当選した後、国会に上がっていったら、この書類が届いていました。財務省の審議会である財政審の予算編成に際しての建議書です。ただ、建議書のかたちをとってはいるものの、実際には財務省本体の思いが思う存分語られています。事実上、「財務省はこういう方針で行くぞ」という意図表明と思って差し支えないでしょう。

 実際、先日、厚生労働省から出てきた医療保険制度改革骨子案についてのアイデアは概ねこの建議書のラインに沿っています(総報酬割、紹介状なしでの大病院診療は定額負担等)。

 全体としては、社会保障と地方交付税が2大テーマとして挙がっています。この2つが支出が大きく、赤字国債を増大させる原因とされています。社会保障は多岐に亘りますけど、私の目を引いたのは、(散発的ですが)「年齢等を問わない応能負担」、「社会福祉法人の内部留保」、「ジェネリック薬品の積極的な活用」という感じです。地方交付税については、リーマンショック対応で積まれている分についてはもう止めるべき、地方単独でやっている事業の中は過剰サービスがあるのではないか、といったところです。

 ここから先は難しいのですが、ともかく「切り過ぎない」ということに我々は留意しなくてはなりません。若干情緒的になりますが、この2年、地元に張り付いて回った身として、久しぶりに上京してみるとすべてが異次元に見えました。人口がそろそろ我が北九州市を超える世田谷区の街を歩いていると、「少子化、高齢化、人口減少ってなかなか実感しないだろうな。」と思いました(別に世田谷区民を批判しているわけではありません。)。

 東京での政策決定者からは絶対に見えない風景というのが地方にはあります。この建議書に書いてあることの幾つかは、「理屈としてはそうかもしれないが、現場を見ていると絶対に現実的でない。」と思えます(今回は詳細に立ち入りませんが、今後少しずつ書いていきます。)。そこのギャップを埋めるのが、我々国会議員の役目、そう任じています。

 財務省(を始めとする霞ヶ関)と対峙して議論をして勝つことは至難の業です。筋の悪いマスコミは「負担増を目指す財務省の陰謀」とよく書きますけど、私が知る限り、そういう「陰謀論」は殆どがポイントがずれています。むしろ、こういう「財務省のホンネ」をよく読み解いて、現実感のないところを指摘していく地道な作業に徹するべきだと思います。