福岡県議の方から、「放課後児童クラブには多くの子どもが集っている。その中には学習する子どもも当然いる。小学校低学年くらいであれば、放課後児童支援員が勉強を教える事が可能であるにもかかわらず、放課後児童クラブは厚生労働省所管のため、一切、そういう学習指導が禁じられている。おかしいのではないか。」というご指摘がありました。

 

 文部科学省と厚生労働省の百年戦争の一端だな、とは思いましたが、直感的に「全く禁じられているという事ではないだろう。」と思ったので調べてみました。

 

 厚生労働省が出している「放課後児童クラブ運営指針」という技術的指針がありました。その中にこういう部分がありました。

 

【指針抜粋】

第3章 放課後児童クラブにおける育成支援の内容

1.育成支援の内容

(略)

(4)子どもにとって放課後児童クラブが安心して過ごせる生活の場であり、放課後児童支援員等が信頼できる存在であることを前提として、放課後児童クラブにおける育成支援には、主に次のような内容が求められる。

(略)

⑤ 子どもが発達段階に応じた主体的な遊びや生活ができるようにする。

(略)

・ 子どもが宿題、自習等の学習活動を自主的に行える環境を整え、必要な援助を行う。

 

 厚生労働省の説明では、「この指針を踏まえて、各放課後児童クラブの事情に応じた対応をしていると思います。」でした。

 

 簡単に言うと、文科、厚労の百年戦争の産物です。学習指導していいとも書いていませんし、絶対にダメだとも書いていません。児童クラブでの学習活動はあくまでも「自主的」なものとしている部分は文部科学省の主張通りです。そして、最後に「必要な援助」という多義的な言葉を入れ込んだのは、学習指導の可能性を残した厚生労働省の主張です。

 

 さて、これを読んで、各自治体、各放課後児童クラブはどう判断をしているでしょうか。対応はまちまちです。「必要な援助」に「学習指導」を読み込んで子どもの自主的な学習活動をサポートすることが可能であるようにも読めますし、「必要な援助」とは場所、環境の整備に留まると判断することも可能です。全国的にかなりの差があるように思います。

 

 百年戦争から来る霞が関文学の解釈をすべて現場に委ねているように見えてなりません。

 

 勿論、人的、物理的な制約から、すべての放課後児童クラブで学習指導をやるべし、とすることは絶対に出来ませんが、指針レベルでは、学習指導を可能とする方向に少し緩めてもいいのではないかなと思います。いずれにせよ、今の指針の表現ではダメだと思います。