最近、すっかり関税オタク化しておりまして、これからの経済連携協定における関税撤廃のあり方について真剣に考えております。私はTPPに入る入らないにかかわらず、これからの経済連携協定はハイスタンダード化していくことは避けられないと思っております。EU、オーストラリア、更には中国や韓国との間であっても、ハイスタンダードになっていくでしょう。


 私は最低ラインとして、品目ベースで95%の削減までは不可欠だと見ています。これがどの程度かと言えば、全品目が9000程度ですので、撤廃率95%でコミットするとすれば、荒い数字として450品目程度しか除外できないということになります。


 その中で、現在までに如何なる経済連携協定においても関税撤廃したことのない品目が940品目程度あります(下記の調べでは939でした。)。ただ、どういう品目がこの940品目に含まれているのかということはあまり議論されていません。


 ということで、あれこれと苦労しましたけども、関係省庁からの資料提供を受けつつ、大体こんな感じだということが分かりました。ちょっと技術的にで見るのが億劫になりますけども、とても面白いデータなのでご参照ください。


 こうやって見てみると、乳製品は難関ですね。調整食料品の中にも乳製品系がかなり含まれており、実際には100品目を大きく超えてくるでしょうから、実際には全体の2%近いのではないかと思います。あと、皮革・履物で90強ですから全体の1%でして大きいです。


 なお、この中で「?」という感じを抱いたというか、面白いと思ったというか、意外感のあるものを幾つか挙げると、クスクス、葉巻タバコ、ミンク毛皮、ワッフル及びウエハー、人造はちみつ、キャッサバ、スキー靴といったところでしょう。クスクスくらいいいじゃないかと思うのですけどね。そもそも、あれを自由化しないことで日本の小麦業界のどの程度の利益が守れるのかもよく分かりません。


 さて、ハイスタンダードな経済連携協定のイメージとしては、現在、一度でも撤廃したことのある品目が89%前後ですのでこの中から90品目積み上げれば1%アップ。当面の目標を95%とすると、この中からえり分けて500品目くらいを積み上げてみましょうという感じでしょうか。その積み上げの作業をどうやっていくかを緻密にやっていかなくてはならないと思っています。


 ここはある程度アイデアを持っているつもりですが、それを書くのはさすがに刺激的すぎて憚られるような気がしますので、今日は基本的には事実関係の羅列だけで止めておきます。


【これまで如何なる経済連携協定においても撤廃したことのない品目数】

第1類 動物(生きているものに限る。)   8
第2類 肉及び食用のくず肉   64
第3類 魚並びに甲殻類、軟体動物及びその他の水棲無脊椎動物   80
第4類 酪農品、鳥卵、天然はちみつ及び他の類に該当しない食用の動物性生産品   136
第7類 食用の野菜、根及び塊茎   17
第8類 食用の果実及びナット、かんきつ類の果皮並びにメロンの皮   4
第10類 穀物   27
第11類 穀粉、加工穀物、麦芽、でん粉、イヌリン及び小麦グルテン   71
第12類 採油用の種及び果実、各種の種及び果実、工業用又は医薬用の植物並びにわら及び飼料用植物   12
第15類 油脂・植物脂等   26
第16類 肉、魚又は甲殻類、軟体動物若しくはその他の水棲無脊椎動物の調製品(肉類)   42
第16類 肉、魚又は甲殻類、軟体動物若しくはその他の水棲無脊椎動物の調製品(魚類)   5
第17類 糖類及び砂糖菓子   40
第18類 ココア及びその調製品   22
第19類 穀物、穀粉、でん粉又はミルクの調製品及びベーカリー製品   133
第20類 野菜、果実、ナットその他植物の部分の調製品   30
第21類 各種の調製食料品   64   (注:乳製品、砂糖関係が大半です。)
第22類 飲料、アルコール及び食酢   3
第23類 食品工業において生ずる残留物及びくず並びに調製飼料   2
第24類 たばこ及び製造たばこ代用品   4
第29類 有機化学品   3
第35類 たんぱく系物質、変性でん粉、膠着剤及び酵素   6
第41類 原皮(毛皮を除く。)及び革   32
第42類 革製品及び動物用装着具並びに旅行用具、ハンドバッグその他これらに類する容器並びに腸の製品   3
第43類 毛皮及び人造毛皮並びにこれらの製品   20
第44類 木材及びその製品並びに木炭   34
第50類 絹及び絹織物   12
第64類 履物及びゲートルその他これに類する物品並びにこれらの部分品   40