おはようございます。

久々の本館ボツネタのお話をUP

『愛を叫べ 9』 で頂いたふにゃろば様のコメントをもとに作成してみました。




「何がしたい?」

道明寺にしては珍しい人の意見に耳を傾ける態度。

希望を言わせただけで却下ってこともあるから慎重にかまえてしまう。

なら聞くなよと私に言わしめたことは一度や二度じゃない。

この点に関しては道明寺をほぼ信用してない私。



「そうだね、食後の運動なら卓球とかがいいかな?
 テニスだと、激しすぎてお腹が痛くなりそうだし。
 あ、ゴルフの打ちっぱなしっていうのもいいかも。
 弁護士のコンペでよくゴルフ大会が開かれるんだけど、  私、あんまりうまくないんだよね。
 道明寺、教えてくれる?」

教えてくれる?

この一言が重要な意味をもつ。

思いつく運動をいろいろ上げてその中から選ばせる。

実は道明寺がゴルフを選ぶのは決まっている。

教えての言葉をつけることで道明寺は気分よくゴルフを選択するはずだ。


弁護士同士の仕事の付き合いでゴルフコンペの予定が1か月後に入ってるのは本当だ。

ゴルフの経験もあんまりない私がいきなりコースデビューって言うのは無謀だって思う。

誰かにお教えを請うつもりだったのだから道明寺に教えてもらえば一石二鳥と言うわけだ。

でも・・・

道明寺ってゴルフやってたっけ?


「いいとも」

なんとなく道明寺のにやりとした笑みに危険を感じた。


それじゃと連れてこられたのはゴルフショップ。

「お前はゴルフ道具はもってねぇよな?」

打ちっぱなしって道具とか借りれるんじゃないの?


「別に買わなくてもいいんだけど」

「俺が買ってやるって言いってるんだから遠慮するな」

遠慮じゃなくゴルフが一回きりで終わるかもしれない。

まだ必要ない気がするだけで。

いらないと言う私は完全無視で道明寺は次々と店員にゴルフクラブを一式を持ってこさせて私の目の前に並べてる。


このパターって・・・20万円・・・って・・・一本でこんなにするの?

展示されてる中にはセットで5万円っていうのもあるけど、あれじゃダメ?


「女性用のウッドにアイアンにパターの基本セットを初心者向け最高級をそろえてくれ」

ゴルフって女性用と男性用で違うんだと初めて知った。

感心してる場合じゃない!

20以上が10数本って100万は超える。

初心者なら初心者のお手軽価格で十分。

それこそゴルフセットは必要ない。

今日は軽く打ちっぱなしの練習に行く程度だぞ!


私の意見など聞くはずもなく勝手に道明寺は商談を始めちゃってる。


「感覚を確かめるために試し打ちできるからやってみるか」

店の奥にあつらえた部屋。

その中にはゲームセンターにいるような感じだ。

白い画面に反映されてる広々としたゴルフコースのラフの映像。

左右には松林が広がるコース。

斜め100H先にはバンカーまである。


「アイアンを握って」

私を立たせた後ろから道明寺が手が私の手の上に添えられてる。

背中に感じる道明寺の胸板。

伸びてきた腕はそのまますっぽりと私を包み込む。


「足は肩幅に開く」

被さるようにして、二人羽織のごとく一緒に握るクラブ。

道明寺の手のひらの熱さと耳孔に吹き込まれる吐息。


「もっと力を抜く」

「柔らかく握って」

握られてるのは私のはずなのに自分のすべてが道明寺の手中にあるようで心臓が落ち着かない。


「腰が入ってないぞ」と言いながらウェストやヒップ、はては太腿のあたりまで撫で回すような道明寺の指使いは刺激が強すぎる。

いつの間にか店員もいなくなってるし・・・・



「それじゃスイングしてみるぞ」

道明寺の腕の動きに合わせるようにアイアンを振り上げる。


「スコッ」

ゴルフボールの上をわずかにかすっただけの空振り。

コロッとボールは前に数センチ転がっただけ。


無理!


集中できるはずがなかった。