ODA増額
テーマ:政治OECDによると、日本は去年に比べるとODA予算が30.1%減(76.9億ドル)で、一昨年の3位から5位に順位を下げたということだそうです。イラクやナイジェリア対象の大規模な債務免除がなくなったことが下落の主な要因だとか。
まあ、大規模債務免除が原因なのであれば、とどのところ、途上国でのプロジェクトという真水部分では大して減っていないのでしょう。つまりはかつてナイジェリアやイラクに貸したお金が焦げ付いたことについて、これまでは債権として持っていたものをチャラにした部分(ここがODA予算となる)が昨年はなかったのでODA予算が減ったということですね。これから対中円借款がなくなり、中国からはこれまで貸した借款の返済分があるので更にガクンとODA予算は減少が見込まれます。
財務省的発想であれば、中国以外の国でのODAは別に大した影響を受けてないのだから減ってもいいじゃないかということになるでしょう。外務省的には全体の予算額を維持していきたいということでしょう(その結果として、中国以外の国に対するODA額は結構劇的に増えます。)。
「このご時世、ODAなんかに予算を投じることなく内政に予算を向けてほしい」という声もあるでしょう。そこは色々思いがあるのですが、今日はちょっと違うことを書きます。
日本は5位と自虐的に言うのですが、いつも外国にいる時思っていたのは「日本のODAに対する評価は高い」ということです。これは手前味噌だから言うのではなく、ひいき目に見なくてもかなりの高評価です。その理由は「(決まるまでが遅いけど)約束したら必ずやる」ということ、「あれこれ条件が厳しくない」ということなのです。特に批判が強かったのは欧州諸国によるものですね。彼らは約束する時はかなり気前がいいのですが、実施してくれるかどうかは分からないのです。アフリカで「フランスはやったことの半分くらいしかやってくれない上に、あれこれと条件がうるさい。イタリアに至っては、約束しても全然やってくれないし、やってくれる時は大体不正が絡んでいる」と言っているのを聞かされることがありました。
では、ここでいう「条件」というと何かと言うと、自国の文化押しつけ的なものが多いですね。日本はそういうのに対して歴史的経緯もあり非常に控えめですが、フランスなんてのは相当露骨です。援助は自分の勢力圏維持のためにやっていると言っても過言ではありません。フランスの教育援助予算がイノセントなんてことは絶対にありません。他の欧州諸国も、フランスほどではありませんが、キリスト教的世界の押しつけっぽいものをよく感じました。日本人の援助スタイルを見ていると、相手の意見を尊重し、それをできるだけプロジェクトに反映させようとし、「謙虚だな」と常に感じます。
あと、これはよく分からなかったのですが、時折、途上国における欧州の援助批判として「あいつらは業者まで押しつけてくる。全然こちらの自由はない。」みたいなことがありました。かたやOECDなどの議論では、日本の援助がひも付きであることへの批判大合唱です。日本の援助はひも付きなのですが、実際の工事は下請けに出しているケースが多いのですね(それはそれで援助額と下請けが受ける工事額との間で、日本企業に抜かれる部分が多くなるので問題なのですが)。欧州の援助がどうなっているのかは分からないのですが、アンタイド(ひもなし)と言いつつも実際はそうなってないようなからくりがあるんじゃないかと思っています。そもそも、日本の援助で儲けている欧州企業は知っていますが、多聞にして、欧州の援助で儲けている日本企業を見たことがありません。
あと、日本が弱いなと思うのは、ODAと非ODAの枠を超えた、相手国との幅広い付き合いの拡大です。そのあたりは中国が得意です。彼らにとってはODAであるかどうか(技術的に言えば「グラント・エレメント」が25%を超えるかどうか。つまり援助と呼べるくらい有利な条件でおカネを出しているかどうか。)なんてことはどうでもよくて、ありとあらゆる条件提示によって、場合によっては軍事援助までをも絡めて進出していきます。大使館が中国の国営ゼネコンとしっかり繋がって、ガンガン攻め込んでいる姿をアフリカで何度か見たことがあります。彼らに「ODAはどれくらい出しているのか?」と聞いたら、不思議そうな顔をして「よく分からない」と言われました。援助の発想方法が根本的に違うのですね。日本は、さすがに軍事援助はできませんが、ODAと非ODAの違いとか、官民の仕分けとか、まあ色々な障壁が多くて総合的に途上国に進出できてないです。
最後に日本が弱いなと思うのは「人材」ですね。欧州諸国は、援助についてあれこれと口うるさく外国に介入するだけの人材がいるんです。日本はそういうところが弱いです。JICA専門家は役に立たない人がかなりいますし、そもそも言葉が出来ない人が援助業界に多すぎます。今の状態では援助をどんなに増やしても、それを有効に使う人材がいないので、結局垂れ流しのバラマキになるだけでしょう。これは一朝一夕にどうなるものでもないのですが、単に「予算増やせ」だけではダメだと私は思いますね。オランダとかスカンディナヴィア諸国なんてのは、ともかくうるさい人道屋をたくさん養っています(私はそういう人達が嫌いですが)。日本にもドナー会議とか、援助の世界で欧州に「うざい」と思われるくらいの人材を育成していくべきでしょう。








1 ■無題
確かに日本のODAは、現地で高い評価を得ていることが多いと聞きますね。マスコミはなぜか日本が評価されていることは報道しませんが。
特に教育関係と井戸掘りに関しては、かかるコストと比べて得られる評価が非常に高いとの話も聞きますし、インドの地下鉄などでも地下鉄そのものだけでなく、その仕事に関わる日本人の姿勢が現地の方々に非常に感銘を与えたと聞きます。ODAではありませんが、(民主党は評価しない)イラクに派遣された自衛隊の方々も他国と比して現地の方々から隔絶の高い評価を得ており、「帰らないでほしい」と言うデモが行われたのは日本だけで他国の軍隊が「何故日本だけ高く評価されるのか?」と聞きに来たと言う裏話(裏は取れていないのでデマかもしれませんが)も有るくらいです。
そもそも、第二次大戦におけるアジアの国々から日本の評価が分かれる中で、事教育に関しては例外の某国を除くと異口同音に高い評価を得ているそうですので、現地でのローカライズをこなしつつ行う教育が得意なのは、日本人の特徴と言ってもよいかもしれませんね。
こちらは蛇足(と言うか嫌味)。
日銀の独立性を高々と歌い上げた上での政金分離の崩壊を果たして、おめでとうございます。
そもそも、日銀の独立性を担保するために政府による日銀総裁解任権剥奪等、政金分離の「手段」の一つであった財金分離を守るために、「目的」を完全に達成不可能にし、世界中に喧伝していただいた手腕には、つくづく「感心」しました。
出身省庁に対する間接的な忠誠心と、任命権者に対する直接的な忠誠心、どちらが影響力が高い(と他国から見られる)かは論ずるまでも無いかと思いますが。
特定道路財源でもそうですが、総論としては矛盾する方針でも、総論は目立たないように個々の各論だけ声高に主張するのは、如何な物でしょう?
改めて民主党が政権を握ることの恐ろしさを痛感できました。