行政改革という観点から一番手が付けにくくて、難しいなあと最近よく思うのが「公益法人が国から権限付与をしてもらっており、その権限を使って業界囲い込み的なことをやっている場合」であって、更に難易度が高いのが「権限付与すら受けていない公益法人が、業界の自主規制的なかたちで囲い込みをやっている場合」です。


 先日、予算委員会第二分科会で質問したのが前者のケースでした。詳細は省きますが、ある廃棄物処理を(都道府県を跨ぐ)広域でやれる権限を環境省がある公益法人に与えたら、その公益法人はその広域でやれる業者の数を「1県1業者」と決めてしまったのです。環境省の与えた広域処理の権限は「誰でも要件を具備した者であれば処理できる」としていたはずなのに、公益法人側は「1県1業者」として、特定の業者だけが取り扱えるようにしてしまったわけですね。非常に分かりやすい「権限と権益」の関係です。ただ、これですら着手しようとするとなかなかのハードルがあります。


 ましてや、後者のケースとして述べたような、公益法人や業界団体(だけに限りませんが)が業界自主規制的にやっているものが事実上の業界スタンダードになり、それが結果として強烈な囲い込みと排除効果を持っているケースは厄介です。問題点があって、国から何か言おうとしても「あなたに言われる筋合いはありません」と言われたら終わりです。


 ただ、実際に世の中を見ていると、この類の業界自主規制的な囲い込みは結構多いのです。例えば、生コンクリートのマル適マークというのがあるのですが、これは業界の自主的な取り組みであるにも関わらず、業界団体に加入してこれを取得しないと事実上公共工事に入れないみたいなことが起こっています。そこまで重要な資格であるのなら、そもそも生コンのJIS規格で取り込めばいいわけでして、現在のようにJIS規格とマル適マークが二重規制になる必要はないのです。


 結論はとても簡単でして、「要らないものは要らない。要るのであれば国の資格として取り込む。」、これだけなのです。ただ、この手の業界の自主規制ものはですね、本当にとっかかりがないのです。強引なことをやると裁判で負けてしまいます。しかも、すでに確立した業界秩序に手を付けようとすると、既得権益を持つ方からの反発があります。それは国の天下りでも、民間の業界秩序でも何ら変わるところはありません。


 ただですね、私が色々な地元の中小企業の方と聞いていて感じるのは、この手の業界囲い込み的なものに巻きこまれざるを得ないがために余計な経費が掛かっていることがままあるということです。国や行政が直接関与していないところでのそういう負担が結構あるものなんだなということを最近、特に感じます。


 行政改革については、先日書いたような検査検定、資格認定ものは比較的分かりやすいケースですが、足をもう一歩二歩と進めていくと、次は上記のような「権限を使った業界囲い込み」、「業界自主規制を通じた囲い込み」みたいなものが出てくるのです。しかも、足を進めれば進めるほど、取り組むための法的ツールが少なくなっていきます。


 武器は減っていくのに、相手は強くなっていくという、ロールプレイングゲームとしてはあるまじき構成になってきています。武器が減った分は知恵を出さなきゃいかんということです。