柔道の世界選手権、日本は大活躍でした。その中でも、外国籍の親を持つ方が目立ったことに気付いた方も多いと思います。七戸龍さん、ヌンイラ華蓮さん、ベイカー茉秋さんです。よく誤解があるのですが、これらの方々は日本人です。どうも、ベイカーさんは(国籍選択年齢に到達していないので)現時点では二重国籍のようですけども、日本人であることは間違いないことです。


 柔道のみならず、既に大活躍しておられるダルヴィッシュさんを見ても分かるように、これからどんどん「多様な」日本人のあり方が増えてくるでしょう。


 その中で、どうしても日本が克服していかなくてはならないことがあります。それは、にしゃんたさんのこのブログ植野行雄さんのこの発言 のようなケースです。にしゃんたさんは帰化、植野行雄さんは生まれた時から日本人です。「外見」で判断してはならないということです。なお、私はこの映像 が結構好きです。映像の中で「外見とアイデンティティは切り離して考えるべき」という言葉、考えさせられます。


 私はかつてセネガル在勤時、副領事(パスポートやビザを担当する)を兼務していたことから、「色々な」日本人にお会いしたことがあります。詳細は述べられませんが、外見上モンゴロイドには見えず、かつ、日本語が全く話せない日本人という方もいました。私は当時日本の外交官として「何かあった時には、この方を保護しに行くのだ。」と強い決意を持ちました。


 逆に、日本人がよく陥りがちなのが、「日系●●人」の方に過度の期待を持ちがちであるということです。以前、書きましたけど(ココ )、日本はダニエル・イノウエ元上院議員、ノーマン・ミネタ元運輸長官を始めとする、米政界で活躍する日系の方に何処かで「実は日本に好意的なのではないか」と期待している所を時折感じます。


 しかし、逆ケースとして一番分かりやすいマイク・ホンダ 下院議員のように、日本に極めて厳しい日系議員だっているわけです。イノウエ議員も、日米経済摩擦の時代、日本に対して非常に厳しい姿勢を取っていました。


 簡単に言うと、「日系アメリカ人はアメリカ人。それ以上でも、それ以下でもない。」ということです。アイルランド移民の家系のアメリカ人で、名前から見ても(アイルランドに典型的な)「Mc」で始まるからと言って、アイルランドの人がそれらの方に何か特別な期待感を抱かないのと同じです。それはただの一方的な思い入れでしかありません。


 最近、フランスの文化大臣にフルール・ペルラン さんが任命されました。ソウルで生まれた後、フランス人夫婦に養子縁組をしています。国立行政学院を出た後、(その中でもトップの生徒が行く)会計検査院に行っていますから、かなりの才媛です。ペルラン大臣は「出生の親を探すことはしない。私の家族はフランスにいる。」と言っています。


 「外国系日本人の方と普通に接すること」、「日系外国籍の方に、根拠のない期待感を抱かないこと」、これからの日本人に求められることだと思います。