来年度の予算編成方針というか、概算要求組替え基準 が閣議決定され、党内でも説明する会議がありました。これは何かというと一言では言えないのですが、とてもとてもザックリ言うと「義務的でない経費については各省1割削減で、その1割分は特別枠の要求ベースにする。1割以上切り込んだ省庁は、その1割以上切り込んだ部分についてはその額の3倍分を特別枠の要求ベースにする。そうやって算出された要求ベースの中から政策コンテストをやって、1兆円を相当に超える金額分だけの事業を選び出し、お金を付ける。」ということです。これでも分かりにくいですけどね。


 もし、省庁の垣根を取り払って、1兆円を相当に超える金額の特別枠が総理のイニシァティブで割り振られるのであれば、それは結構画期的なことです。


 この基準は今後の予算編成の指針となるので、更に精査していく必要があるのですが、その中でこの方針とは直接関係しないものの、とても気になることがありました。今回の予算編成に関する種々の資料の中では、一般会計予算総額の議論が全く出てこないのです。ありとあらゆるペーパーや議論においては、国債費、国債収入の部分を捨象して、「プライマリーバランス」ベースでのデータしか出てこないのです。上記でリンクを張った資料を見ていただければ分かりますが、今回の基準では国債費の部分を落とした「基礎的財政収支対象経費」としての71兆円からすべての議論をスタートさせているのです。


 これだと、今年の一般会計予算総額92.3兆円で議論していたものが、突然71兆円にまで縮小してしまうので、(本質的には何も変わっていないのに)数字が小さくなっただけで何となく財政危機に対する感覚が麻痺してしまいます。しかし、この71兆円にどれくらい国債費が乗ってくるのかも分からないし、この71兆円のうち、どの程度が国債収入で賄われているかも分からないのに、いつのまにか基礎的財政収支対象経費71兆円だけを見せられて、国債の部分をスパッと切り落としたまま見えないようにされても、私には不安が募るだけです。私はまだ、来年度の一般会計予算総額の数字について、一切の情報を有していません。


 「多分、一般会計予算総額がとてつもなく大きな数字になって、対外的に出しにくいから、こういうテクでやっているんだろう。」と、与党議員なのに邪推をしてしまいます。しかし、それが事実なら、ただのまやかしに過ぎないわけです。そんな思いもあり、党内の説明会で「んで、一般会計予算の総額はどれくらいを見込んでいるのか」と質問してみました。時間がなかったのか、それとも、答えられなかったのかは分かりませんが、財務省から全く返事は返ってきませんでした。


 それ以来、背中がゾクッとする恐怖感を感じています。