治大国若烹小鮮 おがた林太郎ブログ

衆議院議員おがた林太郎(福岡9区)が、日々の思いを徒然なるままに書き綴ります。題は「大国を治むるは小鮮を烹るがごとし」と読みます。


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 先の臨時国会で、「信教の自由」について質問主意書を提出いたしました。内容はとても簡単でして、これです。これだけだと何の事が聞きたいのか、分からないかもしれませんが、それなりに問題意識を持ってやっている事です。

 

 私が特に関心を持っているのが「信仰しない自由」についてです。これが入ってくるかな、どうかなと思っておりましたが、答弁書はこれでした。やはり、そこはしっかりと入ってきました。 

 

 なお、私の問題意識に入る前に、答弁書をおさらいすると、信教の自由とは以下のようなものです。

 

● 信仰の自由(何らかの宗教を信仰し、又は信仰しない自由)

● 宗教上の行為の自由(宗教的な行為を行い、又はこれに参加する自由及びこれらを強制
されないこと)

● 宗教上の結社の自由

 

 「一般に」とか、「などであると解されていると承知している」という逃げが打たれていますが、概ねこの3類型に分けられているということでいいでしょう。過去にこういう答弁は多いのかなと思ったのですが、あまりありませんでした。

 

 本題に戻りますと、私はいつも日本における信教の自由を巡る議論は「何を信じようが勝手じゃないか」という面に重点が置かれ過ぎていると思っています。それだけを取り出してみれば勿論100%正しいのですが、信教の自由を勝ち得る不断の努力をしてきた西欧等の歴史を見る時、そこだけに重点が置かれるのはちょっと違和感があります。

 

 西欧における信教の自由とは、まず、強大であった教会権力のくびきから離れることが大前提にあります。キリスト教を信仰しなくても構わないという事です。そこから、精神的に独立した個人が導き出され、その独立した個人が信仰する自由を持つ、そういう論理構成になります。なので、信仰する自由と同等のレベルで信仰しない自由があります。

 

 例えば、フランスでは1905年にかなり厳格な政教分離原則を決めた政教分離法があります。その中では、公共の秩序に反しない限りの内心の自由と厳格な政教分離が書かれており、その上で国家の宗教への関与を厳しく制限しています。その背景には、ただ「信仰する自由」を保障するだけでは克服できないくびきがあったという事です。それが信教の自由の文脈で言えば「信仰しない自由」であり、また、国家レベルでは「政教分離」であるという事でしょう。

 

 実際に、フランス共和国は現在でも非常に宗教との距離感には慎重でして、ゆめゆめ国家が宗教に関与する事が無いよう、個人の信教の自由(信仰し、又はしない自由)を害しないよう細心の注意を払います。そして、フランスで国家と宗教との関係を論じる際、最も使われる言葉は「liberte de croyance(信仰の自由)」ではありません。「laicite(世俗性、非宗教性)」という言葉です。よく報道でも使われる言葉です。

 

(ただ、難しいのが、信仰する自由と政教分離原則がぶつかるケースです。学校に女子生徒がブルカを被って登校する事をフランス政府は禁じました。公共のスペースに宗教性を持ち込んではならないという政教分離原則を持ち出しての論理構成でした。フランス社会にあるアンチ・イスラム的な雰囲気を政治的に持ち込んだような個人的印象がないわけではありませんが、いずれにせよ、究極の所で信仰する自由(ブルカを被る自由)と政教分離原則が対立してしまう事があるわけです。)

 

 このあたりの背景抜きに「何を信じようが勝手ではないか」だけが先走りしてしまうことにはとても懸念を覚えます。特に国家の指導者がそれだけを主張するようになってはいけません。国家と宗教との関係は歴史的に微妙なものである以上、信仰する自由には、その対として信仰しない自由がある事を常に認識しておかなくてはなりません。

 

 具体例を出すと色々と難しいので、理念だけを書きました。この辺りは憲法審査会でも議論になるでしょう。

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 TPPについては、アメリカ大統領選挙で両候補とも反対を明確にしている事から、その帰趨が注目されます。

 

 普通に考えれば、アメリカは新政権になれば再交渉を要求してくる可能性があります。ただ、日本はこれまで「再交渉はしない」と累次に亘って表明してきています。ただ、それは現在のオバマ大統領、フロマン通商代表がそれにコミットしているだけであり、新政権になった時、それを貫けるかは微妙な所があります。

 

 仮に再交渉にならない時、懸念されるのは「国内法レベルでの追加的な措置を求めてくる」ということです。協定再交渉はしないけども、協定で(アメリカが)期待している市場アクセスを確保する観点から、その障害になるようなものに国内法レベルでケチを付けてくるということです。

 

 既に私の所には(私だけではなく多くの議員に来ている模様)、アメリカのロビイストが「価格下落の際に補填をする豚マルキンの制度拡充については、生産拡大局面でも発動されることから問題が多い。」という指摘をしてきています。私からは「あのね、今、日本の豚肉生産農家はし尿処理等でコストも掛かるし、高齢化しており、価格下落でも補填があるから生産を拡大するなんてことは無いのよ。単なる言い掛かり。」と言っておきましたが、アメリカでは結構な数の上院、下院議員が署名した、豚マルキンに懸念を表明するレターがフロマン通商代表に出されているようです。

 

(なお、当該ロビイストは、そのレターの写しをこれみよがしに見せてきたので、私から「だから、どうした?こんなものが私への圧力になると思っているのか?」と言って突き返しておきました。相手は憮然としていましたが。)

 

 こういうかたちで国内法レベルでの容喙が来る可能性はあると思い、私は通常国会の内閣委員会で石原大臣に太い釘を刺しておきました。3月9日(15分35秒くらいから)、3月11日、質問主意書(質問答弁)、3月25日の質疑がそれに当たります。

 

 3月9日の質疑では、「国会提出されたTPP国内実施法は、TPPという条約を国内で実施するために必要かつ十分か。」というアプローチからスタートしています。「必要」だけでは将来的に追加的な立法措置をする可能性が排除されないので、「必要十分」だと言ってもらう必要があったのですが、石原大臣は「必要」、「十分」の概念整理がどうも苦手らしく、堂々巡りの議論になっています。

 

 それを踏まえて、3月11日の質疑では「日本の国内手続きが終わった後に、アメリカの圧力を受けて、追加的に国内法改正を行うことはないか。」という点を聞いています。今、見直してみると、石原大臣が手にしていた答弁書は「そういう圧力が来ることは想定していない」というものだったように思います。しかし、アメリカでは通商法の中に「相手国の国内制度が十分に整備されているかどうかを判断した上で、アメリカはその国との通商協定を批准する。」という趣旨の「承認(certification)」という制度がありまして、それを通じて、アメリカは「日本は国内法整備が不十分だから、アメリカはTPPの批准をしない。」と圧力を掛けてくる可能性があるわけです。なので、「想定していない」という答弁そのものが不適当なのです。

 

 ただ、3月11日の質疑を見ていただければ分かりますが、石原大臣はその辺りの機微がご理解いただけなかったのか、究極の堂々巡りです。仕方ないので、その直後に質問主意書を提出しています。そこでようやく「追加的な国内法措置は不要」という答弁を取り付けています。それを3月25日の質疑の冒頭で確認しています。

 

 更に3月25日の質疑では、(法律ではない)サイドレター、口上書の交換、政令、省令、予算措置等を通じて、何らかの追加的措置を行うことはないか、という事を念押ししています。これもやらないと言っています。

 

(なお、ここでは深く書きませんが、3月25日の質疑の6分50秒以降では、TPPにおける著作権の問題、農業予算の問題についても質疑しています。これはこれで面白いやり取りになっています。文化庁、農水省いずれも少し苦しい答弁です。)

 

 テクニカルな内容ですので(日本農業新聞以外では)なかなか注目はされませんが、日本としてアメリカの圧力に屈しないよう、色々と歯止めを国会答弁の中で確保しようとしている事はご理解いただけるかと思います。

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 最近の日本領海及び近海並びに南シナ海における中国の動向を踏まえて、幾つか押さえておいた方がいいと思ったことがあり、8月1-3日までの臨時国会に際して質問主意書を提出しました。基礎的な内容から若干の政策的な展開をしていくためには重要なポイントばかりだと思います。
 
【我が国の領海と国際海峡に関する質問主意書】
質問 答弁
 
(解説)
 中国艦船が屋久島と口之島との間の海域を通航した際、日本として抗議をしたら「あそこは国際海峡だ」という反論が返ってきました。それを踏まえると、重要なポイントは「日本は国際海峡制度についてどう考えているのか?」ということになります。
 
 答弁は真正面から答えていない部分もありますが、概ねこんな感じです。
(1) 国際海峡としては、宗谷海峡、津軽海峡、対馬東水道、対馬西水道、大隅海峡がある。
(2) これらの海峡については領海の主張を3カイリで留めており公海部分が存在するため、国際海峡に適用される通過通航制度は適用されない。
(3) なお、通過通航制度がどういうものであるかについては、不確定な面がある。
(4) 屋久島又は口永良部島と口之島との間にある海域は海峡であるが、国際海峡ではない。
 
 これまでの答弁の繰り返しですけども、中国との関係ではちょっと弱いんですよね。中国は彼らなりの理屈による「国際海峡」と「通過通航」の制度で押してきています。曖昧な所を残すと、中国はそこを押してきます。
 
 しかも、厳しいのは本件では(海洋の自由航行に強くコミットしている)アメリカがサポートに回ってくれない可能性が高いということです。日本単独で押し返さなくてはなりません。
 
【領海の境界画定における歴史的権原に関する質問主意書】
質問 答弁
 
(解説)
 質問を簡単に言うと、日本は中国が主張している「九段線」のような海域を持っているか、中国の「九段線」の主張についてどう思うか、ということです。答弁は、日本は「九段線」のような歴史的権原に基づく主張は行っていない、日本以外の場所については承知していない、という立場です。
 
 日本はサンフランシスコ平和条約で周辺海域については厳格に放棄の手続きを取っていますので、歴史的権原に基づく海域の主張をしていないことはある意味当然のことです。ただ、仲裁裁判所の判決を踏まえて、南シナ海でもう少し踏み込んだ答弁になるかなと思いましたが、そこはとても慎重でした。
 
【領海基点と岩に関する質問主意書】
質問 答弁
 
(解説)
 日本の領海基点の内、国連海洋法条約上の「人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない岩」のような場所があるのかという問いのつもりでしたが答弁は完全に逃げられました。
 
 「我が国が領海基点としている領土」って、そんなに不明な概念ですかね。まあ、仕方ないです。今後の課題にします。
 
【竹島問題に関する質問主意書】
質問 答弁
 
(解説)
 日本は竹島問題について、どの程度の選択肢を持っているのかという問です。
 
 機微な内容なので、一つ一つの選択肢について「これはそうです」、「これは違います」という答弁が返ってくるとは毛頭思っていませんでした。ただ、「ご指摘のような点も踏まえ」くらいは言ってくれるのかなと期待しましたが、非常に慎重な答弁でした。
 
 以上、私が提出した4主意書の質問及び答弁をそれぞれ紹介させていただきました。既存の答弁ラインを超えるものはありませんでしたが、現在の日本の海洋政策を読み解くにはある程度の情報が提供されていると思います。
 
 南シナ海における仲裁裁判所判決を見ても分かる通り、これは「法戦」です。いずれ、この答弁ラインよりもアクセルをグッと踏み込まなくてはならない局面は出てくると思います。その時に当惑したり、混乱したりしないように、法戦に勝てるための理論的基盤を作っていく必要があります。
 
 これらの答弁を踏まえて、野党側からも良い知恵を出していきたいと思います。
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 モーリシャスの次は、ドバイ経由でキプロスに行きました。直線距離だとドバイからキプロスはそんなに遠くはなさそうですが、イスラエル上空を避けるため、フライト時間は少し長めです。

 

 私はキプロス系というとこの方を思い出しますが、現地に行ってみると、「なるほど」と分かるような気もしました。

 

 キプロスというとガイドには、「国の北部はトルコ系が事実上の分裂国家を作っている」、「南北間にはグリーン・ラインが引かれており、国連PKOが出ている」というような情報があります。これだけですと、日本人が思い出すのは「朝鮮半島」です。しかし、首都ニコシア自体が南北に分断されていますが、まあ、平和なものです。行き来もかなり自由にやっています。せいぜい夕暮れになると、北側で流されるアザーン(イスラムの礼拝の呼び掛け)のスピーカーが南側にこれ見よがしに向けられている事や、北側の山腹にトルコ国旗とそれを模した北トルコキプロス共和国の国旗が描かれていて、南側からいつもそれが見えるということくらいです。

 

 EU加盟で、通貨はユーロ、制度は英国のものを模しています。なので、BREXITを受けての発想法がとても印象的でした。英国がEUから居なくなる、うちは英国と制度が似ていて入りやすい、中東とも近い、なので、EU市場、中東市場を見据えたハブとして注目してほしい、という感じでした。インドとアフリカ南部を見据えたハブとして生きていきたいとするモーリシャスと似たようなところを感じました。BREXITを受けた結果、キプロスにチャンスが回ってくるという発想は日本人には抱きにくいですが、欧州政治というのはそういうものです。実際、BREXIT後、ドイツによるキプロスへのアプローチは増しているそうです。

 

 また、イスラエル、エジプト、キプロスの3ヶ国の排他的経済水域付近で天然ガスがかなり有力なようで、現在3ヶ国による共同出資で採掘が行われているようです。たしかによく考えてみると、イスラエルとエジプトだけの共同出資だと上手く行かないでしょうから、キプロスが間に入る意義はとても大きいように思います。例えるとすれば、さいたま市を作る時、浦和と大宮だけではダメで、間に与野が入る事で上手く行ったというのと同じです。

 

 日本から見ていると、上記のような情報から「ちょっと危ないんじゃないの?」というステレオタイプを抱き、観光地の選択肢として上がってきません。実際、年間600人くらいしか来ないそうです。その一方、英国から100万人、ロシアから50万人来るとのことでした。

 

 しかし、上記の通り、南北は分断されているけども、分断された首都ニコシアでも平和なものです。中東の紛争の余波という観点でも、そもそも、島国ですから脅威とは一線を画する事が出来ており、また、シリア移民の最終目的地になるわけでもないですから、そもそも、移民がやってくることも少ないです。EUの中でテロが最も起きにくそうな場所ではあります。

 

 なお、キプロスの領土の3%は英軍によって占められています。租借ではないそうでして、英国の主権が及ぶ地域です。中東を視野に置いた英軍の基地ですが、地元の人曰く、「米軍の対シリア発進基地として使われているんじゃないかな。だって、検証しようもないじゃないか。」という言い方をしていました。「あり得るな。」とは思いました。中東向けはトルコのインジルリック基地が有名ですが、同基地が種々の事情で使いにくい時の代替基地としてのロケーションは抜群ですからね。

 

 キプロスは、ギリシャ系住民が大多数を占めていますが、ギリシャとはちょっと違うなという印象でした。ギリシャ危機の際、保有していたギリシャ国債を通じて、キプロス経済も危機的な状況に陥りました。しかし、キプロスは「ペイ・オフ」を実施して金融危機を切り抜けました。10万ドルだけ預金保証し、それ以上については没収した上で金融危機を再建する財源に充てています。

 

 当時は色々な論争がありました。ペイオフを行ったのはキプロスだけです。キプロスにはロシア人の預金が多かったので、EU側が「そんなものを保証しなくてもいい。」と判断したとか、「ペイオフ制度をまずは小国キプロスで実験してみた。」という論調すらありました。実際、最近、EUで導入されたベイル・インの制度ではキプロス救済の仕組みを下敷きにしています。いずれにせよ、今のキプロス経済を見ているとそれを見事に切り抜けています。救済プランでは100億ドルの融資枠が用意されたそうですが、実際には73億ドルしか使うことなく、救済プランを終了させています。

 

 政府の方に「なんで成功したの?」と聞いても、「これを切り抜けないと危機を克服できないと国民を説得した。」と言っていました。事情はもっと複雑でしょうし、塗炭の苦しみだったと思いますが、既に成長路線に経済を戻している(危機時にまで戻ってはいないものの)のは評価していいように思います。自国発の危機を全然反省している気配がなく、いまだに(ギリシャに厳しい)ドイツのショイブレ財務相の悪口ばかり言っているギリシャとはちょっと違いを感じました。実際、キプロスの人に聞いてみると、ギリシャ人に対して「一緒にされたくない」という感情を見て取ることが何度かありました。

 

 冒頭に述べた「北キプロス・トルコ共和国」についてですが、ビジネスマンの方達は、南側(我々が居た側)から見ると「当方(南側)が多大な負担を背負ってまで、北側と再統合したくない。」と言っていました。多分、本音だろうと思います。北キプロスは、それ程トルコから手厚く面倒を見てもらっているわけではないようで、本当は統合して発展している南側と一緒になりたいと思っているようです。とは言っても、経済格差が相当にあるので、統合したら南側が相当にカネを出さないといけなくなります。それは嫌でしょう。

 

 また、北キプロスの指導層も、トルコとの手前、「実は統合してEU側に近寄りたい」とはとても言えないので、対話は前に進んでいくようには思えません。間に立つ国連は「今の双方の指導層はハーモニーが合う。対話は期待が持てる。」と言っていましたが、私には「ハーモニーはあっているかもしれないが、双方の抱える事情を踏まえれば対話はあまり期待できない。」としか見えませんでした。

 

 紛争の種は殆ど存在せず、平和は維持しようとしなくても維持できるPKOなので、世界各国から大人気のPKOです。日本としても出せるものなら出したいところですが、既得権化しているので「財政支援宜しく」的な言い方をしてきます。ちょっとムッとしました。

 

 最後に、キプロスはEU的に見れば「辺境」に見えると思います。しかし、キプロスの利点は正に「EUメンバーである事」だと思いました。色々な社会全体の底上げがEUメンバーであることによって行われているんだよな、と思います。EU指令についていくのは大変なはずですが、その努力をしているが故に、社会制度で高いレベルが維持できているという感想を抱きました。

 

 あれこれ書きましたが、簡単に一言、「観光地としてはとても、とても良い所ですよ。」とだけ付言しておきます。

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 5日から13日まで、衆議院内閣委員会メンバーで海外出張しておりました。行先はモーリシャス、キプロス、イスラエルです。先の国会で「サイバーセキュリティ法改正」が通ったことを踏まえ、そういう視点を中心に据えながら幅広く視察に行ってきました。

 

 まずはモーリシャスです。多分、大半の方は馴染のない国でしょうが、インド洋に浮かぶ島でマダガスカルの東方にあります。サイバーにかなり力を入れている国だとの、平井卓也与党筆頭の勧めもあり行きました。人口120万程度ですが、近々大使館開設だという事もあり、今後が期待される国です。

 

 元々インド系が強い国だという事は知っていましたが、それでも「アフリカだろ」という先入観でした。行ってみて驚いたのは、「ほぼインド」ということでした。1800年代半ばに砂糖栽培のため、それまで働いていた奴隷に代わり、インド人が入植してきました。首都ポートルイスにある世界遺産「アープラヴァシ・ガート」はその受入港でした。総じて南インド系の方が多かったですが、その他にも中国福建省から入ってきた中国系モーリシャス人の方が居られました。なお、インドとの関係が極めて強いため、中国の進出度合いはそれ程大きくはなかったです。

 

 国民の気質は「働き者」という印象です。お隣のレユニオン島が、フランスの海外県である事から補助金漬けで怠惰な感じがするのとは大違いです。砂糖栽培でかつては儲かりましたが、今は砂糖価格が下がっているため、色々な方策で国を発展させようと一生懸命です。先の述べたようにアフリカというカテゴリーに無いような気がするのですが、一人当たりのGDPはそろそろ10000ドルを超えそうでしてアフリカで数えてみると有数の発展度です。

 

 国際金融センター、IT、観光等での発展を追求しているのですが、今はアフリカ市場への進出を非常に強調していました。ここが我々の勘違いの最たるものでして、我々はどうしても「アフリカ」という目で見たくなりますが、モーリシャス経済の元々のベースはインドとの関係によるものでした。インド経済との強い関係を所与の物として、それにプラスαでアフリカ市場を狙っているというイメージです。

 

 しかも、これまではインド市場で稼いだお金はインドでは非課税だったそうですが、最近、インドとの租税協定が結ばれ、インド市場への投資収入にも課税がなされるということで、インド市場への中継基地としての優位性が少し失われつつあるので、アフリカにもどんどん目を向けていきたいということです。

 

 税は所得税、消費税、法人税、すべて15%であるものの、今後、外資を呼び込むために「(インドに加えて)アフリカ3か国への投資をする、一定の雇用(たしか技術職を10名)をする、事務所を構えるのであれば、8年間法人税免除。」という政策を打ち出すことが最近決まりました。かなり踏み込んだ政策です。

 

 インド市場との歴史的な繋がり、アフリカとの親和性、何処の国とも関係は悪くない、といったことを考えれば、たしかにこれらの市場を狙ったハブとしての可能性は大きいと思いました。日本企業でまだ進出している所はありませんが、「うちの国のプラットフォームを利用して、インドに投資している企業が出始めている。」と言っていました。

 

 更なる強みとしては、「国民の大半が英語、フランス語が話せる」ということでした。この言語インフラの強みは相当なものです。私がセネガル在住経験がある事を話したら、お会いしたシナタンブー技術相は「仏語圏アフリカとしての繋がりはかなりのものがある。仏語圏アフリカへの投資のプラットフォームとしてもうちを使ってほしい。」と言っていました。

 

 言葉が使えるというとすぐに「コールセンター等での欧米からのアウトソーシング先」と思いたくなりますが、モーリシャスはもうそこにはあまり重きを置いておらず、その先を見ていました。発展に伴い人口増加率が下がってきているので、もう単純労働で人口増を吸収するのではなく、付加価値型経済にどんどん突き進んでいく気構えがビシビシ伝わってきました。

 

 また、サイバー、ITといった分野ではかなり熱心で、首都ポートルイス郊外にはサイバーシティを作って、これからの振興を目指しています。シナタンブー大臣は「日本と関係を持っていきたい。近々行われるアフリカ開発会議(TICAD)で、首相から安倍総理にも提起したい。」と言っていました。かなり熱心な働きかけがあり、今後、MOU(Memorandum of Understanding)レベルから関係を作っていけるよう外務省や関係省庁には伝えたいと思います。これは先方の熱意にかんがみれば、今回の視察の成果に繋げられるでしょう。

 

 モーリシャス、そしてその後に行ったキプロスで感じた事なのですが、「島嶼国の発想」という事を学びました。それは何かと言うと「高目を狙わない」ということです。自国が世界で中核的な役割を果たそうというい気はなく、あくまでも大きな市場向けの「ハブ」を目指していきたいということです。そういう国の面白さを利用していくフロンティアを強く印象付けられました。

 

 働き者で、言語インフラがしっかりしており、金融、ITでのインフラも進んでおり、インド、アフリカ両面を狙える好位置にある、なかなか面白い国でした、モーリシャス。大使館開設に伴い、近々初代大使が赴任するでしょうから、あれこれ示唆しておこうと思います。

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 オバマ大統領が「核兵器先制不使用」を検討しているものの、ケリー国務長官や同盟国からの反対に直面しているという記事がありました。私も「それを宣言しちゃいかんだろう」と思います。

 

 元々、核兵器の使用については「消極的安全保証(negative security assurance : NSA)」というものがあります。ここから議論を始めないと、今の議論はさっぱり意味が分かりません。ちょっと小難しいですがお付き合いください。

 

 NSAとは極めてザックリ言うと「核兵器を持たない国には核兵器では攻撃しないから安心してね」という感じなのですが、ちょっとした表現の違いでバラエティがかなり広がります。

 

 有名なのが冷戦後、ウクライナが独立する時に米英露が提供したNSAです。ウクライナに核兵器を放棄させるために、これを約束したという事です。

 

【ウクライナへのNSA】
The United States of America, the Russian Federation, and the United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland, reaffirm, in the case of the Ukraine, their commitment not to use nuclear weapons against any non-nuclear-weapon State Party to the Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons, except in the case of an attack on themselves, their territories or dependent territories, their armed forces, or their allies, by such a state in association or alliance with a nuclear weapon state.

 

 まず、最初に「ウクライナが核不拡散条約上の非核兵器国である限り、米英露はウクライナには核兵器を使いませんよ。」と言っています。しかし、ポイントは「except」以降でして、ウクライナが核兵器国と「association」や「alliance」を持った上で、米英露やその同盟国に攻撃をしてくるような場合には、核兵器を使用する可能性を留保しています。

 

 つまり、ウクライナが核不拡散条約に加わっており、かつ核兵器を持っていなくても、ウクライナが核兵器国と「association」や「alliance」を持った上で米英露や同盟国に攻撃を仕掛けてくる場合は、核兵器不使用を約束していません。結果として、米英露や同盟国が受ける攻撃が(核兵器でなく)通常兵器、生物兵器、化学兵器によるものであっても、攻撃する国が核兵器国と「alliance」や「association」を持つ限りは核兵器を使う抑止の可能性を残しています。

 

 ここまでで分かる通り、核兵器の不使用という観点からはかなり絞り込まれたNSAと言っていいでしょう。

 

 なお、現在、ロシアはこのNSAを対ウクライナで守っているのかどうかは微妙です。仮に守っていたとしても、クリミアをロシアの「territory」、場合によってはウクライナ東部を「dependent territory」と見ているでしょうし、ウクライナは米やEUと「association」を強めているとこじつけるのであれば、ロシアによるウクライナへのNSAの機能は風前の灯火なのかもしれません(実際に核兵器を使うかどうかではなく、ルールとして)。ただ、本件はこれ以上は深くやりません。

 

 ただ、アメリカは2010年に核態勢を見直しています。

 

【2010年の核態勢見直し】
The United States will not use or threaten to use nuclear weapons against non-nuclear weapons states that are party to the Nuclear Non-Proliferation Treaty and in compliance with their nuclear non-proliferation obligations.

 

(注:この後に、生物、化学兵器を使う相手には通常兵器で大規模な報復を行うし、将来の技術発展次第ではこの約束自体を見直すこともあると念押しはしてある。)

 

 これですと、核不拡散条約に加盟し、そしてその義務をきちんと守っている非核兵器国には、アメリカは核兵器を使いませんよ、ということがなります。対ウクライナNSAとの関係で言うと、以下のような点が弱いです。

 

(1) 化学・生物兵器による攻撃への核抑止力は(条件付きであったとしても)ない。

(2) 核兵器国と「alliance」、「association」を持っている国への核抑止力はない。

(3) 同盟国への言及がない。

 

 生物兵器、化学兵器に対する抑止力は、通常兵器に委ねられることになります。当時、アメリカ政府は「単に核兵器を使わない約束をするだけであって、いくら非核兵器国でも行い次第では通常兵器でボコボコにされる可能性はある。」と強調していましたが、抑止という観点からはどうしてもハードルは下がっています。将来の変更の可能性があるとは言え、ちょっと弱いんじゃないかという感じです。

 

 これは恐らく「核不拡散条約に加盟して、義務履行すれば攻撃しない」というメッセージで、例えば、北朝鮮とイランを始めとする国々を核不拡散体制に呼び込もうとしているのでしょう。ただ、この2010年の見直しが世界の不拡散体制強化に繋がったという事実はここまでありません。誰も撒き餌に食いつかなかったのです。

 

 それで、今回のオバマ大統領の「先制不使用」提案です。どういう文言で検討されているのかは知りませんが、2010年の核態勢見直し以上に何をやろうとしているのかがさっぱり分かりません。すごく雑に考えて、「The United States will not use or threaten to use nuclear weapons, except in the case of an attack on themselves by nuclear weapons」とでもするのでしょうか。

 

 ここからはゲームの理論を駆使して分析する必要がありますが、そのメッセージが世界各国にどう受け止められるか、どう受け止められたとアメリカは判断するか、そういう要素を勘案する必要があります。いずれにせよ、上記のような文案であるとすれば抑止力などもう存在しないと言っていいでしょう。

 

 北東アジアの安全保障環境を見た時、日本はアメリカに「こんなものは変な誤解を撒き散らすだけなので絶対ダメだ。」と言っておくべきです。多分、言っているとは思いますが。

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 先日、とある方とお話していたら、「野党議員だとなかなか物事の実現が難しいだろう。」とのご指摘を受けました。半分正しくて、半分は「必ずしもそうとも言えない」というのが正直な気持ちです。

 

 ということで、1月4日~6月1日までの通常国会の中で、それなりに成果が出たもの、その端緒となったものについて、時系列的に備忘録として挙げておきます。

 

1. 2月8日予算委員会第8分科会(映像

 北九州市での国土交通省関係の事業(3号線黒崎バイパス、折尾駅再開発)や、北九州市が国交省、厚労省等との関係で重要と思われる政策課題(無電柱化、水道事業、公共交通等)を取り上げ、それぞれ前向きな答弁を得ています。

 

 地元個別事業を国土交通大臣に答弁してもらうのは悪いなあという気もしたのですが、「読み上げでいいから」という事で事前にお願いしました。黒崎バイパス、折尾駅再開発を国会の議事録に乗せておく事はそれなりの意味があると思います。

 

2. 2月8日予算委員会第3分科会(映像(前半))

 福岡地裁小倉支部の地裁昇格運動について問題意識を提起しております。本件は適切な司法サービスの提供という観点から、地元自治体、財界、法曹界の関心が高いです。映像の前半15分くらいですが、概ねこれを見れば、論点はすべて明らかになっております。

 

 昇格したところであまり財政負担が増えないという事が判明しました。あとはタイミングを見て、「下級裁判所の設立に関する法律」第1条の改正を仕掛けられないかと思います。

 

 これは10年以上、陳情がなされていたので、国会で取り上げました。初めてだそうです。

 

3. 2月8日予算委員会第2分科会(映像)、3月9日地方創生特別委員会(映像)(参考として昨年のブログ

 県費負担教職員の給与の政令指定都市への移譲、というテーマを今国会、しつこく追いました。これは何かと言うと、これまで市立小中学校の教員給与というのは県が負担していました。給与を払うのは県、任命は市という歪な構図なのですが、これをH25第4次地方分権で給与の権限を政令指定都市に移すことが決まりました。

 

 ただ、その県から政令指定都市に移譲される給与の額が不十分なのではないか、それによって教員処遇の財源不足が出るのではないか、という問題意識を地元で伺いました。「これはいかん」という事で、国会で総務省、文部科学省に何度も聞きました。

 

 当初はつれない答弁だったのですが、最終的にはココまで押し返しました。そして、総務省は地方にこの内容で説明しています。満額回答とはなかなか言いにくいのですが、地方交付税措置ではきちんと面倒を見るという事で落ち着いています。

 

 本件はまた詳しくブログに書きますが、本件は全政令指定都市の教育委員会が頭を抱えている案件でして、私の質問に対して、北九州市でない他の政令都市教育委員会関係者からもエールを頂きました。出来るだけ多くの政令指定都市選出議員に関心をもってほしいと思うのですが、ここは苦労しています。

 

4. 3月9日内閣委員会(映像(後半))、3月11日内閣委員会(映像)、質問主意書(質問答弁

 これはTPPの国内法措置についてのものです。アメリカには通商協定を締結する際、他国の法制度を見て、他国が(アメリカの目から見て)きちんとやっていると判断しない限りやらないという「承認(certification)」という制度が盛り込まれます。逆から見ると、アメリカが日本の制度に不満な時は「●●法を改正しないとうちはTPPを発効させない」と言ってくるのではないかという懸念です。

 

 「こんなものは、日本の立法プロセスへの容喙であり絶対受け入れてはならない」という思いから、石原TPP担当相に幾度となく聞いています(特に3月11日の質疑はそれ一色です)。

 

 私が想像するに、石原大臣が当初渡された答弁書は「そういう事は想定していない」という言い方だったはずです。そこで引かずに「想定されるから聞いている」と食い下がっています。委員会質疑の後、私はダメ押しで質問主意書を出しました。そこで「アメリカからあれこれ言われても、(今国会に出ている)法律以上の立法措置は不要と認識」と答弁が返ってきました。かなり強い内容で答弁を確定させています。

 

5. 3月18日内閣委員会(映像ブログ

 閣法として提出されてきた子ども子育て支援法改正案の審議に際して、内閣委員会筆頭理事として、修正案を提出して成立させました。内容はブログを見ていただければと思いますが、子育て環境の改善(処遇改善、人材確保)について一歩踏み込んだ規定を法律に盛り込みました。

 

 政府、与党、野党関係者の大きな理解を得ながら、自分自身が手掛けた法律の修正として、子育て環境改善の取っ掛かりとなる内容を成立させたのは良かったと思っています。

 

6. 3月16日地方創生特別委員会(映像(16:05くらいから))

 これは成果とまでは言えないのですが、予算として1000億円計上されている地方創生推進交付金は公共(416億円:道路、港、汚水処理施設)、非公共(584億円:ソフト)と区分がされていて使い出が悪いのではないか、1000億円を一体として使い出の良さを追求すべきではないかと聞いています。

 

 先日、新聞を見ておりましたら、7月5日の全国知事会で地方創生に関する決議案が提示されていました。その中に、以下のような件がありました。
 
【決議案抜粋】
5 地方創生推進交付金等については、ソフト事業と一体となって特に十分な効果が見込まれる施設整備事業等に係る要件を大幅に緩和するなど、自由度を一層高めるとともに、その規模を拡充すること。
 
 やっぱり、知事側も「使い出の良さ」を求めているんだなと思いました。別に私の質問が何かの良い効果をもたらしたとは言いませんが、知事会と認識が一致していて良かったと思っています。
 
7. 4月18日地方創生特別委員会(映像(28:23くらいから)、ブログ
 詳細はブログを見ていただければと思いますが、北九州市が特区として「特別養護老人ホームにおけるロボットの活用」という提案をして撥ねられていました。今の人員配置基準が「1人の職員で利用者3名」となっていたのを、北九州市は「1+ロボットで利用者4名」という基準の見直しが出来ないかと提案していました。
 
 私が質問した時も当初、厚生労働省は冷たかったのですが、最終的には「基準の見直しも念頭に置いて、前向きに検討したい」という答弁まで持ってきました。その後、本件は進んでいっているようです。しつこく追って良かったなと思います。北九州市出身の山本幸三地方創生特別委員長は、私の顔を見る度に「良い指摘だった」と言ってくれます。
 
8. 4月22日内閣委員会(映像(中根一幸議員発言部分))
 特定研究開発法人(例:理化学研究所等)特別措置法の修正です。研究開発をする方の処遇や若手研究者の育成等について追加的な修正をしました。若い方の研究環境を出来るだけ整える取っ掛かりを作っておきたいという思いからです。我々側から対案を提起したものでして、それを与党と協議して纏めたものです。後藤祐一理事の知見に依拠しながら、かなり激しいやり取りをしました。
 
 実を言うと、この時期、私は途中から40度近い熱を出してぶっ倒れておりましたので、与野党協議の最終局面では後藤理事に一任して成立したものです。残念ながら、私は修正が通った委員会を欠席しております。
 
9. 5月18日法務委員会(映像ブログ
 成年後見制度は、認知症の方が増える中、活用が進むべきだと思いますが、残念ながら司法書士の方による横領事案が出てきています。司法書士会もこれで良いとは思っておらず、公益法人リーガル・サポートという組織を立ち上げて、各成年後見業務に対するチェック機能を果たそうとしています。
 
 しかし、特に個人情報保護との関係で、お預かりした通帳の原本をリーガル・サポートがチェックすることに疑義を提起される司法書士の先生がおられて、なかなかチェック機能の強化が進まないとのご指摘を受けました。内容はブログを見ていただければと思いますが、リーガル・サポートによる成年後見制度のチェックは個人情報保護との関係でも問題はない、との答弁を取り付けました。
 
 目立たない案件なのですが、数名の司法書士の先生からお礼のメールを頂きました。こういうチェック機能を通じて、使いやすい成年後見制度が推進され、認知症の方等の財産管理が遺漏なく行われてほしいと思います。
 
10. その他
 まだ、成果には繋がっていないものですが、4月27日内閣委員会で質疑した「日展改革」(映像ブログ)については、芸術界、特に書壇に強いインパクトを与えたらしく、その後、私の所に多くの情報提供がなされています。「このカネの飛び交う芸術界を何とかしてくれ」という叫びにも似た声です。臨時国会でも取り上げて、その是正に貢献したいと思います。
 
 あと、これも成果ではありませんが、通常国会最後の質問だった5月17日安全保障委員会(映像(15:25くらいから))で、沖縄の殺害・死体遺棄事件を受けて、「軍属」の定義が広すぎるのではないかと指摘しています。その時点での答弁は何も言っていませんが、その後の日米間の動きは殆ど私の質疑のラインと同じです。
 
11. 最後に
 なお、一番記憶に残っているのは、やはりこの質疑です。どうも地元でもこの印象がとても強いみたいで、私を「怖い人キャラ」だと思っておられる方がかなりおられます。
 
 あえて、長々と纏めてみると実際には色々やったよな、と思います。「案件が小さい」、「まだまだ不十分」、ご指摘はあるでしょうが、また、次の国会でもコツコツと課題を少しでも前に進めるような質疑に努めたいと思います。
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 何故、フィリピンと中国との仲裁裁判所が成立したのか、については、少し前のエントリーで書きました。外務省からも話を聞きましたが、ちょっと論立てが違いますが、まあ、外しているわけではありません。

 

 中国が「本件は国連海洋法条約の紛争手続きの対象外。何故なら、中国が除外している主権事項や境界画定に関するものだから。」と主張したことに対して、このプレス・リリースの6ページ目に、今回フィリピンが提起した案件は主権事項でも無いし、境界画定でもないから、中国の理屈は当たらないとしてあります。やはり、その辺りを外して仲裁裁判所に持ち込んだのが良かったという、私の見立ては正しいようです。

 

 ただ、中国は結構、広範なものを除外しています。以下のすべてで国連海洋法条約の紛争解決手続きを除外しています(備忘録的ですので特に条文を読んでいただく必要はないです。単に「広範な除外がある」ことだけ分かっていただければOKです。)。

 

【第二百九十八条 第二節の規定の適用からの選択的除外】
1 第一節の規定に従って生ずる義務に影響を及ぼすことなく、いずれの国も、この条約に署名し、これを批准し若しくはこれに加入する時に又はその後いつでも、次の種類の紛争のうち一又は二以上の紛争について、第二節に定める手続のうち一又は二以上の手続を受け入れないことを書面によって宣言することができる。
(a)
(i) 海洋の境界画定に関する第十五条、第七十四条及び第八十三条の規定の解釈若しくは適用に関する紛争又は歴史的湾若しくは歴史的権原に関する紛争。ただし、宣言を行った国は、このような紛争がこの条約の効力発生の後に生じ、かつ、紛争当事者間の交渉によって合理的な期間内に合意が得られない場合には、いずれかの紛争当事者の要請により、この問題を附属書V第二節に定める調停に付することを受け入れる。もっとも、大陸又は島の領土に対する主権その他の権利に関する未解決の紛争についての検討が必要となる紛争については、当該調停に付さない。
(ii) 調停委員会が報告(その基礎となる理由を付したもの)を提出した後、紛争当事者は、当該報告に基づき合意の達成のために交渉する。交渉によって合意に達しない場合には、紛争当事者は、別段の合意をしない限り、この問題を第二節に定める手続のうちいずれかの手続に相互の同意によって付する。
(iii) この(a)の規定は、海洋の境界に係る紛争であって、紛争当事者間の取決めによって最終的に解決されているもの又は紛争当事者を拘束する二国間若しくは多数国間の協定によって解決することとされているものについては、適用しない。
(b) 軍事的活動(非商業的役務に従事する政府の船舶及び航空機による軍事的活動を含む。)に関する紛争並びに法の執行活動であって前条の2及び3の規定により裁判所の管轄権の範囲から除外される主権的権利又は管轄権の行使に係るものに関する紛争
(c) 国際連合安全保障理事会が国際連合憲章によって与えられた任務を紛争について遂行している場合の当該紛争。ただし、同理事会が、当該紛争をその審議事項としないことを決定する場合又は紛争当事者に対し当該紛争をこの条約に定める手段によって解決するよう要請する場合は、この限りでない。
 
 では、これだけ除外したのに、今回の仲裁裁判所は何に管轄権を設定したかというと、このプレスリリースの5ページのテーマの大半です。私のかなりいい加減な訳でご容赦ください。
 
【今回、仲裁裁判所が管轄権を設定したテーマ】
1. 中国、フィリピンの南シナ海での権原は国連海洋法条約で認められたものを超えてはならない。
2. 中国の歴史的権原(九段線)については、国連海洋法条約に反する。
3. スカボロー礁はEEZ、大陸棚の基点となる権原を有しない。
4. ミスチーフ礁、セカンド・トーマス礁、スビ礁は低潮高地であって、領海、EEZ、大陸棚の対象ではなく、占領の対象とならない。
5. ミスチーフ礁、セカンド・トーマス礁はフィリピンのEEZ、大陸棚の一部である。
6. ガヴェン礁、ケナン礁は低潮高地であり、領海、EEZ、大陸棚の対象ではないが、その低潮線は(ベトナムが実効支配する)ナムイット島、シンコウェ島からの基線を構成する(注:低潮高地が領海内にある時は基線となるとの国連海洋法条約第13条との関係)。
7. ジョンソン礁、クアルテロン礁、ファイアリー・クロス礁はEEZ、大陸棚の基点となる権原を有しない。
8. 中国は、自国船がフィリピンのEEZにおける生物、非生物資源についての主権的権利の行使に不法に介入している。
9. 中国は、自国の船がフィリピンのEEZにおける生物資源採取をしている事を、不法に防いでいない。
10. 中国は、スカボロー礁での伝統的漁業に介入することで、フィリピンの漁民が生計を立てようとしているのを妨げている。
11. 中国は、スカボロー礁、セカンド・トーマス礁、クアルテロン礁、ファイアリー・クロス礁、ガヴェン礁、ジョンソン礁、ヒューズ礁、スビ礁における海洋環境の保護、保全に関する国連海洋法条約の規定に違反している。
12. 中国のミスチーフ礁における占領、建設活動
(a) 人工建造物に関する協定違反
(b) 海洋環境の保全、保護に関する協定違反
(c) 協定違反の収用行為
13. 中国は、危険な手法で法執行船舶を運用し、スカボロー礁周辺を航行するフィリピン船に重大なリスクを生じさせ、協定違反を犯している。
14. 中国は、仲裁手続きが開始された後も不法に事態を悪化させている。
((a)-(c)については、中国が国連海洋法条約上、手続除外を宣言したテーマのため、管轄権を認めず)
(d) ミスチーフ礁、クアルテロン礁、ファイアリー・クロス礁、ガヴェン礁、ヒューズ礁、スビ礁において浚渫、人工建造物、建築活動を行っている。
(15.については、すでに判断済みということでそれ以上の扱いをせず。)
 
 これだけのものが「主権事項でもないし、境界画定事項でもないから、どんなに中国が除外手続きを取ろうとも、仲裁裁判所は管轄権を設定し得る。」と判断されたわけです。私の常識観からすると、相当に踏み込んだという印象があります。
 
 さて、先のエントリーでも「竹島」についての提訴の可能性について書きました。現在の国会での答弁はこれです。竹島の問題は領有権の問題だから、提訴は想定されないというものです。ただ、上記の仲裁裁の管轄権の設定を見ていると、相当ギリギリのものでも可能ですので、緻密な論点整理さえすれば竹島でもやれるでしょう。
 
 ただ、ここからが難しいのが、それをやると「沖ノ鳥島」でカウンターが飛んでくるかなという懸念はあります。その辺りをどう判断するのか、本件の帰結としてよく考えなくてはならない所です。
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 先のエントリーで若干強気な事を書きましたが、沖ノ鳥島についての懸念は勿論あります。それは何かと言うと、南シナ海で台湾が領有している「太平島(Itu Aba)」についての判決との関係です。ここは元々日本軍が領有していた場所です。
 
 仲裁裁判所の判決をザッと読んでみました。太平島についての記述はとても多いです。ザクッと言うとこんな感じでした。

● 「淡水が出る」→大した量ではない。
● 「植生もある」→不十分。
● 「農業も可能」→不十分。
● 「人がいる」→居住目的とは言えないし、極めて限られる。
● 「商業活動」→純粋な経済活動はない。
 
 なので、太平島はUNCLOS121条3でいう「人間の居住又は独自の経済的生活を維持する」事が出来ないと判断されています。しかし、この画像を見てください。人工建造物が勿論ありますが、それでもこの規模、植生です。これで「人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない岩」扱いです。
 
 しかも、判決には「中国は沖ノ鳥島は岩だと言っているではないか。」という中国の主張が何度も取り上げらています。結論には出て来ませんが、仲裁裁判所としては「中国だって沖ノ鳥島の『(国連海洋法条約上の)島』としての性格を否定しているではないか。(南シナ海で)どの口で主張しているのだ。」という含意があるように思えます。
 
 沖ノ鳥島について懸念を持たれる方は正しいです。それに抗していこうとすると、私が先のエントリーに書いたような論立てしかないでしょう。
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 南シナ海をめぐる仲裁裁判所が何故成立したかについては、先のエントリーで書きました。

 

 韓国との関係では、竹島でも同様のアプローチが取れるような気がします。国連海洋法条約及びそれに伴う韓国の宣言を踏まえれば、「竹島」の領有権とか領海等の境界画定で仲裁裁判所を立ち上げることは出来ません。民主党政権時代にも一度、提起していますが、韓国側から拒否されています(ココ)。今回の一連の裁判手続きを踏まえ、それらの主権関係のテーマを丁寧に外しつつ、間接的に竹島の領有権の判断なしには判決が出せないような論点を探してみる事は知的にとても興味深いと思います。国会審議で提案してみようと思います。

 

 さて、仲裁裁判所の判決を受けて、「沖ノ鳥島は大丈夫か」という問題意識があります。正に正当な問題意識です。今回、南シナ海の浅瀬や岩礁は、一部は低潮高地(潮が低くなると陸の部分が出てくるだけの場所)としてそもそも領土としての権限すら否定され、一部は国連海洋法条約上の「岩」に過ぎないとなっています。

 

 ここで重要なのは、「国連海洋法条約上の『岩』」という事です。国連海洋法条約には以下のような規定があります。

 

【第八部 島の制度 第百二十一条 島の制度】
1 島とは、自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、高潮時においても水面上にあるものをいう。
(略)
3 人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない岩は、排他的経済水域又は大陸棚を有しない。

 

 ポイントは3でして、南シナ海の幾つかの岩礁はここで言う「岩」だと認定されています。なので、排他的経済水域又は大陸棚を有しません。これとの関係で、沖ノ鳥島のステータスがどうなのかということになります。

 

 沖ノ鳥島が「領土」であることを否定する論者は世界中のどこにもいません。なので、12カイリの領海は有しています。しかし、そこから先の排他的経済水域、大陸棚が否定されるという事になると、日本にとってはとんでもない損失になります。そして、中韓は沖ノ鳥島は国連海洋法条約における所の「岩」に過ぎず、排他的経済水域も、大陸棚も有しないと主張しています。

 

 ここで押さえておかなくてはならないのは、2012年の国連大陸棚限界委員会の勧告です。国連海洋法条約では、大陸棚は200カイリまで認められますが、一定の要件を具備すれば200カイリ以上に延伸する事が出来るとなっています。その延伸部分をどう画定するかという作業が国連で進んでおり、日本は色々と頑張った結果、200カイリ以上の部分でかなりの大陸棚を確保しています。取れた部分、保留になった部分の図はココで参照ください。

 

 その際、外務省はこういう報道官発表をしています。明確に「四国海盆海域について,沖ノ鳥島を基点とする我が国の大陸棚延長が認められている」と書いてあります。四国海盆というのは、この図で言うと四国の南にある薄紫の部分です。ここは四方を日本の大陸棚に囲まれているのですが、200カイリ以上の部分ですので、2012年の延伸で明確に日本の大陸棚だと画定した部分です。

 

 ここからが少し難しくなりますが、この四国海盆は何処を基点として延伸した大陸棚だと認められているかという事です。再度、この図を見ていただければ分かりますが、東の小笠原諸島、西の沖大東島あたりから延伸したものだと見る事も出来るわけですが、外務省は「沖ノ鳥島を基点とする」と発表しています。

 

 沖ノ鳥島は大陸棚を有するとするのであれば、上記の国連海洋法条約第121条3における岩ではないということになります。「人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない岩は、排他的経済水域又は大陸棚を有しない。」の対偶を取ると、「排他的経済水域又は大陸棚を有するのであれば、人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない岩ではない。」となります。対偶は常に真です。

 

 なので、私は今年の国会の質問主意書で、「何故、外務省はそこまで自信をもって、沖ノ鳥島を基点とする我が国の大陸棚延長が認められていると言っているのか。」について聞いています。あまり注目されませんでしたが、それなりに良い質問ではないかと思います。質問答弁、それぞれご覧になってください。ポイントは問二です。

 

 答弁は逃げていますが、実は私は答えを知っています。それはこの4年前のブログ(是非参照ください)に書いています。大陸棚限界委員会からの勧告で、沖ノ鳥島を基点として四国海盆への大陸棚延伸が認められているのです。

 

 勧告(全文はココ)のパラ158に以下のようなくだりがあります。

 

2. Submerged prolongation of the land mass and entitlement to the continental shelf beyond 200 M
158  The submerged prolongation of the land mass of Japan in this region extends from the land territories on the Izu-Ogasawara Arc to the east and the Daito Ridge and the Kyushu-Palau Ridge in the west. In this regard, Japan refers explicitly to the following land territories: islands on the Shichito-Io To Ridge, such as Tori-Shima Island in the Eastern SKB region; and in the Western SKB region, Kita-Daito Shima and, Minami-Daito Shima Islands on the Daito Ridge, Oki-Daito Shima Island on the Oki-Daito Ridge and Oki-no-Tori Shima Island on the Kyushu-Palau Ridge (Figure 21).

 

 ここに何と書いてあるかというと(太字部分)、四国海盆への延伸は九州・パラオ海嶺にある陸から広がっているという趣旨の事が書いてあります。そして、九州・パラオ海嶺上にある陸(land territory)というのは沖ノ鳥島しかないのです。多分、中韓は大陸棚限界委員会の審査の段階で、上記のパラ158の微妙な表現振りを見落としたのではないかと思います。野田政権の日本外交の大得点だと思います。ここは素直に評価してください。

 

 ここまで長かったですが、何が言いたいかというと、沖ノ鳥島は大陸棚を持てると国連の大陸棚限界委員会が言っている、ということは、沖ノ鳥島は「岩」ではない、という理屈が導き出せるのではないかということです。楽観的な事を言うつもりはありませんが、日本外交はそれなりに手は打ってきています。

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