【結果】ディアナ10・9大阪 | 女子プロレス専門誌『RINGSTARS』

【結果】ディアナ10・9大阪

伊藤薫デビュー23周年記念大会
『~kyoko&kaoru 24th,23th anniversary battle in osaka~』
◆10月9日(日)大阪・ムーブオンアリーナ(18:00)
観衆112人


▼20分1本勝負
 花月(13分43秒/バックフリップ→片エビ固め)Sareee


 ロックアップから花月のドロップキックをすかしたSareeeは、ドロップキックを決めると右手を上げてアピール。しかしアキレス腱固めに持ち込んだ花月はレッグロック、キャメルクラッチと攻め込んでいく。ようやく脱出したSareeeはドロップキックの連打で反撃するも、花月は力のこもったヘッドロックで絞め上げる。両者によるドロップキックの応酬から丸め込みでフォールを迫るSareeeだが、花月は2発目のブレーンバスターからSareeeを担ぎ上げるとエアプレーンスピンから後ろに叩きつけた。


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 マイクを持った花月は、「いまSareeeと闘ったんですけども、まだまだ自分は自信持って闘っていけるなって思ってました。今日から2週間後に仙女初の大阪大会があります。初めての地元凱旋でかなり気合い入ってますのでどうか応援しに、仙女がどんな団体なのか? 今のある女子プロレス団体とひと味違うのでぜひ見にきて頂きたいと思います」。


★花月のコメント

 「初めて対戦したんですけど、下の子とあんまり試合する機会がないので、自分のほうが逆にとまどってしまったっていうところがあって…内容的には自分は納得はしてないです。(Sareeeについて)体もちっちゃいですし、まだまだっていう感じですかね。頑張ってるのはわかるんですけどそこで終わってしまうのはダメだと思うんで、もっともっと当たりも強くガッチリしてほしいなっていうのがありますね」。


▼20分1本勝負
 ○アニー・ソーシャル&DASH・チサコ(17分12秒/オクラホマロール)●坂井澄江&ジェニー・ローズ


 6年ぶりに来日した坂井澄江はジェニーとタッグを結成。タッチを受けた坂井はコーナーからのスレッジハンマー、アニーをヘッドロックに捕らえるとチンロック、逆エビ固めで攻め込んでいく。チサコがドロップキック、キャメルクラッチでジェニーを攻め込むと、再びタッチを受けた坂井はミサイルキックを発射。チサコもスタナーで形勢を入れ替えると、フットスタンプ、ブレーンバスターとつないでいく。代わったアニーに対し坂井が逆さ押さえ込みから変形スープレックス。しかしムーンサルトプレスをかわされてしまうと、アニーが丸め込んでフォールを奪った。勝ち誇るチサコ&アニーに、坂井は笑顔で中指を立てた。


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▼30分1本勝負
 青野敬子(14分11秒/ハイキック→体固め)水波綾


 ローキックからDDTを放った青野は逆エビ固め。水波はギロチンドロップを見せるが、青野は腕十字からコーナーでの顔面ウォッシュでペースを離さない。スピアーで逆転した水波は肩固めからローリング・クレイドルのように回転させるイチジクに移行。再びスピアーから裏投げで叩きつけると、ダイビング・ギロチンを決めるが3カウントを奪えない。青野はキックの連打からファルコンアロー、シャイニング式の延髄斬りと立て続けに蹴りまくると、下からかち上げるようなハイキックで勝利を決めた。


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▽ブル中野のあいさつ


女子プロレス専門誌『RINGSTARS』  前日の記者会見で来場を予告していたブル中野が、休憩時間にリングイン。


 「大阪の皆さん、お久しぶりです!(ガッツポーズを作って)ブル中野です! 大阪に帰ってきたのは14年ぶりですかね。皆さんも知ってると思いますが、来年の1月8日にTDCホールにおいて最後の、引退セレモニーを行なうことになりました。14年も経ってしまって、何の音沙汰もなく急にリングを下りてしまったんで、ファンの方にはホントに申し訳ない。ちょっと忘れられてしまったかなって感じもあるんですが…今年の3月からずっと女子プロレスの試合を見させてもらって、私の引退興行のときに試合をしてもらう選手を1人1人決めて回っています。ディアナの旗揚げのときも見ました。私の体なんですが、1月8日までに100キロに体重を戻すということを宣言しまして、試合はしないんですが、入場シーンだけでも現役時代のブル中野に戻れるように、いま必死でトレーニングをしております。1月8日、お時間とお金のある方は(笑)、ぜひTDCホールのほうにきてください。よろしくお願いします(会場から拍手)。
 毎月8日に記者会見をやっています。出場してくれる選手を少しずつ発表していってるんですが、昨日の時点で新崎人生選手が参戦してくれることがハッキリ決まりました。男子も1試合ありますので、ぜひ楽しみにしてください。それでホントに残念なお知らせなんですが“出てほしくない選手”としまして伊藤薫選手の名前を挙げました。これはすごくいろんな思いがあって口にしていることなので、真剣に聞いて頂きたいんですけども、昨日伊藤選手は23周年だったんですよね。私は15年しかプロレスをやっていませんので、私よりもぜんぜん先輩ですね。だけども、伊藤選手が20周年のときに私は久しぶりにリングに上がって、伊藤選手に激励の花束を渡したんですけども、やっぱり全女時代の伊藤薫ではないなというのをいつも感じていました。ディアナの旗揚げのときに“死ぬ気でやります”って言った伊藤薫は、私は良くなかったと思ってます。たぶん本人も“このままでいいのかな?”っていう気持ちでやっているんではないかなというのを感じながら、私はずっと伊藤の試合を見てました。どうしても、中途半端な気持ちでリングに上がってほしくないんです。自分の試合をいつも毎回納得して、お客さんに手ごたえを感じて“やりきったな”って試合をいつもやってもらいたいと思ってます。その試合を今できてるかなと問いかけたら、やっていないと答えるんじゃないかなと思います。そういう思いの中で試合をしてもらうのは、ホントに残念だと思います。
女子プロレス専門誌『RINGSTARS』 昨日、私のリングに上がるならば20キロの減量をしてこいと言いました。急だったんで本人も悩んだと思います。それに23年やってきてダメ出しされるなんてホントに…たぶん本人はつらかったと思うんですけども、私にしか言えないと思うんですね。23年もやってきたレスラーに“試合よくなかったよ”とか、“お客さん沸いてなかったよ”、“コーナー上るの遅いじゃん”って言えないと思うんですよ。私ももう少し穏やかに、ブル中野の引退式なんでみんなが楽しく私のリングに上がってくれて、盛大に終わらせたいとは思っているんですけど…わざわざ憎まれ口をきいて後輩に嫌われるようなこと言う必要はないんですけども、どうしてもこれは伊藤薫だからですね、元・全女の仲間として。全女の伊藤だったらたぶん20キロなんてぜんぜん簡単に減量できると思うんですよ。それに減量することが目標じゃないんですね。伊藤の中で何かが変わってくれればいいなと思ってます。今日そのために朝8時に東京を出まして車を運転して、伊藤薫のためにここにきました。大阪の皆様には久しぶりに会うのでちゃんとしたカッコイイ私服を用意していたんですけども忘れてしまって…(アントニオ猪木のTシャツに)これもすごくいい私服なんですけど、猪木さん大好きなんで(笑)。忘れてしまってホントにすいません。今日は伊藤薫の試合を見るためだけにきました。今日のラストの試合、すごく厳しい目で(リングサイドを指して)どこかそのへんで見させてもらいたいと思います。ホントすいません、厳しいこと言ってしまって。せっかくの23周年なのに水を差してしまったんですけども、絶対これを機会に伊藤薫は変わってくれると私は信じてます」。


▼60分1本勝負
 ○伊藤薫&渡辺智子(17分16秒/ダイビング・フットスタンプ→体固め)●井上京子&ジャガー横田


 試合前にはゆかりのある関係者から伊藤に花束の贈呈。先発の京子と渡辺はロックアップから渡辺が払い腰を連発。タッチを受けたジャガーが渡辺の足を攻めるも、渡辺はセカンドロープに飛びついてのボディーアタック、さらに同じくロープに飛びついてのエルボードロップを決めると伊藤にタッチ。伊藤はジャガーに対角線を走りこむ人間魚雷ラリアットを叩き込むが、ジャガーはスリーパーで逆転。京子とのエルボーの応酬から伊藤が助走つきのフットスタンプ、さらにセントーンへ。京子が渡辺にダンシングツリーからキャメルクラッチに捕らえると、ジャガーが低空ドロップキックでアシストする。伊藤&渡辺のクローズラインを受けたジャガーだが、2人をまとめて投げ飛ばすと、リング中央で伊藤に卍固め。伊藤も投げっぱなしジャーマンからラリアットを叩き込む。渡辺とのラリアットの応酬を制した京子は、伊藤と渡辺に2人まとめてのラリアット。すかさず渡辺に豪快なパワーボムを決めるが、2発目のパワーボムは渡辺がウラカンラナで切り返す。場外に落とされた京子とジャガーを伊藤と渡辺が追いかけての場外戦から、伊藤がスライディングキックで京子とジャガーを吹き飛ばす。リングに戻ると京子と伊藤がラリアットとエルボーを応酬。コーナーに上った伊藤を京子が捕らえて雪崩式ブレーンバスター。京子がナイアガラドライバーをアピールすると渡辺がカットに入り4人が入り乱れる。渡辺のジャーマンからダイビング・フットスタンプを突き刺した伊藤がフォールに入るがジャガーがカットに。しかし2発目を決められると京子も返すことはできなかった。


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★試合後のマイク


女子プロレス専門誌『RINGSTARS』  ジャガー「このディアナも私の教え子たちが頑張って立ち上げて現在にいたるところなんですが、今日は伊藤薫23周年ということでフリーの私が立たせて頂きました。ホントにありがとうございます。隣りにいる渡辺智子も伊藤と同期の平成元年に私の教え子として入ってきまして23年…私も50歳の大台になってしまいました。彼女たちも10代の可愛い少女で入ってきたんですけど、23年もこんなに頑張ってやってくれると思わなかったのでホントに嬉しく思います。ホントおとなしくて、伊藤なんかひとことも口きかないぐらいおとなしかったんですよ。それがこんなに大きく成長して…“大きく”って体もなんですけどね。ちょっと痩せなきゃいけませんね、これはね(苦笑)。今日という日を迎えられたことを自分のことのように嬉しく思います。伊藤薫、ディアナ、今後ともよろしくお願いします」。


 京子「いとちゃん! 長いプロレスラー…ホントにお疲れさまです! そして今ディアナはかなり良くない状態にありますが、こうして集まってくださるファンの方がいらっしゃる限り、あきらめず世界一強い団体にしたいと頑張っていきたいと思います。それには伊藤薫の力がまだまだ必要です。これからも一緒に頑張ってください。よろしくお願いします! そして、おめでとう!!」。


女子プロレス専門誌『RINGSTARS』  伊藤「本日は伊藤薫23周年記念興行にご来場頂きありがとうございます。ジャガーさん、ホントに今日はハードスケジュールの中(=岡山とダブルヘッダー)きて頂いてありがとうございました。京子さん、ディアナを4月に旗揚げしてから本当につらいこととか、大変なことがたくさんあって選手の中もバラバラになったり、何回も涙を流したことがありました。でも、こうやって上がってくれる先輩もたくさんいるし、自分のことを心から考えてくださってる方もいるので、これからもよろしくお願いします! なべちゃん、ホントに久々の渡辺智子と思えないぐらい頑張ってもらってありがとうございます。23年やってきて京子さんに“(カードは)何やりたい?”って言われたときに1番先に『いとなべ』が最後にもう1回やりたいと思って、急なオファーをしてもらいました。もう今度はないかもしれないと思うと寂しいですけど、ホントにありがとうございました。そして休憩時間にリングに上がってくれた中野さん、ファンの方もご存知だと思いますが、本当にこれを機に伊藤薫一世一代の頑張りをもう1度見せて、20キロの減量に挑むことになりました。自分で20周年のビデオを見て、昔を振り返って“このときが1番動けたな”と思ってるようじゃ、京子さんと一緒にこのディアナを守っていくことができないとホントに思いました。中野さん! ホントにありがとうございました。
 (リングに入ったブルと向き合って)ずっと、なかなか自分自身に踏ん切りがつかなくて、このままずるずる23年続けてしまって、ホントに厳しい言葉をかけてくれる先輩も23年経つといなくなってしまったんですけど、最後に背中を強く押して頂いて…1月8日に胸を張って“ありがとうございます”と言えるように頑張ります。ファンの皆さんも、次に大阪でやるのはいつかわからないですが、また新しい自分になって帰ってきたいと思います。そのときはぜひこの会場をいっぱいにして応援してください!」。


 ブル「ホントに23周年の、こんなお祝いの席ですみませんでした。ただ、必ず伊藤はやってくれると思うし、ホンットに申し訳ないんですけども、今日の試合でナベと京子の絡みが1番おもしろかったですよ。もったいない…もったいない! せっかくやってくれてるのに。ラリアットやってるヤツがなんで先に受け身取っちゃってんの!? …悔しい!! 言わせんなよ、こんなこと。1月8日にまで伊藤薫が変わることをホントに願ってます。そして期待してます。ホントに皆さんが見ててくれることを。そしてディアナ、京子を支えるには今の自分ではダメだと本人が言っていますので…たぶんホントに気持ちだと思います。ホントにずっと見ていきたいと思います」。


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★ブル&伊藤のコメント

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 ブル「新幹線でこようと思ったんですけど、車できちゃいました。でもその間、ずっと伊藤薫のこと考えてたんで、いろんなことが振り返られて。いろんな理由があるんだろうなってことも考えながら道中きたんで、あっという間でしたけど」。


 ━━今日の試合について。
 伊藤「ここまでやってくると体もガタガタきちゃうんで…前回の試合で足首とかやっちゃったんですけど、でも中野さんの言うように体重を落とせばそれなりにダメなところも改善されてくるような気がして。試合やってる途中に言われてることがどんどんわかってくるっていうか。旗揚げしてからディアナもいろんなことがあって、中野さんにそういう言葉を言ってもらってきっかけというか、また1歩を踏み出せるスタート地点に立ったのかな。23年やってもプロレスってゴールはなくて、ホントに奥が深くて“ここで終わり”とかない。いつまでも自分が上になっても追い続ける気持ちっていうか、そういうのがないといけないんだなってことが改めて」。


 ━━ディアナの大会を見るのは旗揚げ戦以来だが、大会全体の印象は?
 ブル「そうですね。オリジナルのメンバーは2人ぐらいいなかったのかな。今日は伊藤のことだけを見にきたんですけど、旗揚げと比べて…井上京子がパワーアップしてるなっていうのは感じましたけど(笑)」。


 ━━特に印象に残った選手は?
 ブル「今日の大会で目を引いたのは水波選手ぐらいですね。」。


 ━━ギロチンドロップに対して?
 ブル「ギロチンに対してじゃないですけども(笑)。もう入場するときからぜんぜん違うなっていうのは感じますね、やっぱり。考えがしっかりしてるんだろうなって。試合もすごかったし鍛えてるし」。


 ━━引退興行には若い選手も?
 ブル「やっぱりメイン、セミ、セミ前とかの上の試合っていうのは新しい選手…私が期待してる選手にしたい」。


 ━━本音では伊藤に出てもらいたい?
 ブル「もちろんですよね。ただ、20キロ減量がダメだった場合はホントに出さないという気持ちはあります。たぶん本人もそれはわかってると思うので絶対出さないです。今日の試合を見てても、やっぱまずスタミナ不足っていうのが、まず。足がもつれてしまうっていうのがスタミナ不足だと思うんです。体重が重いから足首が支えられない。そういうのが全部出ちゃってるから。カットにいくときも、足がつっかかって転ぶような感じのときもあったので。もうちょっと鍛えなくちゃいけない部分ですよね。迫力の部分でも、この体重で今の迫力だったらぜんぜん出せてないと思うんですよ。京子もたぶん同じぐらいの体重だと思うんだけど表し方だったりとか、ナックル(=向かい合ってのエルボー)のやり合いとかでも京子はボンボン入れてましたよね。入れ切れてないっていうのが問題だなと思って。すごく優しい部分が出てしまってるし、金網やったときの試合を見たらホントに別人ですよ。気迫がやっぱり今はないだろうなっていう…」。


 ━━減量指令について。
 伊藤「今まで柔道やってて、どっちかって言うと“増やせ”って言われるほうだったので。(プロレスを始めて)10年ぐらいから1年に2キロとか3キロとかずっと増えてきてるんで、真剣に減量とかなかったんで、いい機会だと思います。中野さんとの接点ってみんな“なんでだろう?”と思う部分もあると思うんですけど、いろんなところで厳しくもあり、いいアドバイスもしてもらったりホントにハッキリ言ってくれる先輩なんで。ブログでも書いたんですけど、中野さんの言ってるようになれなかったら(引退興行のリングに)上げてもらうつもりもまったくないんで。人間的にも尊敬してるので引退興行っていう1番の場所に自分もぜひ上がらせてもらいたいので、もうやるしかないと思ってるし、決心もしっかりついてるので」。


 ブル「もう本人の気持ちが決まったんだなっていうのがわかったんで、期待しますよね。明日はいけないんだけど定期的には試合に行きたいし、練習も一緒にできそうなので。いいライバルを見つけるとか、たまたまそういう人が現われるっていうのも運だったり実力だったりすると思うんですよ。たぶん今のディアナを見たら彼女の目標だったり気持ちの行き場っていうのは、誰に対して試合をするのかな? って考えるとすごく難しいと思う。団体としてやっていくってことを決めたんだったら違う方向でも、相手を通してお客さんと闘う方法を見つけなくちゃいけないと思うんですね。難しいんじゃないかと思うんですけど、それを考えるのも本人の努力というか今までやってきた経験があるので、そういうのはもう見出せると思うので。モチベーションを上げるために何をすべきか? っていうのもハッキリ決まってないと、ただ減量するとか、決められた相手と試合をするだけだと感情の部分とか出し切れないと思いますね。思想がしっかりしてないと。今回の減量を言っただけで、たぶん伊藤薫の中ですごく変わったものがいっぱいあったと思うんですね。今まで平坦にやってきた…団体としてはいろんなことがあったかもしれないですけど、試合のことは淡々とやってきた中に、自分のことを考えたのが久しぶりだったんじゃないかな。今の自分をどうすればいいのか? っていうのを考えたのが、ただ私が“減量20キロ”って言っただけですごく考えたと思うんです。これがすごく大事で、もっと早くそういうふうにならなくちゃいけないと思うけど、そのきっかけがなかったと思うから。そういう選手がいっぱいいると思うんですよ。伊藤には絶対できると思うし、言ったからには絶対に野放しにしないし、絶対逃げさせませんよ(笑)。自分の中ですごく大変になってくると思いますけど、それを絶対乗り越えてもらいたいし、そうじゃなかったらもうホントにリングに上がる意味がないですよね。これを乗り越えたらいろんなことが考えられて、ただ“試合が決まったからやります”だけじゃなくなると思うんですね。やっと伊藤薫って存在感が出て、たぶん初めてトップになるんじゃないかな。伊藤道場ではトップでありトップじゃなかったと私はまだ思ってるんですね。このディアナでトップになるんじゃないかと、そう願いたいです」。


 ━━今の言葉を聞いて。
 伊藤「正直、減量するのは引退するときだと思ってたんですよ。いろんなことがあって、このまんまやってていいのかな? って。次から次に問題が起きて、いろいろそういうふうに考えたとき、このまま辞めるよりも痩せるときが辞めるときと思ってた部分がすごくあって。だけど、こうやって中野さんに厳しく言われて、そこじゃないんだなっていう。もう1回体重を落として“あの頃が良かった”って思えるときに戻って、もうひと踏ん張りしてから。ずるずる辞めていくほうを探すんじゃなくて、また新たに道を作ってもらったのかな」。


 ━━23周年を迎えて減量以外のモチベーションは後輩を育てること?
 伊藤「そういうふうに自然になってきちゃって。でも、さっき中野さんが水波選手のことを言いましたけど(5月の)川崎で水波選手とやってるんですよ。変則のルールだったんですけど、自分でも久々に若い子としっかりやったなみたいな感じがして、次の日水波選手からメールがきたんですよ。“今まで悩んでて昨日伊藤さんと試合をやって吹っ切れました”って。そのときになんか、これぐらいガンガンきてくれる後輩もいるんだなって。自分はずっと追いかけるほうでやってきたんで、自分を本気にさせてくれる、気持ちを変えてくれた後輩もいたりして…。昨日の今日で今すぐどうなるっていうのはないし、だけど3ヶ月って期間があるんで真剣にやっていこうかなって。全女のときは試合と練習だけに集中して、いろんなことがあったけど恵まれてたんだなって思うんですけど、今はそうじゃなくて毎回練習やるところが変わったり、今日は使えない、明日は使えるとかなったり、そういう面でも自分のモチベーションを保つのはすごく難しくて。だけど、それも全部自分の中で昨日の時点で吹っ切れたっていうか、先のことを見てるので。今は何を言ってもどうしようもないので、やるしかない」。


 ブル「25歳定年制っていうのがあったときに崩したんですよ。それのツケを最後課せられたとすごく感じてて、25歳定年制をなくしたあとに私がやったことはアメリカに行くとか、メキシコとかいろいろあって、そこにいられるんだけども違う道を自分で探していかなければ、ただ年数があるから居てはいけないということを言いたかったんです。全女もなくなってしまって、今は何年でも自分でやれるようになってるんですけど、その中でやっぱりレスラーとしての年輪がないんだったら、ただリングに上がってるだけではダメだっていうことを。たまたま伊藤のことがあったんで、いろいろ振り返ることもあったんだけども…ただやってる選手に対しての1番の見せしめになったかな。これで伊藤が変わってくれて、何度でも生まれ変われるっていうことを照明してほしいと思ってます。私の思い、私が託していることを実証してくれたらホントにいいと思ってます」。


 ━━伊藤以外の選手にも厳しく喝を入れる可能性も?
 ブル「そうですね。1番目に付いたのはやっぱり伊藤だったので。(引退興行に出る)メンバーは決まってるんですけど、その選手がホントに大丈夫か? っていう部分で見に行ったりすると思うんですね。そのときに…そういう可能性はありますね。元・全女の選手に限らずですね。上がってくれる選手がみんな“上がってよかった”と。これを機会に何か違うことができるねっていう場になれば1番いいと思ってます」。