのです。
 
 子供用にも何か出していただけないかとお願いしてあります。
 最初はぼくらと同じ浅利の茶碗蒸しデュクセルのスープから。これは子供には美味過ぎです!!
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 それから子供用のハンバーグ! ソースが特製でソースとケチャップに生クリームをたしたような味わい。
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 その後のメインには盛り合わせが。新じゃがのチップス、沖縄県産とうもろこしのかき揚げ、皮付きのポテトフライ、独活と牛ロースの焼き物、甘いトマト、焼いて皮を剥いてあるヤングコーン、インゲン、茄子のお浸し、菜の花のお浸し(だったかな?)です。
 ぼくらのコースに伴って、生湯葉生ウニ生山葵のグラスも出していただけました。
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 最後に娘にデザートが。苺とパイナップルです。
 
 コストパフォーマンス的にもとても素晴らしい!!
 子供の分も合わせて料理を出していただき、アルコールではありませんが飲み物飲んでデザートを食べて28000円ちょっと。
 ところで、面白いのはトイレです。階段下にあるのですが、扉の高さが胸くらいまでしかなく、腰をかがめて入ります。中はコンクリート打ちっぱなしの壁。壁にかかるのはガラス張りの額に緑の葉。手洗いは真鍮の古めかしい蛇口に黒い石を敷き詰めた陶器の器、その下には昔の引き出しのようなものが。
 
 総評は☆☆☆(三ツ星)です。
 シェフ自らサーブして進行を確認してくれますし、その接客が優しい。この雰囲気で子連れも許可してくれるなど度量も広い。飯も美味い、コストパフォーマンスも良いとくれば文句のつけようがありません。席数が少なく予約が取れないのも納得のお店です。

 最後は店の外で姿が見えなくなるまで見送ってくださいました。

 

ラ・ボンバンス (割烹・小料理 / 六本木、乃木坂、広尾)
★★★★★
5.0