望遠鏡を設置して北極星がかろうじて見えてきた頃、両親と小学生の息子さん一家が現れます。
このこと自体はキャンプ場で珍しいことではありません。
いつものように、そのとき見える面白い天体を導入して観望してもらいます。

奥は30cmドブソニアンで白鳥座の美しい2重星アルビレオを解説付き(アルビレックスとか宮沢賢治とか)で見せていました。
ちなみに奥は、この前の三鷹小学校の観望会で星空案内人合格したので、星のソムリエの解説第一号のお客様です^^。
望遠鏡の覗き方は慣れない人には難しく、よく見えない場合もあるのでじっくり何度も見られたのはよかったと思います。最初は2重星なのかもよくわからなかったようでしたが、最後には2つの星の色の違いもなんとなく判別できていたようです。

今回撮ったものではないですが、参考でアルビレオ:全体


部分等倍


私のほうでは、こと座のリング星雲M57を導入して眼視してもらいます。通常の星空ではこの星雲は淡くて眼視しづらいのですが、ここは胎内、充分暗闇に目を慣らしておけば白っぽいリングがよくわかります。星が爆発した名残という簡単な解説のみ、お母さんはよくわからなかったようでしたが、息子さんは見えたと言ってました。

こちらも今回撮影したものではありませんが、参考でリング星雲:全体

部分等倍



別れ際に「今日はずっとこちらに居ますか?」と聞かれたので、「テント泊で、天気が良ければ朝まで見てます」と答えました。何故そんなことを聞くのか少し違和感を感じましたが、理由はあとでわかりました。

21時あたりから天気はよくなってきて晴れ間の部分が多くなって北極星での極軸合わせができるようになりました。
すると、4~5m先の芝生上にシートを広げる家族があります。あぁ、きっと星が出てきたからディープスカイエリアに引っ越してきたんだな、くらいに捉えていました。
しばらくしてから見ると、息子さんがなにやら小型の機材を扱っているじゃありませんか\(゜□゜)/
暗くて顔はわかりませんでしたが、こちらと顔が合ったときに「どもっ」と挨拶されました。
さっきの一家が望遠鏡を携えて戻ってきたというわけですね^^。

少年のところへ寄ってみると口径15cmくらいのセレストロン自動導入機のアラインメントをやっていました(ノ゚ο゚)ノ(スゴーイ)
セレストロン自動導入機を買ってあげるご両親もさすがですが、頑張って使いこなそうとしている少年も立派なもんです。私の小学生時代には考えられないことですので時代を感じます。
見て面白い対象を聞かれたのでアンドロメダ大星雲M31をお勧めしましたが、自動導入したさきにアンドロメダはありません(泣)。
どうやらアラインメントがうまくいっていないようでした。

聞けば都内在住のご一家だそうで、普段は2等星くらいまで見えればよい空に望遠鏡を向けているのだそうです。うちも東京方面にしか望遠鏡を向けられない環境なので苦労はわかります^^;
私も最初によく経験したのですが、胎内のようなたくさんの星が見えるところではアラインメントに苦労します。肉眼でベガやアルタイルが見えていてそこに望遠鏡の中心を合わせたいのですが、望遠鏡を覗くと8等級~9等級くらいまで視界いっぱいに星が散りばめられて、どれがベガなのかわかりません。この辺は何度も練習してコツをつかむしかないのだと思います。
ジレンマですが、1~2等星しか見えない都内でアラインメントをするのは、胎内よりかえって楽なのだと思います。

何度か請われて導入を試みたのですが、私の修行が足らないせいでM31をセレストロンで見せてあげることはできませんでした。(R200SSの5cmファインダーでは見せてあげましたが^^)
三脚が低かったのと最初から天頂ミラーを使っていたのも導入を難しくさせた原因かも知れません。
・三脚が低いと望遠鏡の真後ろから星と軸を合わせるのが難しくなります。
・天頂ミラーを使っていると像が180度ひっくり返しの鏡像になるので星図と合わせるのが難しくなります。
少年には、これであきらめるのではなく、自分の機材に徹底的に慣れて、機材が物足りなく感じてきたら上位の機種に移って欲しいと思います。


0時を回った頃、稲光雷鳴が会場を襲います。GPV天気予報でも1時くらいは雨の予報が出ていましたので、急いで望遠鏡を分解片付けです。
望遠鏡2台を車に格納終わって、飲み水を買って戻ってくるとポツポツを降ってきました。
その後は激しい雷雨、テントの中は蒸して不快でした。
真っ暗な中、ときどき稲光で会場全体が紫色のフラッシュで見える様は幻想的ではありましたが。
明け方は相当冷えてTシャツ一枚では震える寒さ、シュラフに潜り込んで耐えました。

大きな寒暖の差、一瞬で日焼けする日中の紫外線、雷雨や明け方の震えるような寒さ、自然はこうも過酷であるのを体感した胎内星まつりでした。

帰りは7号沿いのガソリンスタンドで満タン給油、店員さんが、昨夜は星が見えたのか雷雨がすごかったが大丈夫だったか聞いてきます。所沢ナンバーだし、機材を積んでいるのでわかったのでしょう。「来年もまた来てくださいね」と言われたのでした^^。

今日の一枚。バーナード星(高速移動星)

バーティノフマスクでピントは正確に合わせたのに、望遠鏡のアダプタが緩んでいてピント合わせが失敗してました。ジャック彗星のときには気が付いて締め直したのですが、バーナード星の撮りなおしまでしませんでした。

半年後くらいにもう一度バーナード星を撮影して移動の様子を捉えようと思います。