最低賃金、この福岡県では652円/時です。今度、全国平均で14円/時上がるので665円/時くらいだろうと思います。現在の水準ですと1日8時間働いて5216円/日、1ヶ月20日働くとすると104320円になります。私の愚母はこの給与水準で派遣社員をやっています。「精一杯頑張っても10万くらいにしかならんけね。」、そう言いながら屈託なく笑う62歳の母の顔を見ながら深く考えます。


 この最低賃金、どれくらいが適正水準なんだろうかといつも考えます。そもそも何が「適正」なのかが私にはよく分かりません。「労」「使」と立場が異なれば自ずと「適正」の考え方は違うでしょう。


 私は「生活保護」と比較してみるのはいいんじゃないかと思います。病気等の理由で生活保護を貰っている方と普通に週5~6日働いている方を比較するのは不謹慎だと言われるかもしれませんが、普通の感情としては、後者の方が手取りが少ないことに違和感を持つのではないでしょうか。


 生活保護というのは、厚労相が決める基準で計算される「最低生活費」から収入を差し引いた差額のことです。つまり収入が最低生活費を下回れば、一生懸命働いても生活保護の受給者になることだってあるわけです。素直に考えればおかしな話です。働いている人はプライドを持って働いているでしょう。なのに「生活保護」の対象になる(かもしれない)というのは社会のあり方として普通ではありません。


 とある資料を見ていると、東京都区部では標準3人世帯(33歳、29歳、4歳)で167,170円、高齢者夫婦世帯(68歳、65歳)で121,940円が生活扶助基準の例だそうです。これを多いととるか、少ないととるかは人それぞれでしょうが、私の直感的には「今の最低賃金やと、働いてそれだけ貰うちゃあ、そりゃ楽やなかね。(方言でスイマセン)」と思います。このケースで最低賃金が700円だと仮定しましょう。夫婦二人で1ヶ月に240時間の労働を提供して167,170円に近くなります。お父さんが1日8時間、30日間フルに働いて丁度240時間ですね。多分、お母さんがパートに出て、何とかその水準に到達しつつ週末も休めるかなという感じです。


 ということで、雑な考察ではありますが最低賃金は生活保護との関係で見直した方がいいと思っています。「そもそも生活保護の水準が高いのでそちらを見直せばいい」という意見もあるでしょう。私自身は、そういった意見も含め、年金、生活保護、最低賃金はすべての水準を包括的に見ていく必要があると考えています(厚生労働省はガンとして拒否している考え方ですけど)。