先日来、よく「空き家」のことについて書いていたら、地域のことをよく知るある有識者から「空き家と簡単に一言で纏めることが出来ないことくらい分かるだろう。廃墟に近いものから、まだまだ住めるものまである中で単一の処方箋などあるはずがない。」という趣旨のご指摘をいただきました。正にその通りでして、ちょっと議論を簡略化しすぎたようです。反省します。


 廃墟に近い家屋については、何らかのかたちで解体するインセンティブ付けがあるべきだと思います。ここは変わりません。本当に「どう考えても住める環境に戻すことが出来ない家屋」というのが、この北九州市ではかなり増えてきています。解体することが周辺の住民の方との関係でも必要なものについては、先のブログ にも書いたように税法上の問題が障壁になっているのであれば、その障壁を取り払う術を考えるべきだろうと思います(ただ、方向性は固定資産税の増税、減税のどちらかであり、いずれも楽ではありません。)。


 逆に冒頭有識者からのご指摘のように、実は空き家問題の中で暗澹たる気持ちになるもう一つのことは「かなり立派なお宅なのに空き家になっている」という家屋にかなり出会うことなのです。まだ、築10年に満たない家屋ではあるものの、暫く放置されているため、よく見てみると空き家であることが分かるものが多いことに驚かされます。


 ああいう比較的新しい空き家については、リフォーム等を施せば確実に住めるようになるでしょう。最近、ポツポツそういう物件を見かけるようになりました。値段を見ていると、新築で買うよりも遥かにお安くなっています。私は住宅市場のことがよく分かりませんけども、行政と住宅業者を上手く巻き込んでその手の家屋のマーケットみたいなものが考えられないのかなと思います。


 これからの世の中は間違いなく、コンパクトシティの方向性に進んでいくと思います。そろそろ郊外にどんどん宅地造成をしていくよりも、街中にあるストックを大事にしていく発想に立たなくてはなりません。その一番の対象は「ちょっと手を施せば、かなり快適に住める空き家」の活用ではないかと思うのです。それらの家屋を相続等した方からしても、今後住む当てもなく、しかし固定資産税は払い続けなくてはならないのは相当に辛いでしょうから、何か大きな方向性が出せればいいなと思ったりします。


 自分で書いてみて、とても荒いですし、住宅市場のことを全然知らない人間の希望的観測でしかないのですけども、意外に多いこの種の空き家と今後の街づくりのことを考えると、私の限られた知恵ではこういうことしか思いつきませんでした。