治大国若烹小鮮 おがた林太郎ブログ

衆議院議員おがた林太郎(福岡9区)が、日々の思いを徒然なるままに書き綴ります。題は「大国を治むるは小鮮を烹るがごとし」と読みます。


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 さて、フランス大統領選挙が近付いてみました。それなりに平素からフランスの報道に接している身として、ちょっと変わった視点から「フランス大統領選挙の見方」を提示したいと思います。

 

1. 全体像

 数字を入れた予想を当初書いたのですが、さすがに止めました。定性的な評価に止めておきます。

 

【第一回投票】

マリーヌ・ル・ペン国民戦線党首(極右) : 若干下げのトレンドに見えるが底堅いはず。

エマニュエル・マクロン元経済相(中道) : 当初の期待感が冷め、若干下げのトレンド。踏みとどまれるか。

ジャン・リュック・メランション元職業教育相(左派中の左派) : 赤丸ついて急上昇中。

フランソワ・フィヨン元首相(右派) : 組織力で猛追。しかし、伸び悩み。

ブノワ・アモン元教育相(左派) : 完全に埋没。メランションに良い所を持っていかれている。

 

【第二回投票】 → 何か書こうかと思いましたが、複雑すぎて止めました。普通に考えれば、マクロン元経済相のはずですが...。

 

2.第一回投票:「おしおき票」の存在

 フランス大統領選挙の第一回投票では「おしおき票」が出ます。第二回投票(決選投票)は最終的大統領を選ぶのだからそれなりに抑制するけど、第一回投票は「おしおき」的意味を込めて投票する人が多いのです。似たような感じになるのが、欧州議会選挙と地方議会選挙です。いずれも「あまり日々の生活に関係していないように見える」からです。

 

 これが如実に働いたのが、2002年フランス大統領選挙。1997年~2002年までは保革共存政権で、右派のシラク大統領、左派のジョスパン首相という布陣でした。そういう中、第一回投票で「おしおき票」が効き過ぎて、1位シラク大統領、2位ル・ペン国民戦線党首(マリーヌの父)、3位ジョスパン首相になってしまいました。この時、5位から9位までは左派系候補が4~6%の票を取っていました。「こういう結果になるのなら、ジョスパンに入れておけばよかった。」、そんな声が左派側から選挙後に出て来ました。これらの候補に対する票の一部は、正に「(現職首相に対する)おしおき票」だったのです。

 

 そういう観点から、既存政党のアウトサイダーであるル・ペン、メランションあたりに票が集まるような気がするのです。皆、「どうせ第二回投票では当選しないのだから。」と思いながら投票するわけです。更にル・ペン候補については、トランプ現象と同じで「世論調査で表に出て来ない隠れル・ペン支持者」が結構出てくるような気がしています。なので、世論調査では少し下げ気味ですが、25%超えが見えてくるような気がします。逆にマクロン候補は真新しさで伸ばしていましたが、ここに来て政策の具体性等で評価に陰りが見えてきています。それを猛追しているのが、これまた、アウトサイダー的な色彩の強いメランション候補です。なお、メランション候補はSNSの活用がかなり効果を見せています。

 

 これらを踏まえれば、直感的には、ル・ペン、マクロン、メランションの順ではないかと見ていますが、2位争いはかなり熾烈だと思います。

 

3.第二回投票:ル・ペン勝利は考えにくい。ただ、それでも驚異的な数字。

 第二回投票は、第一回と異なり、結構本気度が出てくる投票行動になります。もはや「おしおき票」はありません。オランダの総選挙で下馬評ではかなり伸ばしていた極右自由党のウィルダース候補が最後の伸びを欠いたのと同じような感じでしょう。さすがに「ルッテ首相に不満はあるけど、かといってウィルダースじゃないだろう?」という思いが多くのオランダ人の心の中に去来したのだと思います。

 

 最近の各種選挙を見ていると、相手が誰かによっても異なりますが、ル・ペン候補は40%を若干下回る数字を窺ってくるでしょう。2002年の時はル・ペン(父)候補は、第一回から第二回に掛けて殆ど得票を伸ばせませんでしたが、今回は伸ばすでしょう。特にフィヨン候補支持者の一部は間違いなくル・ペン候補に行くでしょうから。

 

 それでも50%を超える事は想像しにくいですが、もう一度頭をフラットにして考えてみれば30~40%を狙える所までの勢力になっている事自体が本来脅威なのです。「極右の陳腐化」という現象を正直に受け止めなくてはなりません。

 

4.既存政党の不人気: 左右二大勢力の時代は終わったか?

 ここで気付くのが、ル・ペン、メランションは政界のアウトサイダー、マクロンも既存政党の枠組みにはない候補です。右派共和党のフィヨン元首相は妻等への不正給与汚職疑惑で伸び悩んでいますし、社会党候補のアモン元教育相はさっぱりです。

 

 本来、フランスにおける選挙の二回投票制というのは「(大まかに)左派・右派の二大勢力による競争を促す」と見られてきました。フランスの政界は、元々は共産党、社会党、中道右派、右派の4勢力で戦う中で、どの選挙でも第一回投票で左派内(共産党、社会党)、右派内(中道右派、右派)でそれぞれ上位だった候補が第二回投票に出てきて、最後は左派連合 vs 右派連合で戦うという構図でした。第五共和制はそれで長らく回ってきました。

 

 しかし、それらの既存政党で取り込めない勢力が伸長してきているのが現状です。もはや、フランス共産党は自力で大統領選挙に候補を立てる事が出来ず、メランション候補を応援する一勢力になっています。本来、国政の最前線に居るはずの共和党、社会党は、今回、いずれも第二回投票に残れない可能性が極めて高いです。マクロン候補は中道色がしていますが、かといって既存の中道政党の枠には全く嵌まらず、何処かアウトサイダー的です。

 

5.エッジの効いた主張 : 「生ぬるい主張など聞きたくない」?

 極右のル・ペン、左派(極左とまでは言わないがかなり左)のメランションは、いずれも主張が極めてエッジが効いています。それだけではありません。共和党のフィヨン候補とてその主張はル・ペンに引っ張られてなのか、右派のかなり右の方です。一方、社会党のアモン候補は社会党最左派であり、その主張はあまりメランション候補と変わりません。共和党の党内候補者選びで中道右派のジュペ候補が負け、社会党の党内候補者選びで社会党最右派のヴァルス前首相が負けたのも併せ示唆的です。

 

 それ以外の候補の中にも極めてエッジの効いた主張をする方がいます(というか得票率5%を下回る候補は大半がそういう方々)。そうすると、第一回投票だけを見てみると、国民の支持の行き先の大半は「実現可能性はともかくとして、聞こえのいいエッジの効いた主張をしている候補」です。昔からフランス大統領選挙ではそういう傾向はあったのですが、今回は特にそれが目立ちます。

 

 では、中道と言われるマクロン候補はと言うと、「雰囲気優先」でこれまた主張がよく分からないのです。終盤に差し掛かってきて、実現可能性があるのかどうかもよく分からない政策が掲げられています。

 

6.結局、すべてモヤモヤの中

 となると、投票に際しての判断基準がよく分からないのではないかな、と私には思えてなりません。「政策そのもの」、「実現可能性」、「ステレオタイプ」、色々な可能性がありますが、今回程、「何を基準に選ぶんだろうか?」という事が分かりにくい選挙はありません。すべては五里霧中な感じがして、誰が当選しようとも先行きが極めて見えにくいというのが正直なところです。2012年のオランド大統領、2007年のサルコジ大統領、2002年のシラク大統領の時はそういう感じはありませんでした。

 

 私はこんな感じで見ています。しつこいですが、あくまでも「一つの見方」として捉えていただければと思います。

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 今日の内閣委員会の最後で、少しだけトランプ政権(というか共和党指導部)がやろうとしている「国境税・国境調整措置」を取り上げました。短時間でしたが映像はココです。

 

 特定の国からの輸入に課税をする「国境税」については、さすがに米共和党も筋悪だと思ったのでしょう。今、共和党指導部が提示しているのは「国境調整措置」です。これはよく見てみると「とてつもなくどうしようもないもの」とまでは言えないような気がしています。国境税の文脈よりも、むしろ税制のあり方として捉えていく必要があります。

 

 アメリカは昔から他国がやっている輸出に際しての付加価値税の還付に不満を持ってきました。日本の消費税は、輸出するものについては消費税を還付します。これは何故かと言うと、「付加価値税は消費される場所で課すのが適当」とする仕向け地主義を世界的に採っているからです。しかし、米国は州毎の付加価値税はありますが、国レベルでの付加価値税がありませんのでそういう還付はしません。

 

 そうすると、例えば、第三国のマーケットで、輸出段階で消費税の還付を受けた日本車と、そうでないアメリカ車では競争力に差が出るという不満になるわけです。勿論、これに対する日本側の対応は「国レベルで付加価値税を設けて、それに仕向け地主義を採用すればいいではないか。」となるわけですが、連邦政府と州との関係を根本から見直さなくてはならず、そう簡単には行きません。

 

 そこで今回、共和党指導部が、トランプ大統領の国境税の議論を引き取る形で、法人税にこの仕向け地主義を導入するアイデアを持ち込んできたという事です。まだ、はっきりとした事は分かっていないのですけども、漏れ聞こえてくる限りにおいては、輸出する際には輸出収入を法人税の課税対象から外す、輸入する際にはその製品は米国外で発生した費用なので損金扱いせずに法人税の課税対象とする、そういう発想です。

 

 ただ、このアイデアについては、輸出についてはWTO補助金協定、輸入についてはGATTが伸し掛かります。武井外務大臣政務官が答弁してくれています(最近、同政務官とのやり取りが増えております。)。

 

【WTO補助金協定】

第三条 禁止
3.1 農業に関する協定に定める場合を除くほか、第一条に規定する補助金のうち次のものについては、禁止する。
(a) 法令上又は事実上、輸出が行われることに基づいて(唯一の条件としてであるか二以上の条件のうち一の条件としてであるかを問わない。)交付される補助金(附属書1に掲げるものを含む。)

(略)


附属書1 輸出補助金の例示表

(略)

(e) 商工業を営む企業が支払う又は支払うべき直接税又は社会保障負担金につき、輸出に関連させてその額の全部又は一部の免除、軽減又は繰延べを認めること。

(略)
(g) 輸出される産品の生産及び流通に関し、同種の産品が国内消費向けに販売される場合にその生産及び流通に関して課される間接税の額を超える額の間接税の免除又は軽減を認めること。

(略)

【引用終了】

 

 つまりですね、直接税の免除は輸出補助金で禁止、間接税については「生産及び流通に関して課される間接税の額を超え」なければ輸出補助金として禁止されないのです。なので、仕向け地主義を間接税でやれば◎、法人税でやれば×という事になるわけです。

 

 また、輸入において仕向け地主義を導入して、輸入品は損金扱いせず法人税課税してしまうと、何故、輸入品だけ課税されるのかという視点からGATT第3条の内国民待遇に反する可能性が高いのです。

 

【GATT】

第三条 内国の課税及び規則に関する内国民待遇

(略)

2. いずれかの締約国の領域の産品で他の締約国の領域に輸入されるものは、同種の国内産品に直接又は間接に課せられるいかなる種類の内国税その他の内国課徴金をこえる内国税その他の内国課徴金も、直接であると間接であるとを問わず、課せられることはない。(略)

 

 こういう条約上のルールがあるので、上記の国境調整措置はそうそう上手くは行きません。しかし、よくよく考えてみると、特に輸出の部分では、何故法人税の仕向け地主義が輸出補助金に当たり、間接税の仕向け地主義が輸出補助金に当たらないのかという、税理論上(条約上ではない)の論理的な説明をする事は簡単ではないように思います。一つ確実に言えるのは、付加価値税では仕向け地主義が世界的にスタンダードになっているという事なのだと思いますけども、そんな事はアメリカには関係のない事でしょう。

 

 最後に三木財務大臣政務官はなかなか面白い答弁をしています。法人税への仕向け地主義を導入する事の意味合いを以下のように言っています。

 

● 企業立地に中立な税制となり得る可能性がある。

● 輸出超過国にとっては税収減。

● 輸入品の値段が上がるので消費者の実質所得減となる。

● 輸入企業の競争力が下がる。

 

 その他にも多くの論点があるので、今日はキックオフという事でやらせてもらいました。まだ、国会議員で関心を持っている人は僅かですが、この件は絶対に今後、日本において大きくなってくるテーマです。

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【要旨】

 本日、医療ビッグデータ法案の審議、採決で質疑立ち。事前の法案修正(+附帯決議)の協議で東奔西走し、我が方の問題意識を取り込む修正を実現。感慨深いものがある。この法案で医療ビッグデータをめぐってどういう情報の流れ、対価(おカネ)の流れが出来るのかはちょっと見えにくいところがあるが、いずれにせよ、今後、医療ビッグデータを活用した最新の医療研究が進むことを希望。

 

【本文】

 今日、内閣官房作成の「医療分野の研究開発に資するための匿名加⼯医療情報に関する法律案」の審議が行われました。私も質疑に立ちましたが、質疑よりもむしろここに至るまでの方が長かったので少し経緯も含めて説明します。

 

 法案は通称「医療ビッグデータ法案」と呼ばれています。概要はこんな感じでして、医療機関等が保有する医療情報を、認定された事業者が匿名加工し、その集合体であるビッグデータを医療研究の用に供するといったものです。基本は2年前に成立した改正個人情報保護法で。同法において、個人情報を加工して誰のものか分からなくする匿名加工情報というカテゴリーが作られた事を医療分野で更に発展させるというものです。

 

 基本的には、我が方も賛成でして、こういうビッグデータを活用する事で色々な医療分野での研究開発が進む事を望むものです。そういった中、党内の会議で概ね以下のような問題提起がありました。我が党に対して色々な意見をお持ちの方がおられると思いますが、本当に党内の会議では良い意見がたくさん出て勉強になりました。特に参議院の先生方の知見には舌を巻きました。

 

(1) 例えば、学校保健安全法(学校における健康診断)、高齢者の医療の確保に関する法律(特定健診)、労働安全衛生法(事業者検診)、妊婦検診及び乳幼児健診(母子保健法)といった法律で行われる健診で得られた情報がどうなるのか。事実上義務的に受けるものもあり、そのデータが自分達の知らない所で使われているのであれば懸念は大きい。その観点から、オプトアウト(自分の医療情報は使われないようにするための申し出)の規定はとても重要。また、オプトアウトは簡便にしないと、高齢者に複雑な手続きを求めても形骸化するだけ。

 

(2) 法案内では、個人に対する不当な差別等に繋がらないようにするための規定は盛り込まれているが、ビッグデータとなった結果として地方自治体、事業所その他の各種団体に対する不当な差別が生じる事があり得る(例:○○市は●●の疾患が多いらしい、という評判)。そこへの配慮はどうなっているのか。

 

(3) 医療機関等→認定事業者(匿名加工をする事業者)→利活用者と情報が渡っていく中で、情報の扱い、対価の金銭面等でおかしな事が起こらないようにすべき。また、利活用者が目的外使用をすることのないようにすべき。

 

 党内で本法の責任者である北神圭朗議員の命を受け、内閣委野党筆頭理事である私がこれらの問題意識を法律に盛り込むための修正協議に臨みました。与党の平井卓也筆頭理事、福田峰之理事(法案担当)とかなりの回数、議論を重ねました。最終的に纏まった修正案(要綱案文新旧対照表)、そして附帯決議はこれだけ読んでもなかなか分かりにくいのですが、上記の問題意識は完全に取り込まれています。小難しいですが、一応解説はします(備忘録ですので、飛ばしていただいて結構です。)。

 

【我々の問題意識と最終的な決着との対比】

・ オプトアウトを一般論として簡潔にすべきとの当方提案:第三十条を修正の上、主務省令で対応。押さえとして附帯決議1.と質疑で主務省令の内容を担保。

・ 特に学校や事業所での健康診断での権利保護の当方提案:附帯決議4.で対応。

・ 個人、団体又は地域への不当な差別が生じないようにすべき:第四条修正+附帯決議2.で対応。

・ 医療情報や匿名加工医療情報の公正かつ適切な提供及び利用:第八条、第十七条の修正+附帯決議3.で対応。

(注:附帯決議5.は昨年成立した官民データ利活用法との関係を盛り込んだものです。)

 

 今回の修正や附帯決議にあるような問題意識は、政府側にも勿論あったのですが、法文上明確でなかったのです。その点を明確にさせ、かつ質疑で更なる明確化をする方向性を作りました。この手の修正協議で満額回答というのはあまり例がありません。自民党の平井筆頭理事、福田理事や内閣官房、衆議院法制局、衆議院委員部、色々な人にお世話になりながら修正協議を無事終える事が出来ました。

 

 ここまでが事前の仕切りでして、この作業を了した上で質疑に臨みました。事前に神山洋介理事、初鹿明博議員、北神圭朗議員が質疑した後でしたので、私が用意した質疑の一部は既に出てしまいましたが、それなりに取捨選択しながら質疑をしました(映像はココ)。

 

 上記に書いた事の確認の部分以外で言えば、この仕組みを導入する事によってお金の流れがどうなっていくのかという事を質問しています。つまり、この医療ビッグデータ法をめぐってどういうマーケットが出来るのかという事が想像できないのです。

 

 情報の流れは医療機関等→認定事業者→利活用者であって、対価の流れはこの逆です。医療機関等から認定事業者には、匿名加工前の生データが行きます。そして、その対価は「コスト」のみという事になっています。ただ、普通に考えるとシステム整備にお金が掛かりますが、政府はそのお金は認定事業者が面倒を見る事を想定しているようでした。かつ、医療機関等からすると、「無いとは思うけど、もし情報が漏洩してしまったら…」というリスク要因を抱えます。そうすると、生データ提供に対するシステム+リスク対応という分がコストになれば、1データ毎の金額は相当に跳ね上がるのではないかという気もします。

 

 そうすると、認定事業者の収入はすべて利活用者からの対価が原資ですから、認定事業者から利活用者への匿名加工されたビッグデータの提供で相当な金額での売買が成立しないと、認定事業者は医療機関等への対価の支払いができないんじゃないかなという気がするのです。利活用者から認定事業者に払われる対価の水準について、政府は「情報収集加工コストを基本に適度のマージンを上乗せ」と言っています。これが何なのかはよく分かりませんでした。

 

 もっと言うと、認定事業者から利活用者にビッグデータを提供(売買)する場合にオークション的な事が起きてしまうのではないかという懸念もあります。「●●製薬さん、幾らで買うって言ってます?うちはその倍出しますから、うちだけに提供してください。」、公益性のある研究開発に資するようにやる仕組みですから、そんなやり取りが起こらないようにしてほしいと思います(法案修正でもその取っ掛かりとなる規定は盛り込んでありますので。)。

 

 まあ、その他質疑では色々とありましたが、質疑終局後に私が上記の修正案の趣旨説明をして、討論があり、採決(わが方は賛成)、最後に附帯決議と流れていきました。近々本会議採決もあるでしょう。自分の手掛けた修正が法律として残っていくというのはそれなりに感慨深いものがあります。備忘録的な意味合いが強いですが、このブログにメモとして残しておきます。

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【要旨】

 本日、決算委員会分科会で質疑。シリア情勢についての基本的な日本の立ち位置、対北朝鮮での抑止の効果検証、経済協力、外務省の研修体制について足早に質問。特にシリア情勢については、政権の本音、苦悩が見え隠れする内容だった。

 

【本文】

 今日、決算委員会第一分科会で質疑に立ちました。内容はシリア情勢、北朝鮮情勢、経済協力等について官房長官、外務副大臣に質問しました。シリア、北朝鮮については、基本的に事実確認的な内容に徹していますが、非常に示唆的な答弁があったと思います。それぞれの映像はリンクを見ていただければと思います。

 

● シリア情勢

 まず、冒頭、シリアにおいて「化学兵器は使用されたのか」、「使用したのはアサド政権か」の2点について聞きました。答弁は、前者については「はい」でしたが、後者については現時点では確定的な答弁がありませんでした。

 

 また、化学兵器の使用はレッドラインを超えたのか、と質問しました。この「レッドライン」という表現は、2013年時点でオバマ大統領が使った表現です。通常、米国大統領が「レッドライン」という言葉を使えば、「やったら武力行使だ。」という事を含意します。しかし、オバマ大統領は化学兵器使用に対してそのオプションを選びませんでした。それがオバマ大統領の権威の低下を招いたわけでして、今回、トランプ大統領がシリアに攻撃をしたのは、その時との対比を強く意識したのではないかなと思っています。なお、答弁は「米国が判断する事」というちょっと「?」な答弁でした。

 

 そして、イラク攻撃の時との対比で誰もが気になる「証拠の提示はあったのか?」という問、これは聞かざるを得ません。答弁は「米国とのやり取りの詳細については控える。」というものでした。まあ、これ以上の答弁は用意されていなさそうでしたので、これはあまり追いませんでした。

 

 更に本件に伴う安倍総理の声明について質問しています。これはメディア各位が間違って報道しているものです。安倍総理が言っているのは、以下のようなものです。

 

① 化学兵器の拡散と使用は絶対に許さないとの米国政府の決意を支持

② 今回の米国の行動はこれ以上の事態の深刻化を防ぐための措置と理解

③ 国際秩序の維持と同盟国と世界の平和と安全に対するトランプ大統領の強いコミットメントを高く評価

 

 まず、日本が支持したのは①「決意」です。「行動」ではありません。そして、高く評価したのは一般論としての③「平和と安全に対するコミットメント」です。逆に「米国の行動」については、単に「これ以上の事態の深刻化を防ぐための措置と理解」しているに過ぎません。

 

 メディアは「米国の行動を理解」と報じているところも多かったですが、これは間違っています。「理解」という言葉には幾つかの意味があり、「物事のすじみちをさとること。わけを知ること。物事がわかること。」というものと、もう少し踏み込んだ「人の気持や立場がよくわかること、相手の意をくみ取ること。」といったものがあります。「米国の行動を理解」と書くと後者の意味合いになりますが、今回の安倍総理声明の「理解」は後者ではありません。単に「○○と承知している」程度の意味であり、非常に弱い表現です。

 

 「なんだ、言葉遊びか。」と思われた方もいるでしょう。しかし、この表現の違いは外交上とても重いのです。以前書いたブログでも紹介したのですが、1999年コソボ空爆の際、高村外相とオルブライト国務長官との間で本件で緊張感あるやり取りをしています。高村外相は爾後、ある場所で「NATOによるコソボ介入の時に私は外務大臣であったのですが、それに対して私は当時『理解する』と言いました。『支持する』とは言わなかった。オルブライト国務長官から電話がかかってきて、『支持してくれてありがとう』と言いますので、『理解します』と答えたが、これを3回くらい繰り返した。」と語っています。気まずい雰囲気だったことは想像に難くありません。

 

 しかし、安倍総理の声明は上記①や③を述べる事で、出来るだけメディアに「支持」、「評価」という表現が踊るように誘導しています。そこまでやるのなら、単刀直入に「行動を支持」と言うという選択肢はないのかなと思い、「米国の行動は支持しないのか。」という質問をしました。裏の裏まで読んでの質問でしたので官房長官は苦笑いしていましたが、最終的な答弁は「攻撃に対する国際法上の評価が定まっていない。」という答弁でした。

 

 少し技術的ですが、今回の爆撃は2013年国連安保理決議2118パラ21における「国連憲章第七章の下での措置」とは考えているんじゃないかな、とも思いまして、認識を聞きましたが、答弁は「国際法上の評価は定まっていない」のままでした。概ね政府の考え方は明らかになりました。

 

【国連安保理決議2118パラ21】

21.  Decides, in the event of non-compliance with this resolution, including unauthorized transfer of chemical weapons, or any use of chemical weapons by anyone in the Syrian Arab Republic, to impose measures under Chapter VII of the United Nations Charter

 

● 北朝鮮情勢
 3月16日、ティラーソン国務長官は岸田外相との会談での記者会見で「北朝鮮に対して非核化を求めた過去20年間の政策は失敗だった」と述べています。まず、「こういう認識を共有しているか。」と聞いています。あまりはっきりとした答弁はありませんでしたが、言外に「上手くいっていない」というニュアンスが滲んできました。

 

 ここで重要な事は「何が上手く行かなかったのか」という点です。抑止が効かないというのは、大きく分けて2つの可能性があります。① 政策の中身そのものが問題だったのか、② 政策は間違っていなかったが、抑止効果を与えるようなかたちで北朝鮮側に伝わっていなかったということなのかです。どんなに「核兵器を進めたら武力攻撃の対象となる」と言っても、相手がそれを信用しなければたかを括られてしまいます。抑止の理論というのは、メッセージがどういう形で伝わっているのかという部分がポイントです。その検証をすべきとの問題意識から、「何が上手く行かなかったのか」と聞きました。官房長官は意外にも正直でして「どちらにも問題があった。」という事を示唆していました。

 

 ここは「ゲームの理論」的な視点でして、与野党問わず、何が上手く行っていないのかを、事実関係をよく収集してみて、そして理論的に解明していくのが大事だと思います。

 

● 経済協力(JICA専門家のあり方)

 ここからは質問の内容をガラっと変えまして、経済協力について聞いています。私が昔から「これはねぇ...」と思っている事がありまして、それは途上国に派遣されている各省庁からのJICA専門家の存在です。言語能力が怪しい、大して役に立っていない、いつも派遣元の省庁ばかり見ている、本当に看過しがたいケースを昔、何度も見ました。何故、そのような専門家を受けているかというと、受け入れ国側でも「居ても居なくてもいいんだけど、受け入れると機材供与が来る。機材が欲しいから受け入れている。」というケースだってあるわけです。

 

 つまり、事実上、各省庁の人事サイクルの一環として派遣されているだけという事です。平成27年度に派遣されたJICA専門家は980人、その内、省庁出身者は230人とかなり多いのです。

 

 外務副大臣は「ご指摘は当たらない」と言っていましたが、正直「誰だ、そんなブリーフをしたのは!」とムッとしました。ただ、問題意識はきちんと伝えたので厳しくやってほしいと思います。答弁では言えないものの外務省も分かっていると思います。

 

● 経済協力(水産無償)

 かつて、経済協力の無償資金協力の中で「水産無償」という特別枠がありました。私はセネガル在勤時、何度も見ましたが、本当に「良い思い出」が一つもありません。水産庁の既得権というような感じがプンプンしました。既得権化すると、予算消化の発想が出てきて無駄な事業を作ってしまうのです。

 

 外務省が行っている「水産無償」については、2015年度から、そういう特別枠的な「サブ・スキーム」を廃止するという事になっています。そういう方向でいいと思いますが、「如何なる意味においても区分経理、水産無償単独での予算確保はやっていないとの理解でいいか。」と質問しました。「やっていない」との事ですが、予算配分状況を見た上で廃止後の変化があるのかどうかをもう少しよく見ていきたいと思います。

 

 また、外務省分とは別に、水産庁が独自に行っている水産無償は「無駄遣い」で会計検査院からの指摘が2度も入っています(2008年、2014年)。需要のないところに無理をして施設を作っているとの厳しい指摘です。しかも、事業の大半が公益財団海外漁業協力財団に配分されています。大体、水産庁の水産無償の8割くらいは同財団が実施する事になっています。そして、同財団の事業の大口は国費によるものです。

 

 更には、理事長は10数年前に退官した農水OB。典型的な役所の資金で動いている天下り団体にしか見えません。細田農林水産大臣政務官は「特に問題はないと思う。」と答弁していましたが、本件はまだまだ追っていきます。

 

● 外務省の研修体制

 最近、外務省において「新入省員で外交史や国際法の素養が不足している人がいるので研修を強化する。」との報道を見ました。良い事だと思います。

 

 その一方、現在の省員についても語学力の問題がある人がかなりいます。例えば、私はフランス語研修ですが、外務省フランス語研修組の中には「こりゃ、ダメだ」と思いたくなるくらいの能力の人がかなりいます。2年国費でフランスに留学させてもらって、その後30年近く奉職した大使のスピーチを聞いて愕然とすることは稀ではありません。2年フランスで研修させたことそのものが税金の無駄だと思えるくらいのレベルです。答弁は「ちょっと問題意識に欠けるのではないか?」というものでしたが、平場で厳しく指摘させていただきましたので改善を図っていく事を期待したいと思います。

 

 以上、長々と書きましたが、前半はそれなりに面白い答弁だったと思います。

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【要旨】

4/7内閣委員会で質疑立ち。TPPの暫定適用、今後の日米交渉における農林水産品の扱い等、更に一年未満で廃棄される文書へのルールの必要性についてそれぞれ質疑。

 

【本文】

 昨日、内閣委員会で質疑に立ちました。TPPと公文書管理について質問しました。

 

 まずは、TPP(+α)です。先日、TPPについては、既に確定した協定から一部だけを切り出して(米国抜きで)暫定適用する可能性について報じられていました。報道の中で、国際法上の論点がきちんと整理されていたので、「誰かの観測気球兼リーク」なんだろうなと思いました。これは戦後、GATTが成立した時の手法です。元々は関税とか貿易のみならず、幅広い分野を含むハバナ憲章というものがあったのですが、発効のための締約国が揃わなかったので、GATT部分だけを切り出して暫定適用したという事です。

 

 そういう事は石原大臣は考えていないという事でしたが、法的に可能かと聞いたら、武井外務政務官から「そういう事を行うなら、国会承認が再度必要。」との答弁でした。暫定適用とは言え新しい条約になるので当たり前と言えば当たり前なのですが、「考えていないので検討していない。」くらいまで下がった答弁かと思っていたので、法的には可能だという事を示唆していた事は興味深かったです。この部分は日本農業新聞に取り上げられました。

 

 その後、今後の日米関係において、農林水産品についてTPPでの保護水準から更に譲歩する事はないのか、という事を聞きました。これまでも何度も質問されている内容ですので、答弁は真新しいものはありませんでした。細田政務官の答弁は、① しっかり守る、②貿易、生産、流通実態を一つ一つ勘案して、③センシティビティに十分に配慮する、という既存のラインでした。私は少し聞き間違えておりまして、「個別品目のセンシティビティに配慮する」と言ったのだと思っていたら、後で聞き直したら違いました。となると、答弁としては弱いですね。これでは農林水産業関係者は納得しないでしょう。

 

 その後、少しアンチダンピングについて触れた後、日EU経済連携協定とBREXITとの関係について聞いています。日EU経済連携協定については、農林水産業で輸入の関税割当てを設定する交渉をしているはずですが、英国が外れたら、英国分は関税割当の数量から外すべきではないかという問をしました。ここは技術的ではありますが結構重要なポイントでして、英国からの輸入実績が多い品目については外していかないと、他のEU諸国に過度な割当枠が行くので変な話になります。答弁はあまり芳しくありませんでしたが、本件は今後注視していきたいと思います。

 

 一つ気になったのは「英国は今後、WTO再加盟交渉をすることになると理解している」という点でして、「ああ、そういう事なのか。」と思いました。ゼロから再加盟交渉するのですかね。実はアフリカのフランス語圏の国は古くからGATT/WTOのメンバーですが、記憶は定かでないものの、仏連邦の一員として当初からGATTが適用されていたのではないかと思います。なので、独立後、極めて簡易な方法で入っているのではないかな、英国のケースはそれとは違うのかなと考えており、ちょっと調べてみたいと思います。

 

 後半は公文書管理関係です。これは森友学園関係での財務省の協議記録、防衛省のPKO日報との関係です。いずれも「保存期間一年未満」として廃棄されたものです。保存期間が一年未満ですと、管理簿不要、廃棄記録不要という事ですので、なんら後世に残すものがありません。

 

 まず、私から「一年未満の文書というのは『極めて軽微な内容のもの』ではないか。」と聞きました。公文書管理法等では、保存期間の定め方の中に「一年未満」というものはありません。「歴史公文書等は一年以上の保存期間とする」と書いてあるのを裏返してみれば、「歴史公文書等に当たらないと判断すれば一年未満で廃棄して構わない。」という解釈を導き出しているだけです。山本大臣は言を左右しましたが、最後は「軽微な内容である」という事を認めました。

 

 では、防衛省のPKO日報はどうなのか、財務省の協議の記録はどうなのか、という事になります。本来、防衛省の文書管理規則ではPKO業務に関するものの保存期間は3年です。国有財産関係でも重要な記録については10年です。日報や協議記録が、それらの保存期間の対象でない理由は何かという問をしています。その答弁は明確なものはありませんでした。保存期間が一年未満なものが何なのかは各省庁の判断にゆだねられています。「歴史公文書等に当たらないと自分が判断したら、そうなのだ。」というジャイアン的解釈が許容されているのです。

 

 では、協議の記録が廃棄されていたら、会計検査に際して会計検査院は困らないのかと聞いたら、なかなか答えにくそうでした。最終的には「そういう文書が残っていない事がどうなのかという事も含めて検査の対象とする。」と答弁がありました。厳しくやってほしいと思います。

 

 こうやって考えていくと、一年未満文書のあり方についても要件をきちんと定めていかないといけません。本当はこんな箸の上げ下げ的な事は好きではありませんが、やらないとPKO日報、財務省の協議の記録のように、明らかに保存期間一年未満とは思えないものが(恐らく証拠隠滅的な思惑を以て)廃棄されていくわけです。各省の文書管理規則のみならず、それにぶら下がる細則的なものも含めて内閣府公文書管理担当の方でチェックを入れる等の方策を考えてほしいと質問しました。山本大臣からは「ガイドラインの見直しを今年度内に行う」といった答弁がありました。年度内と言わず、出来るだけ早くこれは進めてほしいところです。

 

 それなりに面白い質疑になりました。毎回、全く異なるテーマを勉強するのは大変ですけど、一つ一つ勉強を進めていきたいと思います。

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【要旨】

 外務委員会でトランプ政権の通商政策を取り上げる。「公正な貿易」を追求するツールとしてのスーパー301条、アンチダンピングについて質問。特にアンチダンピングについては、地元の電磁鋼板へのAD課税を例として。

 

【本文】

 昨日、外務委員会で質疑に立ちました。その中でトランプ政権の通商政策アンチダンピング(特に電磁鋼板)について取り上げました。映像はそれぞれのリンクを見ていただければと思います。

 

 まず、トランプ政権の通商政策について、WTOドーハラウンド交渉を推進すべきではないか、日本は「あらゆる形態の保護主義」と対抗しているのかといった質問をしました。答弁の際、よく出てくる表現として「自由で『公正な』貿易」というものがありました。この「公正な」という言葉が曲者なのです。たしかに「公正」であることはとても大事ですが、ともすれば、自分に不利益な事態が生じたら「不公正だ」と言いがかりを付けてくるキーワードに転換されてしまうのです。

 

 その一つのツールが、スーパー301条です。スーパー301条的アプローチは、不公正な貿易があると思われる国を名指しして調査を始め、その結果不公正な貿易があると判断されたら制裁を打つというような内容のもので、1980-90年代日本が苦しんできました。こういうものは絶対に受け入れるべきではないですし、そもそも論として違法な制裁をちらつかせながら調査を掛ける事自体が問題だと思うのです。

 

 外務省は「違法な制裁が打たれたら、WTO提訴も含めて考えたい」という答弁でしたが、それだと不十分なのです。何故なら、違法な制裁は基本的に打たれないのです。その前の脅しの段階で、調査の対象になった国はビビッてしまってアメリカに配慮するからです。今の姿勢だと、結局、日本としてスーパー301条による脅しを容認することになりかねません。かつて、クリントン大統領時代、大統領令でスーパー301条的なアプローチが採用されたこともあり(つまり法律が無くてもやれるという事)、すぐにでもこういう話が出てきかねませんので、この点はもっとよく議論をしていく必要があります。

 

 次に、「公正な貿易」を確保するツールとしてのアンチダンピング(AD)について取り上げました。特に私の地元である新日鐵住金八幡製鐵所の主力の一つである電磁鋼板へのAD税を取り上げました。私の質疑は鉄鋼新聞に取り上げていただきました。

 

 アメリカが課しているAD税は、そもそも論として、廉価販売による損害の算定、そのプロセス等について問題が多いのです。簡単に損害が認定されたり、手続きに付いてこれなかったら不利なデータで算定されてしまったりと、もうやりたい放題です。その一つの例が無方向性電磁鋼板へのAD課税です。無方向性電磁鋼板というのは、モーターとかに使われる鉄鋼です。

 

 米国において無方向性電磁鋼板がAD課税されたのは、2014年です。ただ、2010年(日本からの輸出は2万トン強)くらいからAD課税直前の2013年(14,464トン)まで減ってきており、日本の輸出が廉価販売でアメリカの鉄鋼産業に不当な損害を与えているという事実はないと思います。しかし、日本、中国、韓国、台湾、ドイツ、スウェーデン全体でAD調査が行われ、日本の輸出減は考慮されることなく、最終的には日本の無方向性電磁鋼板には135.59-204.79%の課税がされてしまいました。いわばとばっちりみたいなものです。

 

 その一方で、韓国の無方向性電磁鋼板に課せられたAD税は6.88%。日本産へのAD税と比較すると、最高200%弱の差があります。では、日本は韓国と比べて200%分も廉価販売をしているのか、ということになるわけですが、いくら韓国の方が安く生産していたとしてもそんな差にはなりません。実はロビーイングの差だという見解があります。日本はこのロビーイングに人、モノを投じ切れていないように思うので、その点はきちんと促しました。


 そもそも、アメリカのAD課税には長期のものが多い事を私は問題視してきました。1978年以来課されているPC鋼より線、1987年以来課されたままの溶接管継手等が代表的です。本当は、一定期間たったら見直すこととなっている「サンセット・レビュー」という仕組みがありますが、アメリカは「見直した結果、継続することにしました」としれっと言うだけです。米鉄鋼メーカー、電磁鋼板について言えばAKスチールからのアプローチを受けた連邦議会議員が暗躍しているのでしょう。しかも、TPPにおけるアンチダンピング関連部分は殆ど何の成果も得られていません。今後の日米交渉では、きちんとこのAD部分はきちんと主張してきてほしいと伝えました。

 

 あと、電磁鋼板へのAD税と言えば、対中国でも存在しています。日本が中国に輸出する方向性電磁鋼板には平成27年7月23日付で39.0-45.7%のAD課税がなされています。ちなみに韓国37.3%、EU46.3%です。

 

 方向性電磁鋼板とは変圧器等に使われます。実は方向性電磁鋼板については、新日鉄住金八幡製鐵所からこの技術が韓国ポスコに漏洩し、その技術が宝山鋼鉄(宝鋼集団傘下)に漏洩しています。当初ポスコは「独自技術だ」と言っていましたが、ポスコ→宝鋼集団への漏洩に関する韓国国内の裁判で、元々は新日鐵住金八幡製鐵所からポスコに漏洩したことも明らかになりました

 

 という事は、宝鋼集団が方向性電磁鋼板の生産で使っている技術の少なくとも一部は日本からの漏洩のはずです。そういう技術を使いながら方向性電磁鋼板を作っている中国が、本家本元である日本からの輸出を廉価販売と主張してAD課税をするのは奇妙ですよね。地元で頑張っている皆様の中に納得する人は一人もいないと思います。

 

 AD課税の関係は、経済産業省の参考人の答弁が「当事者意識あるのかな?」と思うようなものであった一方で、中川経済産業大臣政務官はかなり真剣に問題意識を受け止めていました。質問後少し話したら、「面白い内容だった。この件はしっかりやるから。」と言っていました。期待したいと思います。

 

 総じてテクニカルな内容ですけども、一つ一つが日本、特に我が地元での雇用に影響するような内容です。しっかりとした目線を持って、こういうテーマを追い続けていきます。

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【要旨】

日米経済関係の観点から、保護主義、いわゆるスーパー301条、国境税(と日本の制度の関係)について質問主意書を提出。それなりに示唆的な答弁が得られた。

 

【本文】

 今国会、日米経済関係が今度どうなっていくのかについて、色々な疑問が提起されています。そういう中、まだどういう協議がなされるかも分かりませんので、少し変わったアプローチで政府に質問主意書を出しました。決してこの主意書答弁で全体像が見えるわけではありませんが、示唆的な所があるのでご紹介いたします。

 

 まずは、保護主義に関する質問主意書です。これまで、G20の財務大臣・中央銀行総裁会合後の声明では必ず「我々は、あらゆる形態の保護主義に対抗する。」という表現が入っていましたが、直近の会合後の声明ではこれが落ちました。麻生大臣は「『毎回同じこと言うな』って言って、次のとき言わなかったら『なんで言わないんだ』という程度のもの」と言っているようなので、政府の認識を2点問いました。

 

 答弁書では、日本の苦悩が見え隠れしました。私の「現在、日本はあらゆる形態の保護主義と対抗しているか。」という問に対して、答弁は「我が国としては、現在も自由貿易の推進に取り組んでいる。 」というものでした。別にいいじゃないかと思われる事でしょう。しかし、アメリカは、トランプ政権になっても「自由貿易」を標榜しているのです。しかし、その「自由」の中に「公正な」という言葉を強く含めます。「公正でない貿易は、そもそも自由貿易の基盤になり得ない。」、これ自体は正しい部分がありますが、それはともすれば偽装された保護主義になりかねません。だから、「あらゆる保護主義と対抗する」という言葉が必要なのです。

 

 麻生大臣の言うように「毎回同じこと言うな」となっていない事はご理解いただけると思います。日本とて、アメリカの意向を忖度するがあまり、これまでのポジションと同じ事(「あらゆる形態の保護主義と対抗」)と言わなくなっているのです。正直、ここは「アメリカに気を使いすぎ」だと思いました。

 

 その「公正」な貿易を推進するためのツールとして、最近、時折、聞こえてくるのが「スーパー301条の復活」です(他にもアンチダンピング課税の濫用等ありますが、これは稿を改めます。)。スーパー301条というのは、大まかに言うと、貿易相手国の不公正な取引慣行に対して当該国と協議することを義務づけ、問題が解決しない場合の制裁について定めた条項を指します。アメリカが、ある国との貿易が不公正だと目を付けたらその国と協議を求め、アメリカの希望するような解決策が出なかったら制裁措置を打つという、国際貿易ルールを順守する意識のかけらもないようなものです。

 

 WTOルール上は、必ずしも違法とまでは言えないという判断になっていますが、それはこれまで一度も制裁措置に至っていないからです。違法な制裁措置をネタに圧力を掛け解決を求める行為自体が私は間違っていると思いますが、その制裁が無い以上、判断しようがないという事もあるのでしょう。

 

 ただ、かつて日本はこのスーパー301条に対して非常に厳しい姿勢を貫いてきました。日米貿易摩擦の中で、極めて毅然と戦った日本の通産省、外務省等は立派だと思います。その時の古文書をひっくり返しながら、現政権の姿勢を問ういわゆる「スーパー301条」に関する質問主意書を提出しました。

 

(何故、こうやって古文書を引用したアプローチなのかというと、そうしないと単に「スーパー301条に日本は反対するのか?」と聞いても、「現在、そのようなものは存在しない」と言われるだけだからです。隔靴掻痒なのですが、昨今の答弁書の傾向からはこのやり方以外では答弁が返ってこないのです。)

 

 答弁書は、質問の性質上、過去の立場を再確認するものが多いのですが、ただ、スーパー301条的なアプローチに厳しい姿勢を取りたいとする政府の姿勢は見えて来ました。そうあってほしいと思います。ここは経済産業省や外務省の先人がこれまで築き上げてきた、通商ルール順守の正統派の気骨を見せてほしいと思う所です。

 

【なお、以下は極めてテクニカルです。途中まで読んで分からなくなった方は飛ばしてください。】

 最後に、トランプ政権が「国境税」を提唱している事との関係で気になった事がありました(なお、現在、共和党幹部が「国境税」ではなく、法人税をベースにした「国境調整措置」を検討している事は重々承知しています。)。というのも、「関税」ではなく、「国境税」と呼んでいる事です。ある産品がアメリカ国内に入ってくる時に徴収する関税ではなく、国境を越えた後に内国税として徴収するような意味合いがあるのではないか、それは関税ではなく内国税の問題なのでGATT違反ではない、と言うのではないか、という気がしたのです。

 

 実は、内国税であっても、輸入品だけに課税するのは内国民待遇(National Treatment)に反するのですが、それとの関係で、日本でも輸入品だけから徴収される「マークアップ」は国際ルール上大丈夫なのかなという問題意識が出て来ました。コメ、小麦、大麦、乳製品等を国家貿易で輸入する際に徴収するマークアップは、輸入品だけから取ります。普通に考えれば内国民待遇に反するのではないかという批判があってもおかしくはありません。つまり、トランプ大統領が提唱する国境税がそのまま導入されたとして、それを日本が批判したら、「おまえだって似たような事をやっているではないか。」とミラーアタックが返ってきてはたまらないという思いです。

 

 なので、GATTの諸規定に関する質問主意書を提出しました。上記の問題意識を過不足なく、問として立てています。答弁書はちょっと驚きでして、マークアップは関税、課徴金、内国税、内国課徴金といったいずれでもなく、全く別カテゴリーの「輸入差益」という位置付けでした。まあ、理屈としては分からなくもないですが、それにしても、「関税、課徴金、内国税、内国課徴金のいずれでもない何か」の存在というのは、本当に真正面から議論して、国際的に通用するのかなとちょっと疑問になる所はあります。

【テクニカルな部分はここで終了。】

 

 「枝葉末節だ。」という批判は甘受します。ただ、こういう所の積み上げなのです。その他にも上記に書いたアンチダンピング制度の正当性はどう見たらいいのか、米共和党が言っている国境調整措置は輸出補助金なのか、それとも法人税の仕向け地原則適用に過ぎないのか、といった色々なテーマがある事は知っています。そういった通なテーマを、通な気持ちで政府とやり取りしていきながら、変な方向に日本の通商政策が流れていかないように野党の立場から厳しくチェックしていきたいと思います。

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【要旨】

予算委分科会で「日展改革フォローアップ」について取り上げる。不正審査事案後、改革は一定程度進んでいるものの、未だに過去の良からぬ慣行が、規則を脱法的に解釈することで続いているので、それを是正すべきとの質疑。

 

【本文】

 先日、予算委員会第四分科会で質疑に立った際、公益社団法人日展について取り上げました。かねてから取り上げているものでして、国会で2回取り上げています。これまでの私のブログについては、ここである程度纏まっています。

 

 経緯としては、内閣府と文化庁作成のこのクロノロジーが詳しいです。平成25年10月に朝日新聞が不正疑惑を取り上げて、大問題になりました。日展五科の書、特に篆刻の分野の選考において、日本芸術院会員を務める日展顧問が差配をしていた、その際に金銭のやり取りがあった、そういう慣行が篆刻のみならず、書全体にもあったということでした。これらについては、日展が設置した第一次第三者委員会において、そのような事実があったことは否定できないとの結果が出ています。その後、公益法人法に基づく内閣府からの報告要求等と相俟って、日展の改革が進められました。平成26年は文化庁後援は付かなかったものの、平成27年以降は改組新日展に文化庁後援、文部科学大臣賞、内閣総理大臣賞が許可された、概ねこんな感じです。

 

 客観的に見て、改組新日展において改革が少しずつ効果を出しているようではあります。これまで入選を出せなかった社中からも入選が出るようになっていますし、審査体制が一定程度は改革されているという事は私も理解しています。しかし、その一方で既存の慣行が残っていて、改革に逆行する動きがあったり、改革が貫徹されていないのではないかと疑わせるような話があるのも事実です。

 

 私が本件を国会で取り上げているため、よく情報提供があります。その中でも私が注目しているのが、①日展目的でお金のやり取り(謝礼金)をするのは規則で禁じられたが、事実上脱法的に別目的での金銭のやり取りがある、②事前の下見会は規則で禁じられたにもかかわらず、時期をずらすことで事実上脱法的に下見会を維持している、という2点です。

 

 この2点について、前回は昨年4月末に内閣委で質問しています(ココ)。当時もそれなりに厳しく聞いたのですが、その後、フォローアップとして内閣府からこういうペーパーが来ました(直ちに人物、団体が特定されないよう一部、私が黒塗りにしています。)。これを読んでみると分かりますが、当事者の方々は、日展規則では審査員正式委嘱後は当該審査員による金銭の授受や事前指導・下見会は禁じられているが、審査員になる前であれば特に何の問題もないという認識のようです。

 

 しかし、これは脱法的な要素が強いです。改革で金銭の授受や事前指導・下見会を禁じたところ、審査員委嘱前にそれをやる分にはお咎め無しというのは抜け道だらけです。それはダメだろうと思い、予算委員会第四分科会で再度質疑に立ちました(ココ)。

 

 実は昨年4月末の質問後も情報提供があり、審査員委嘱後ですら審査員に対する金銭の授受の事例がある事を示す文書を入手しました。また、ある会では、事前指導・下見会はかつては日展目的で9月に行っていたものが、日展目的でない名目を付けて、会のトップが審査員に委嘱される直前(7月下旬)に行うように変えただけである事を示す文書も入手しました。正に脱法行為の最たるものではないかと思いました。

 

 その証拠となる文書を事前に渡して、内閣府に質問しました。残念ながら、答弁者である公益認定等委員会事務局長は殆ど中身のある答弁をしませんでした。きちんと調べて報告してほしいという依頼すら、真正面から答えませんでした。しかも、私の質疑の最中に(理由は分かりませんが、普通に考えれば小バカにしたような)笑みを浮かべてこちらを見ていました。爾後、少し内閣府に苦言を呈したら課長が説明に来られましたので、きちんと事実関係を調べ切った上で、内閣府としての判断も含めて報告に来てもらう事にしました。

 

 質疑を通じて、問題意識はすべて提示しました。改革された日展規則が脱法的に運用されることなく、しっかりと改革が貫徹する事を望むだけです。その後は政治が出る余地はありません。芸術家の方々に頑張っていただくだけです。

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【要旨】

昨年訪問したキプロスでの経験を踏まえ、今後、大使館が設置されるに際して、①同国の位置付け、②PKOのあり方、③金融機関破綻時の対応について質問。

 

【本文】

 3月10日(金)、外務委員会で質疑に立ちました。「在外公館名称位置給与法」の審議です。私は外務委員会に所属しておりませんが、キプロスへの大使館設置が来年度予算に入っている事から、昨年、キプロスに行った者として感じた事を質疑にしたいと思い、外務委員会理事にお願いして質疑に立ちました(映像はココ)。

 

 冒頭、先のブログに書いた「弾道ミサイル発射と(日本の)主権的権利」について質問しています。内容はココを参照ください。今でも疑問なのが、維新の委員が「言葉遊びだ」とヤジを飛ばしていたことです。弾道ミサイルで日本の主権的権利が害されたか否かを確認するのが何処に言葉遊びの要素があるのかなと不思議でなりません。

 

 その後、外務省「改革」について伺いました。今から15年前、外務省に不祥事による激震が走った際、改革の機運が高まり、最終的に川口外相の下で「外務省改革行動計画」が取りまとめられました。斜め読みしていただければ分かりますが、とても良い事が書いてあります。しかし、どう見てみても今の外務省にこの精神が十分共有されているとは思えない部分があります。なので、少し圧力を掛ける観点から取り上げさせてもらいました。外務省からすると「変な事覚えているヤツが居て嫌だな。」と思っているはずです。それでいいのです。

 

 その後、キプロスについて聞いています。あの国は小さな国でギリシャ文化がベースですが、中東とも関係が近く、イスラエルは海を跨いですぐです。また、エジプトとの近さも感じました。そして、ロシアとの関係の近さは日本からは見えませんが実感しました。年間、イギリスから100万人、ロシアから50万人の人が来るそうです。

 

 そして、とても重要なのが中東有事の際の発進基地となっているという事です。キプロスには英国の領土(租借地ではない)があり、そこには英空軍が基地を持っています。中東で有事がある時、欧米諸国が使える基地としてはインド洋のディエゴ・ガルシア、トルコのインジルリック、そしてこのキプロスがあります。イラク空爆、シリア空爆の際、実際に使われています。であれば、下記にも書く通り、PKOが出ている事と併せて考えれば防衛駐在官を置いてみてはどうかなと示唆しました。そういう場所で英空軍関係者と関係を作っておくと、色々な情報収集が出来そうな気がしたのです。答弁は大したものがありませんが、検討してほしいと思っています。

 

 その後、PKOについて質問しています。キプロスPKOを見ましたが、とても平和な環境で停戦ラインの監視をしています。我々が南スーダンPKOをイメージしますが、キプロスPKOは全く異なります。行った時は違和感を持ったのですが、もう一度考え直してみると「そもそも、今、南スーダンPKOみたいなものが例外的であり、本来、PKOとはこういうものなのかもしれないな。」と思うようになりました。

 

 私は南スーダンPKOも踏まえると、「PKOでやるべき事、そうでない事」を分けるべきだと思います。後で書きますけど、国連の事務局もそういう思いを持っているはずです。

 

 そういう問をしたところ、(言わなくてもいいのに)答弁で「伝統的紛争への対応から、国内の『衝突』への対応まで国連のマンデートは多岐化している。マンデートを現実的かつ具体的なものにしていきたい。」という話が返ってきました。この日はそういう議論をするつもりはなかったのですが、少しだけ「紛争」、「衝突」の違いに入りました。役所からは「armed conflictについては、一般的な概念として武力紛争という捉えることもあるし、『PKO上との関係で』武力紛争と捉えない事もある。」と(これまた言わなくてもいい)答弁が返ってきました。現実に法を合わせようとしている姿勢が見えて来ました(さすがに周囲の委員も苦笑していました。)。正直な所、外形的に見て「何が武力紛争なのか、何が武力衝突なのか」を分ける基準はないと思います。

 

(この際、維新の委員から変なヤジが飛んでいます。私はこれらの言葉の裏に、自衛隊の派遣の是非が絡むので真剣に聞いています。これをヤジる気持ちが私には分かりません。)

 

 国連ではPKO改革のためのハイレベル・パネルが2014年に報告書を出していて、その中に「A number of peace operations today are deployed in an environment where there is little or no peace to keep(今日、多くのPKOが、維持すべき平和がほとんどないか全くない環境において派遣されている。)」という表現が出て来ました。これが実態だと思います。国連側は、「能力が変化に追いついていない」、「政治的サポート不足」、「求められることと出来ることの差が大きい」、「国連の官僚主義の弊害」といったような指摘をしています。非常にザクッと言うと「何でもかんでもPKOに持ち込まないでほしい」という魂の叫びではないかと思います。

 

 日本はこういう問題意識を主導していくべきではないかと思ったので、それをそのまま聞きました。答弁はちょっと弱かったですね。本当に真面目に「国連PKOで何をすべきなのか。」、「そして、その中で日本はどういうPKOに参加すべきなのか。」という議論をすべきだと思います。

 

(なお、私がこの質疑をした2日後に日経にこういう記事が出ました。さすがに偶然の一致だと思いますが。)

 

 最後に、キプロスで行われたベイルインについて質問しました。これは何かと言うと、金融機関の破綻に際して、金融機関の株主、預金者等が負担をする制度です。かつての日本の金融危機の際はベイルイン法制が整えられていなかったので、ベイルアウト(公的救済)で税の投入がなされていますが、世界の趨勢はベイルインです。そして、ギリシャ危機の際、ギリシャ国債を持っていたキプロスの金融機関ではEUによってベイルインが採用されました。何故、ベイルインを採用したのかについては色々な議論がありますが、「一度、実験的に小さい国でやってみようとEUが思った」とか、「ロシアからの資金が流れ込んでおり、そんなものをEU国民の税で救済する必要はないと判断した」とか言われています。

 

 いずれにせよ、当時のキプロスの経験で明らかになった事があります。切っていく株式、債券の順番をどうするかを間違えると中小企業や個人の預金者がとてつもなく損害を被る事があるでしょう。そういう経験をきちんと踏まえるべきとの示唆をしました。実際、EUはキプロスでの経験をベースにベイルイン法制を整えてきています。

 

 日本でもベイルイン法制は預金保険法第126条の2において整えられている事になっています。しかし、とてもザックリ書いてあります。しかも、基本的には日本の倒産法制を下敷きにしており、これだけでは金融機関破綻の際に何が起こるのかがさっぱり分かりません。個人預金者に対する優先弁済権も確保されているようには見えませんし、破綻した際にベイルインする債務の準備(Gone concern Loss Absorbing Capacity)も進んでいるようには見えません。「対応に幅を持たせている」と言えばそれまでですが、もう少し本件はよく勉強していきたいと思っています。

 

 長くなりましたが、キプロスから見た色々な思いを述べました。自分なりに、先の視察の宿題返しをしたつもりです。

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【要旨】
北朝鮮による弾道ミサイルは、我が国の排他的経済水域における「主権的権利」を侵害したのではないかと質問。答弁は「今回、妥当な考慮は払われなかった。」というものであったが、主権的権利の侵害とまでは明言せず。
 
【本文】
 先日、安保委員会、外務委員会で質疑に立ちました。その際、北朝鮮による弾道ミサイルの話について質問しました。
 
 弾道ミサイルは、我が国の排他的経済水域(EEZ)に落ちたという事で、私から「日本の主権的権利が害されたのではないか?」という問をしています。これは国際法上の解釈としてとても興味深い所なので説明します。
 
 国連海洋法条約上、EEZにおいては、沿岸国は「主権的権利」を有する事になっています。
 
【国連海洋法条約第56条(抜粋)】
第56条 排他的経済水域における沿岸国の権利、管轄権及び義務
1 沿岸国は、排他的経済水域において、次のものを有する。
a.海底の上部水域並びに海底及びその下の天然資源(生物資源であるか非生物資源であるかを問わない。)の探査、開発、保存及び管理のための主権的権利並びに排他的経済水域における経済的な目的で行われる探査及び開発のためのその他の活動(海水、海流及び風からのエネルギーの生産等)に関する主権的権利
(略)
 
 この主権的権利は英語では「sovereign right」という言葉を使います。これは「主権(sovereignty)」とは異なります。主権は領海内で認められるもので、EEZで主権行使は出来ません。では、主権的権利が何なのかという事については、実は必ずしも明確ではありません。ただ、そういう主権的権利を持っている事は国際法上保障されています。
 
 という事は、そういう主権的権利を持っている場所に弾道ミサイルを落とす行為は「主権的権利の侵害ではないか?」という問が出てくるのは当然と言えば当然です。
 
 岸田外相の答弁は、「国連海洋法条約上、日本の権利及び義務に妥当な考慮が払われるのであれば、他国がEEZで軍事訓練をする事は認められている。そして、今回の弾道ミサイルについてはその妥当な考慮は払われなかった。」という趣旨でした。
 
【国連海洋法条約第58条(抜粋)】
第58条 排他的経済水域における他の国の権利及び義務
(略)
3 いずれの国も、排他的経済水域においてこの条約により自国の権利を行使し及び自国の義務を履行するに当たり、沿岸国の権利及び義務に妥当な考慮を払うものとし、また、この部の規定に反しない限り、この条約及び国際法の他の規則に従って沿岸国が制定する法令を遵守する。
 
 なので、もう少し追って「妥当な考慮が払われなかった事を以て、主権的権利が害されたのではないか。」と質問しましたが、結局、そこについて岸田外相からは「それは難しい議論。いずれにせよ、重要なのは『妥当な考慮』が払われなかった事。」というラインを超えるものはありませんでした。
 
 なかなか答弁しにくい問なんだろうなと思いました。そこは理解しました。なお、この質問中に某党議員から「言葉遊びだ。」というヤジが飛びました。「日本の主権的権利が害されているのかどうか。」という問の何処が「言葉遊び」なのかなと首を傾げました。
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