雨vs.俺 | 想像妄想空疎空想うそ日記

雨vs.俺

 買物を終えてデパートを出ると、空いっぱいに暗い雲が広がっていた。
「やだなあ。傘持ってないよ」
 うっかり呟いたところ、意地悪な雨雲に聞きつけられた。空がごろごろと喉を鳴らして笑い、とたんにざんざんと雨が降り始める。
 仕方なく店内に引き返して、買物をしてまた出た。俺が手に持つ細長い包みを見て、雨はぴたりと降り止む。
 ふっふっふ。
 引っ掛かったな。
 残念! これは傘ではなくて、ステッキなのでした! そうそういつも思い通りになるものか。ざまあみろ。
 さっそく友人に雨雲を出し抜いたこのエピソードを自慢すると、彼は言った。
「で、このステッキ何に使うんだ?」
 ……。
 ダンスとか……。