今、「ZERO」という番組を見ていたのですが、胡錦濤来日及びチベット問題に関して、村尾さんが「おっ!」と思うような面白いことを言っていました。普段はこのブログで2日に1回のエントリーというペースは崩さないようにしているのですが、これは今日エントリーしておかないと意味がないので、ちょっと敷衍してみます。


 村尾さんが言っていたのは「日本としてイニシァティブを取るためには、例えばダライラマと中国政府の対話の場を日本で提供するとか、そういうことをやらないと影響力を及ぼせませんよ。」みたいなことでした(ちょっと違うかもしれませんが)。


 ちょっと荒唐無稽な案ではあります。そんなことを持ちかけても、胡錦濤は絶対に受けません。丁重に「内政事項ですから、うちの国内で解決します」と言われるだけでしょう。それでいいのです。ただ、日本はそういうやりとりを上手く使うことができるような気がします。


 福田首相が会見後の記者会見で「自分は、ダライラマと中国の対話の場を提供する用意があると提案したが、胡錦濤主席からは『内政事項だから対話は中国国内でやる』との回答があった。」と開陳してみるとしましょう。これだけでいいのです。そういうやりとりがあったことを全世界に知らしめるだけで、今後とも中国に対するやんわりとした、しかしズシッと重い圧力になるのですね。


 そういうやりとりが公開されると、中国は今後とも継続的にダライラマとの対話をするよう圧力を感じるでしょう。今の状況を見ていると、中国はオリンピック後、あるいは上海万博後はダライラマとの対話の必要性を全く感じなくなり、一方的に打ち切っていくような気がします。しかし、首脳会談の場で、日本からのオファーを断り「うちでやりますから」と言った事実があると、若干なりとも対話打ち切りへの抵抗感を感じるようになるでしょう。


 更には、日本外交にとってもカードになりえます。中国がダライラマとの対話を打ち切ろうとする度に、何処からともなく日本がスススッと出てきては「お困りですか?何ならうちの国で対話継続されては?」と慇懃無礼に持ちかけることができるようになります。当然、毎回このオファーは断られるでしょうが、表向きは善意の話であり、中国のメンツを立てながらやれるので、これは中期的に対中国で継続的に使えるカードになるんじゃないかと思ったりします。


 これは台湾の話と違って、別に日本外交に過度のコストがかかることでもないですしね。村尾さんの(きっと思いつきの)コメントを聞きながら、「これくらいのふっかけをやってくれないかな」と期待したりします・・・・・、無理ですかね、やっぱり。