どうも、暫くはTPPの交渉入りは難しそうだとマスコミに出ています。仮に事実であるとするなら、党内で推進派最右翼を自任している身からすると、とても残念な気持ちにならざるを得ません。


 このタイミングでないとすると、今後どうなるかを少しシミュレーションしてみたいと思います。アメリカの議会は選挙モードに入りますから、10-11月に交渉入りを通告するという選択肢はなくなるでしょう。交渉入りの通告をしても、「それどころではない」と言われるのが関の山です。


 では、選挙が終わったらどうかというと、アメリカの議会の任期は1月からですので、暫くはレームダック議会になります。では、レームダック議会で審議するでしょうか。しないでしょう。しかも、仮に11月にUSTRから議会に通告しても、そのまま90日を徒過する前に議会の会期が終わってしまいます。


 となると、新しい議会でということになりますが、また、新しいUSTRと新しい議会との間で根回しを始めなくてはなりません。アメリカは次官補(日本で言う局長)クラスから政治任用になり、上院の承認が必要となりますので、USTRの陣容が整うまでにある程度の時間がかかります。また、両院での担当の委員会(ways and meansだと思いますが)がどういう構成になるのかということもあるでしょう。少なくとも1月や2月に、日本からの通告をそのまま審議できる体制にはならないのではないかという気がします。


 とすると、少し悲観的なシナリオで行くと、次に日本からの通告が議会で審議に入れるのは4月くらいになりはしないかという気がするわけです(日本がUSTRに交渉入りの通告をして、実際にUSTRが議会通知をするまでにも一定の時間がかかるので)。そこから90日ですから、実際にアメリカ国内の手続きが完了するのは来年の夏、交渉入りは来年9月以降といった事態が容易に想像されます。その間にも交渉そのものは着々と進んでいきます。


 今、国内では慎重派の方々が「交渉に入っても十分にルール交渉に関与できないのではないか。」という論点を提示していますが、上記のシナリオは正にその疑念を強化するだけです。多分、慎重派の方々はそういう事態になると更に「今さら交渉に入ってもルール交渉に噛めないだけではないか。」と主張するでしょう。本来、この「ルール交渉に早く参加すべきではないか」というのは推進派が提示すべきものであり、慎重派がそれを言うのは単なる自家撞着でしかないと思います。


 いずれにせよ、もどかしい思いを持ちます。ただ、一つ言えるのは、最近また私は党内議論で限りなく「(独りで)独自の戦い」をやっているという事実です。それだと交渉参加のモメンタムは上がらないよなとちょっと残念であります。