「HAL YAMASHITA(ハル ヤマシタ) 東京」(☆☆)
http://www.hal-yamashita.com/index.php
HAL YAMASHITA
 神戸の有名シェフが東京ミッドタウンで展開する新和食料理。

 多皿コースが中心で、禅をテーマにしたジャパニーズモダンだそうです。

 気持ちの良い東京ミッドタウンのガーデンテラスで、和食とは思えないそのコースは一度食べておいて損はないと思います。贅沢な食材同士の相性をもう少し突き詰めるとより素晴らしいお店になると思います。
 
住所:港区赤坂9-7-4東京ミッドタウンD-0119
電話:03-5413-0086
定休:月曜
営業:11時半~14時/17時~20時半
 
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 東京ミッドタウン ガーデンテラスの1階、2階の高さと同じだけある高い竹を配した吹き抜けに面したお店です。
 和食の店には絶対見えない黒塗りのシックな外観。店名は壁を抜いて白く光る文字。レセプションのスタイリッシュな女性に案内してもらって入店すると、最初にワインカーヴが目に入ります。そこを抜けると明るい店内。右はカウンター席。モダンなテーブルが並び、奥にはテラス席が見えます。公園に面しているので一面の緑。六本木でこれとは、さすがは一等地です。

 

08年6月11日昼の来訪。
 11時半の予約で伺いました。

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 いただいたのは入ってすぐ左の個室。

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 ダイニングとはガラス張りのワイングラスの棚で仕切られています。壁には店主の名前。
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 テーブルの上には黒いプレートと白いナプキン。
 フォークとナイフも用意されているのですが、いただくのは割り箸で。銀色で店のロゴが印刷された割り箸にびっくりです。
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 こちらは娘のためのセット。この日は途中まで爆睡していました。

 この個室、ややせま目の作りなので、座るのにテーブルの脚は邪魔だし、サーブする給仕の方も非常に窮屈そうです。奥のシェフズテーブルだとこういうことはないのかな?
 
ファジーネーブル 900円
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 ノンアルコールですが、基本はピーチリキュールとオレンジジュースのカクテル。
 
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パッションブリーズ 900円
 これもノンアルコール。レシピを調べると、ウォッカ、グレープジュース、アセロラジュース、パッションフルーツリキュールなのですが、これはパッションフルーツベースのジュースですね。 
ザクロジュース 800円
 赤黒いざくろのジュース。やや渋みが気になり好みの味ではありませんでした。

 
ぶどうジュース 800円
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 ワイン用の葡萄を発酵前にボトル詰めしたジュース。糖類は無添加。Weißer Traubenmostとエチケットにあります。オーストリアのものですね。
 
烏龍香茶(ハルヤマシタブレンド) 冷 650円
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 オリジナルブレンドの烏龍茶。濁りのある自家製の烏龍茶で香りは独特。最初の1杯は氷まで烏龍茶でできているというこだわりが見えました。2杯目からは烏龍茶氷がなくなったのか、普通のものに。
 
八女玉露 温 850円
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 デザイン性の高い平たい鉄瓶に。玉露にしてはかなり熱い温度で入れられています。もう少し旨味を抽出したような仕上がりだとより素晴らしいかも。
 
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 親父が最初に飲んだのはマンゴーのシャンパン。葡萄も使っているそうですがマンゴーも配合してあるそうで、香りはマンゴーのそれ。
 

 食事は昼ですが、夜のそれを願いしております。

 
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 付出はテリーヌから。焼きアナゴを中心にし、パプリカ、ヤングコーン、オクラ、ニンジン、アスパラなどの初夏野菜をたっぷり使っています。さっぱりしつつ野菜の味わいがそれぞれに明瞭で美味しい。優しい風合いのオーストリアのオリーブオイルをかけ、山椒で飾っています。もちろん、山椒をテリーヌに合わせるのも面白い組み合わせ。美味しくいただけます。上に乗せているのは1週間塩水に漬け込んだ自家製の雲丹の塩辛。塩味も強めで、濃厚な生雲丹の風味がとても良い。
 最初から和食ではないな(笑)。
 
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 パンはローズマリーを練りこんだ少し固めのパン。つけていただくのは卵黄にガーリックとチリソースを使ったディップです。ピリ辛ですね。
 
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 茨城県産の地鶏のたたきです。とてもレアな仕上がり。上には白胡麻がかかっていますが、ほんのりごま油の香りがしました。塩味は付いておらず、皿の左下にある燻製されたフルールドセルをつけていただくか、右上のマスタード酢味噌をつけていただきます。こういうアプローチもあるのですね。たたきの下にはアスパラ。これも鰹と昆布の出汁でさっと茹でたというこだわり。もう少し味に直結してくれているとうれしいかな。

 
 スペシャリテは不覚にも写真を撮り忘れました。どうもボッとしてしまっているようです。
 神戸牛の雲丹巻きです。上にはスモークしたキャビアとイタリアンパセリ。2つあるので最初は一口で。次はばらして食べてみました。
 神戸牛は刺身。柔らかな肉質で噛むと中からとろける雲丹があふれ出し、キャビアの塩気が混ざります。
 
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 蛤の殻を添えたグラタンに見えますが、これがクリームコロッケだという説明。中にはかにと蛤にホタテ貝柱。ベシャメルソースが旨い!!! 上はわずかにサクサクした感じで、ソースがかけられています。このあたりちょっとコロッケっぽいでしょうか。柚子の香りをつけてあるとのことですが、ソースにはあまり感じず。
 
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 三重県伊勢湾産のひらめの昆布締め。トリュフ塩で塩気をつけ、ポン酢がかけられています。周辺には摩り下ろしたカラスミ。上には刻んだ万能葱です。ひらめはやや厚切り。カルパッチョの変形みたいな仕上がりでした。
 
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 柔らかな蒸しアナゴ。上はバーナーで炙ってあるようです。中には酢飯ではなく、百合根のマッシュ。たらしてあるのは甘めの熟成バルサミコでした。うなぎの白焼きのような感じなので、わさびをつけていただくのも美味しかったです。
 
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 道北産大貝柱のバター焼きです。バターには発酵バターであるエシレバターをしよう。ここにもトリュフ塩を使っています。甘めの味付けでバターの風味が重なり美味しい♪ 上にはホタテのワタを表面がカリッとなるように焼いてありました。
 
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 米茄子のオーブン焼きに、白味噌と白胡麻のペーストを塗って、上にはコンフィにしたという合鴨。甘めの白味噌がなすに合うのはもちろん、鴨の脂が合わさってよい感じです。さっぱりさせるためかたっぷりの刻み万能葱がのっています。
 
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 低温で2時間ローストした神戸牛。みりんに醤油、そして米酢と雲丹を使ったソースがかけられています。さすがに神戸牛はジューシー。付け合せは洋風の外観に仕上げた高野豆腐。わさびと燻製したフルールドセルがここにも。それにしゃっきりした歯ごたえのわかめが付いていました。

 

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 ご飯はミニ海鮮丼です。錦糸玉子、海老、いくら、ガリ、きゅうり、そして甘めのたれを絡めてある桜鯛がのっていました。ご飯は酢飯ではありません。
 
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 最初のデザートは程よく甘いミルクの葛寄せの上に枇杷。梅酒のジュレをかけています。アルコールを飛ばし風味を残した梅酒のジュレに甘いミルクはとても好ましい。果実として枇杷を合わせているのもかわっていてよい。これは他の果物でもできそうです。
 
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 メインのデザートは左に本菖蒲の練りきり。右に甘みのまったくない抹茶のアイス。小豆餡が入る甘い和菓子に抹茶を合わせているという食べ方がとても気に入りました。中央にはなんとチョコレートで描いた竹の絵です。チョコレートソースは食べるものではないのでしょうが、市販のチョコレートソースの味でした。
 
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 娘にはワンプレートの料理。スズキのソテーにレタスとトマト。ご飯はお子様ランチらしくケチャップライスです。実はなかなか美味しい。
 
カプチーノ(+250円)
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 オリジナルエスプレッソに温かい濃厚なミルクフォーム。エスプレッソは苦味が十分きいたもの。ふかふかのミルクも濃厚でよい感じです。
 
HAL YANASHITA ブレンド冷水水出し宇治玉露
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 京都宇治の玉露に京抹茶を加えた冷たいお茶。天然水に火を加えず50時間かけて水出ししています。これが濃厚な抹茶。うわっと思いました。
 
 総評は☆☆(二つ星)。食材も贅沢に使っているのですが少々ぶつかり合っていまひとつに感じてしまうものもなくはありませんでした。神戸の有名店「ナダバンダイニングコウベシティ」の東京進出店とのことですので、よりこなれてよくなっていってくれるでしょうか。それとも…支店にしかすぎないのでしょうか。

 

HAL YAMASHITA 東京 (はる やました とうきょう)