じゃがりこ | …

i am so disapointed.

風呂上がりに猫と目が合った。そして、鳴いてきたので外に出さなければならなかった。

翌日は朝早くから仕事場に行きたかった。仕事をする上で、早朝は黄金の時間である。とにかく他に誰もいないので、効率がすこぶる良い。パフォーマンスを高めるためにも、早めに眠っておきたかった。しかし、猫が外に出してほしいというならば仕方がない。

見張りながらiPhoneでツイッターのタイムラインを眺めていた。Negiccoのメンバーのアイコンが流れてくると、何か楽しい報告に違いないと、わくわくしてくるのである。

リーダーのNao☆ちゃんが「#Negiccoムービー」というハッシュタグが付いたツイートをしていた。インスタグラムへのリンクが貼られていて、「WHO ME」とだけ書かれていた。

もちろんクリックして観てみたのだが、そのまま6回ほど連続再生し、翌日も何度か繰り返し観た。それぐらいゴキゲンな内容だった。

カルビーから出ているポテトスナック菓子、じゃがりこの容器をシャカシャカ振りながら、「じゃがりこはいかがですか」と、おもしろくつくった声がしている。その先には水色のTシャツを着た人が映り、やはりおもしろくつくった声で「食べたい」と言っている。Tシャツには大きなクマとパンダのようなイラストが描かれ、「WHO ME?」と書かれている。

じゃがりこを差し出しているのがNao☆ちゃんで、「WHO ME?」のTシャツを着ているのがNegiccoのかえぽことKaedeである。Nao☆ちゃんは「HOW ME?」とTシャツの文字を読み間違えるのだが、すぐに「WHO ME?」と訂正され、「WHO ME?か」と言う。

かえぽはじゃがりこをTシャツのパンダのイラストの部分にあて、「食べてます」とやはりおもしろくつくった声で言う。「顔、映していい?」「いいよ」というやり取りがあり、カメラが上に上るのだが、そこで満面の笑みのかえぽが映る。それから、「じゃがりこじゃがりこじゃがりこ」「WHO ME?」「WHO ME?」「ふはは」「へへ」というやり取りがあり、ムービーは終わる。

と、このように説明したところで、その良さがまったく伝わらない。ここに表現力の限界を感じ、絶望的な気分になるかといえばそんなことはなく、もちろんまた同じムービーを繰り返し再生し、ドラッギーな快感に浸るのであった。

💚WHO ME💚

続いて、「じゃがりこはいかがですか?」というタイトルのツイートで、やはりハッシュタグは「#Negiccoムービー」でインスタグラムへのリンクが貼られている。もちろん、再生する。

なぜかモノクロで腰を曲げておばあさんのようなポーズを取ったNao☆ちゃんが、やはりじゃがりこをカシャカシャと振りながら、「じゃがりこはいかがですか」と言う。おそらく「打倒パフィー!!」と書かれたTシャツを着ているのであろう。そこには狂気一歩手前ともいえる、よく分らない迫力がある。これは一体、何なのだ。

バックで「マジックみたいなミュージック」のおしゃれなサウンドが流れ、その対比がまたじわじわくる。そして、Nao☆ちゃんは売り物だと思われたじゃがりこを1本取って食べると、笑みを浮かべる。いや、自分で食べるんかい。

💚じゃがりこはいかがですか?💚

これだけでもすでにお腹いっぱいという感じなのだが、さらに「ダンスレッスンにて」と題されたものが投下される。もちろん、リンク先のインスタグラムを再生してみる。

やはりじゃがりこをシャカシャカと振りながら近づいていく。今度の対象は、ダンスレッスンをしているぽんちゃことMeguである。ここで蔑んだような冷たい表情から最高の笑顔に変わるのだが、これがじつに素晴らしい。その後もじゃがりこを食べるようで食べずに、クールな表情でダンスレッスンを続けるのだが、何かにどこかをぶつけるという絶妙なオチが付くのであった。

その後、同じくダンスレッスンをしているかえぽにじゃがりこを差し出すが、口で受け取った後、何事も無かったように続行されていく。

メイキングとミニコントがハイブリッドしたかのようなこの短いムービーを、やはり繰り返し何度も観てしまう。

💚ダンスレッスンにて💚

Negiccoの最大の魅力はそのクオリティーの高い作品だとは思うのだが、それが実現できているのも、やはりこのメンバー同士の関係性や世界観があってこそだと思うのだ。そういった意味でこのようなコンテンツは、Negiccoの作品を補完しうるものだといえるだろう。

また、Nao☆ちゃんのこういった発想のルーツ、笑いに対する価値観というのが、またひじょうに興味深いものに思えた。

イヤフォンをしてiPhoneの画面を眺めながら、真夜中に1人で薄気味の悪い微笑みを浮かべている私を、マンションの階段の上から、猫が冷静に見ていた。



ティー・フォー・スリー/Negicco

¥3,024
Amazon.co.jp