小鳥は
鳴くために生まれてきたよ
光の中で鼓膜を震わす
その鳴き声は
家々の窓をたたいたり
空まで突き抜けようとしてる
声する方を仰ぎ見れば
影の先にとまっている小さな体
バイオレンスの愛玩
留まっては鳴き、飛んでは鳴き
鳴きながら、次に向かうのは、どこ?


人の心のさざ波が寄せては返す
海が呼吸をしているような
そんなあたりまえのことが
刺さるのは、何故?
海水が塩辛いように
辛いのは、永久?
水蒸気になって
私は雲の中へ逃げ込んだ


損保ジャパンの美術館へ行った
「樹をめぐる物語」
フランスの自然を歩いてゆるりとしたよ
昼下がりや夕暮れ、日没の頃
深い森の中、水のある景色
林の小道を歩いていくと
偶然出会う人

コローが一番お気に入りであったぞ
ここに映る人の営みは
静かであり平和であるの
樹木が、空が、あって
大気に包まれている感じ
そこに、人が居なくてはいけない
物語はドラマティックにならないよ
その人の心象風景に
キャンバスに広がる世界に
封じ込められた魂の歓喜に
溶解したいから

ゴーソンの点々や
ドニの縁取る景色が
夢の中だったら楽しいね
木も空も家も道も
あなたもわたしも、みんな同じに
点々や縁取って存在すの!
そうして、挨拶したりするの。


6月の花は雨が似合う
時おり雨粒に着替えたりして

朝を迎えるの
艶やかに弾む色

誰に見てもらいたいの?
こんな姿もきれいでしょう

雨が降ってるね
梅雨はいつからかな
午後は雨上がるかな

・五月雨の玉をあしらひ軒の花