26日は北九州市議会議員選挙の投開票日でした。民主党は10→7と議席を減らしました。総支部長たる私自身の力の及ばないところが大でした。先の総選挙での自分の敗北と同様に、いやそれ以上に残念でなりません。再起を期す第一歩とすべきだっただけに申し訳ない思いで一杯です。応援いただいた皆様には法令上、意を尽くせませんこと、ご理解賜れれば幸甚です。
そのような中、地方自治体の首長選挙や議会選挙について色々と思うことがありました。その中でも特に痛感したのが「告示後、市民の皆様とのコミュニケーションの手段が少なすぎ」ということです。
北九州市では市議会議員選挙では選挙公報を作りません。したがって、市議選告示後の選挙活動では、個人名を出すことが出来る合法的なツールは公営掲示板のポスター、タスキ、街宣車の看板、決まった枚数のハガキ、一定の要件を具備した看板くらいです。衆議院選ですと、個人を売り込むためのビラが認められていますが、地方自治体ではこれはダメです。ポスターについては、公営掲示板があるのは同じですけど、それ以外については、比例区に候補者を出している政党に所属している候補者はその政党枠で個人名の入ったポスターが認められますが、地方自治体ではこれもダメです。
つまり、告示後は個人名が入った幟の使用はダメ、個人名の入ったビラもダメ、(公営掲示板以外の)ポスターの掲示もダメということになると、合法的に個人名が出せるツールは極めて限られます。しかも、告示後のウェブの更新は禁止です。
そうすると、謎かけみたいなやり方が横行します。個人名を出さずに、その個人を連想させるためにはどうしたらいいかといった知恵を出さなくてはなりません。私も多用しますが、最近目立つのが「本人」の幟やタスキ、あれは別にウケを狙っているのではなくて、単に公職選挙法上合法だから苦肉の策としてやっているという面が強いです。昔、ある市長選挙で4選目を目指す市長に対抗する新人候補が「4期16年は長すぎる」という掲示物を使って当選しました。自分の名前も、相手の名前も出さずに、しかし相手にダメージを与える知恵だと思いました。
つまり、今の法令上は告示後に候補者個人、特にその考えや政策を知り得るツールが殆どありません。本人と会うか、集会に行くか、ハガキが届くか、街宣車での演説かくらいです。それですと、そういうコネクションを有さなかったり、偶然、街宣車に出くわさない方はどうしていいのか困ると思うのです。ましてや、候補者がウェブを十分に活用していなければ、最後は公営掲示板のポスターの顔でも見ながら決めるくらいしかありません。
逆に言うと、候補(予定)者は告示前の政治活動で有権者に十分に売り込まなくてはいけません。しかし、告示前にやれるのはあくまでも政治活動であり、選挙活動は不可です。これも微妙なところがありまして、選挙活動とは簡単に言えば、「特定の選挙において、特定の候補者に対して、投票を求める行為」です。なので、この要件を少し外せば選挙活動とはなりません。「私に一票を入れてください」という掲示物を作れば違法ですが、「私のこの市に対する熱い思いを御支えください」であれば合法です。
実際に動いてみて、地方議会選挙については「これだけ制限が多いと、有権者は何を材料に判断すればいいのか」という気になりました。もう少し、よく考えないと制度自体が「正しい選択」を妨げる結果になりません。