憲法解釈の一部見直しが行われました。その内容については、これまでも何度もブログに書いてきたので細かくは書きません(私は必要最小限度の「自衛権」は認められるべきとの立場です。集団的、個別的の区分は生産的だとは思いません。)。


 今日は憲法解釈の一部見直しについては、憲法論の観点からも相当程度の覚悟が必要であるということについて書きたいと思います。


 憲法解釈の一部見直しについては、先の国会で藤末健三参議院議員の質問主意書のやり取りがとても参考になります(質問答弁 )。そして、答弁で引用されている島聡衆議院議員(当時)の質問主意書のやり取りがとても重要です(質問答弁 )。特に島聡議員への答弁書は、憲法の解釈一部見直しについて事例を踏まえて述べてあり、良い勉強になります。


 それを踏まえると、以下のような質問が可能になります(今回の憲法解釈に一部見直しがあったかに関わらず、いつ何時でも可能な質問ですけども。)。



【質問案】

 衆議院議員島聡君提出政府の憲法解釈変更に関する質問に対する答弁書(平成十六年六月十八日内閣衆質一五九第一一四号)一についてで、以下の通り答弁されている。


「憲法を始めとする法令の解釈は、当該法令の規定の文言、趣旨等に即しつつ、立案者の意図や立案の背景となる社会情勢等を考慮し、また、議論の積み重ねのあるものについては全体の整合性を保つことにも留意して論理的に確定されるべきものであり、政府による憲法の解釈は、このような考え方に基づき、それぞれ論理的な追求の結果として示されてきたものであって、諸情勢の変化とそれから生ずる新たな要請を考慮すべきことは当然であるとしても、なお、前記のような考え方を離れて政府が自由に憲法の解釈を変更することができるという性質のものではないと考えている。仮に、政府において、憲法解釈を便宜的、意図的に変更するようなことをするとすれば、政府の憲法解釈ひいては憲法規範そのものに対する国民の信頼が損なわれかねないと考えられる。
 このようなことを前提に検討を行った結果、従前の解釈を変更することが至当であるとの結論が得られた場合には、これを変更することがおよそ許されないというものではないと考えられるが、いずれにせよ、その当否については、個別的、具体的に検討されるべきものであり、(以下略)」


 上記を踏まえ、以下の通り質問する。


一. 政府は、現在も上記答弁の考え方に立っているか。
二. 今回の憲法解釈一部見直しは、上記答弁の考え方に沿ったものか。
三. 憲法のすべての規定、例えば国民主権、基本的人権、信教の自由、政教分離の規定は、上記答弁の考え方に沿う限りにおいて解釈変更は可能か。実際に変更を行うか否かではなく、その可能性について答弁ありたい。

【質問案終わり】


 論理的には、全部「はい。」と答えないとおかしなことになります。少しでもゴニョゴニョ言って怯んだ答弁をしてしまうと、「ご都合主義」の批判を免れません。それくらいの覚悟を持って、全大臣は今回の憲法解釈一部見直しをやったということだと理解したいところです。多分、こういう問いについても、政府部内には精緻化された応答要領が出来あがっているでしょうし。


 ただ、全大臣がその答弁書に署名できるかは微妙でしょう。


 意地の悪い質問ですけどね。ただ、国務大臣にはこういう覚悟が問われているということです。