「木の花」(☆☆彡)
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横浜発 驢馬人の美食な日々-Konohana
 横浜でお勧めの和食といわれると実は頭を悩ませるところだったのですが、ようやくお勧めできる極上の一軒に出会いました。

 その分割高感は否めませんし、懐石カウンターだけという条件付ですが、選択肢として増えたこと、それも横浜駅前という好立地がとてもうれしい。
 
住所:横浜市西区北幸1-3-23横浜ベイシェラトンホテル&タワーズ8F
電話:045-411-1146
定休:無休
営業:7時~10時/11時半~14時半/17時半~22時
 
 8階のエレベーターを降りてお店の方へ。
 梅の花形の天井の間接照明の下に簀巻きされた木を置き、突き当りのガラスの向こうはビルの中なのに緑豊かな夜の庭が広がっていました。正式な入り口は向かって左に。木の板に書かれた少し崩した「木の花」の文字。
 中は和食のさまざまな部屋を擁した空間。メインのダイニングは壁一面が庭に面しガラス張りです。
 
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 寿司のカウンターなどを通り過ぎ、本日いただく予定の懐石カウンターの部屋へ。
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 庭とは反対側です。白木の引き戸を開け、暖簾をくぐって中に入ると、厚い一枚板の木のカウンターが斜めにすらりと中央を貫く変形した部屋。照明はダウンライトで暗め。

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 カウンターの向こう側は厨房ではなく、板張りの和室で、掛け軸のかかる場所の前にはお茶を立てるための釜をのせた炉が切られております。一輪挿しや焼き物か飾られ、炊かれたお香の香りが静謐な空間を満たしていますね。
 きっと、入ったときに来てよかったと感じられると思います♪
 カウンターの上には赤唐辛子を模した箸置きと湿らせてある木の箸、そして白いナプキンです。
 懐石カウンター席料は一人3150円です。
 
 飲み物はほうじ茶を。
 給仕は仲居さんがして下さるのですが、きちんとこのほうじ茶を取り替えてくれます。

 
料理長おまかせ懐石コース 24150円。
 料理はこれだと思います。
 
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 最初はもろこの焼き物です。炭火をおいた陶器の上に丸い網を敷いてその上に盛り付けています。炭火の香りはうれしいですね。
 メインのもろこは食べやすいよう尻尾を切り落としてあります。淡水魚のもろこは骨まで柔らかくこを持っています。横の小皿は鮮やかな緑色の木の芽酢。ペーストにした木の芽にちょっとした酸味、そのさわやかな味がもろこをさらに美味しく食べさせてくれます。
 上にのっているのは苦味なくさっくり美味しいタラの芽の天ぷらとしっとりしたしいたけの天ぷら。この店は天ぷらも美味しいのだろうと感じさせてくれました。
 
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 次は木の板に2貫の寿司とハマグリ型の陶器の器。
 陶器の器の中には畑菜と独活の辛し和え。白ゴマを振ってある辛し和えは穏やかな味わいでしみじみと美味い。
 寿司はさよりとあなご。巻いてあるのは塩漬けの桜の葉。醤油をつけずに食べられるよう出てきたこの取り合わせが激ウマです!! 桜の葉の塩漬けも塩梅がとてもよく巻寿司的な感覚。ちょいとわさびも利いていました。
 

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 黒い陶器の器にふぐの白子です。
 この時期のふぐは白子が一番美味しくなるのだそうで。プリンとした弾力で中は箸だと切れてしまうほど柔らか。滑らかな口当たりに豊かな味わい。怒涛のように押し寄せる白子の美味さに悩殺寸前です。味付けはいやみなく美味しいポン酢に紅葉おろし。上には茹でた菜の花でした。
 
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 お椀は金色の模様も美しい黒塗り。
 具はしっとりした口当たりのアイナメと京都の伏見豆腐です。
 アイナメには梅肉、薄く揚げた揚げ出し豆腐のような伏見豆腐には細く切った茗荷、そして木の芽のような香りのある緑です。
 和風だしの味わいも贅沢にとられた濃い出汁にしっかりした塩気で実に好みの味わい。

 
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 刺身は驚愕の器に。黒い重箱にカキ氷を詰め、その上に透明で丸い大きなお椀。中にも氷をしいて蓮の葉の上に刺身を盛り合わせ、梅の花で飾っています。この透明なお椀、実はとても薄い氷なのです。作り方を聞くと、風船の表面に氷をはり、後から風船を割るのだそうで。
 肝心の刺身もフルフルした口当たりのオコゼ、固めのアオリイカ、鹿の子みたいに切込みを入れた赤貝で、どれも上質。すりたてのわさびに生海苔がついています。醤油だけではなく、大根おろしの入る辛目のポン酢でもいただけます。
 飾りである薄い菱形に切ったにんじん、大根、きゅうりさえもさっぱりと美味しい。
 横についている小鉢はオコゼの肝和えです。オコゼの身に皮がさいの目状に入っていて、皮はなまこか河豚の皮かというようなゼラチン質で美味。
 
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 しだの葉で飾った編み籠には焼いた石の上に乗せられた帆立貝の殻。しだの葉の焼ける香りが漂います。
 えんどう豆の緑色のピューレの上に伊勢海老の身の天ぷらと表面の水分を飛ばすようにカリッと焼いてあるホタテ貝柱、そして百合根です。
 熱々で蒸気が吹き出る仕上がりを匙ですくっていただく。
 
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 パリッとうろこを煎餅のように立てた甘鯛のうろこ焼きとたけのことワラビの煮物。カツオの削り節を直接のせております。先端の方のたけのこなのでざっくりとしつつ柔らかくて美味しい。
 
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 〆は土鍋で炊かれたアサリご飯。盛り付けるときには細かく刻んだ葱と刻み海苔を盛ってくれます。
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 米の立つ炊き方に程よい味付けとプリッとしたアサリがよい。
 添えられているのは鮎の稚魚である氷魚に大根おろし。香の物もいろいろです。
 味噌汁はめかぶととろろという変わった具。
 
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 水菓子はデコポンです。半分に切って下をくりぬき、デコポンのゼリーをつめています。上には普通に実が詰まっていますので、絞って汁をかけていただく。甘いその実も美味しい。
 
 総評は☆☆彡(二つ星半)です。
 ただし、普通の席がどうなのかは食べていませんのでわかりません。1日限定一組しかうけない部屋ですから。

 

 

10年11月20日に再訪しました。

 この日の夜は勉強会。上で勉強をした後にこちらを用意していただいています。 

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 懐石カウンターではありませんでしたが、奥の扉の向こうは和室がいくつもある区画でした。
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 「さくら」のお部屋でいただく。掘りごたつで座りやすい和室です。
 テーブルの上には黒いお膳。
 
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 飲み物はソフトドリンクのメニューに載っていないノンアルコールカクテルを注文。
 リンゴジュースにレモン汁と蜂蜜を加えたカクテル。
 
黒烏龍茶 840円
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 2杯目は健康に気をつかってこれ。
 
ジンジャ エール 640円
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 3杯目は炭酸が飲みたくなってこれを。小瓶だと炭酸があまり抜けなくて良いなぁ。ちなみに表記はそのままです。
 
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 前菜は四角い皿に盛り合わせ。ほこりがかからないようにするためか上に覆いが掛けられています。
 どけてみると赤と黄と緑の紅葉、下には藁の束…これらは飾りみたいです。
 左の黒い碗にはアン肝。上にはスライスした焼きリンゴ。さらにここに焼き林檎のソースです。
 中央のゆずを模した入れ物には揚げパンにこのわたを乗せたものです。これが意外に美味しい! ちょっとツブツブしていて味も深い。
 右は鯖生寿司。生姜酢で締めてあり、しっとり美味しい。ここに刻んだ長芋と菊の花。
 そしてこれらの上に乗っているのは京かんざしという細い人参の天ぷら。その葉まで天ぷらになって添えられています。癖がなく美味しい。
 
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 2皿目は握り寿司。左から平目、トロ、平貝。
 悪くはないけど、良くもないか。酢飯の量は多めでネタの鮮度はよい。でも、どこか足りない。
 正直な感想を書けば凡庸。わずかずつけちったように身が薄めで、これだ!!という満足感が得られない寿司。これならばコースに入れない方がよいのではないか。

 
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 碗は面白い形の赤い塗りの碗で。
 和の出汁はけっこう濃いめでぼく好み。上にはゆずの皮が飾られ、軸菜という緑の茎、大黒シメジという太く味の濃いシメジ、柔らかく煮込まれた蕪、鶏肉の真蒸、紅葉型に切られた人参。
 
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 棒状に切られた牛肉、細工包丁を入れたブロック状の茄子、ぎんなんを帆立貝柱入りの味噌であえて朴葉焼きに。小さいけど、炭火できちんと火を入れています。肉質も良く美味しいひと品でした。
 酢橘がついてきますが、あっという間に食べ終わってかけるのを忘れました(笑)。
 
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 2皿目の握りです。
 左から中トロ、真鯛、雲丹の軍艦、車海老、アナゴです。印象は先ほどと変わらず。
 そういえば、この不満足感…「久兵衛」でもそうだったような気がしてきました。
 
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 赤出汁は山椒の風味が強くて美味しい。汁物はぼく好み。あ、寿司が評価を下げていることに気がつきました。
 
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<にぎり>赤貝 <巻き物>ひもきゅう
 これはコース外で注文。ひもきゅうはメニューになかったのですが作っていただく。
 赤貝も包丁を入れて口当たりを良くしていますが、貧弱な感じがどうしてもしてしまいます。
 
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 最後に緑茶をいただく。
 
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 水菓子はガラスの皿に。綺麗に切ってあるラ・フランスとマンゴーピュレにザクロ、キウィ、ミントをのせたババロアでした。
 
 接客の仲居さんも良い感じですし、懐石カウンターがありますので総評はそのままに。しかし、寿司にもう少してこ入れが必要かな。。。

 

日本料理 木の花 (このはな) (懐石・会席料理 / 横浜)
★★★★★ 4.5