『VS』 矢口敦子 | 鈴と空のブログ

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読んだ本の紹介を簡単に。
あとは気になる人やニュースなんかについて思ったことを書こうかなと。
たまに真面目なことをかいたりもするかも。

VS/矢口 敦子
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かつて売買されたひとつの卵子が、16年後、殺人鬼に成長していた。
凄惨な現場に残された「VS」の文字に秘められた謎とは?

一家4人惨殺事件の嫌疑をかけられた少年が自殺した。
少年の「二人の母親」は真相を探るうちに、彼の魂の叫びに辿り着く……。
「親子の絆」とは、「生命」とはを問う、
前作『償い』で絶賛をあびた著者の感動のミステリ長編。

遺伝子上の母 vs 育ての母――
どちらの愛が強いのか?

過去に金のために卵子を売った木綿子と、
不妊に悩みその卵子を買った絹恵。
二人の「子供」である16歳の少年・恵哉が、
一家4人惨殺事件を起こし、自殺したときに彼女たちは出会ってしまった。
「息子」の無実を信じる木綿子は、探偵をやとって真犯人探しに乗り出すが、
「母親」である絹恵は、息子の無実に懐疑的だった……。
――――― 帯より


個人的評価 : ★★★☆☆


「VS」の意味はとても印象的。


遺伝子上の母親・木綿子 vs 育ての母親・絹恵、
の「VS」という面もあるんだろうけど、
それよりも殺人現場に残されたものや
恵哉が自室に残していた「VS」の意味が。


今となってはさほど目新しい手法でもないんだけど、
彼がそんなことを思うまでの悩みやら辛さやらを思うと。


その点に関しては確かに印象的だったんだけど、
それ以外がどうにもな……。
引っかかっちゃって、気に入らなくて。


楽しめなかった一番の原因は恐らく木綿子だろうな、と思う。
考えることも言うことも、一々イラつく。
それが「狂気」に拠るものだと思えれば面白かったのかもしれないけど、
「狂気」と言うよりもただの「傍若無人」としか思えなくて。


惨殺事件の真相も、それ以上にその動機になった出来事も、

何だか納得できないというか……。
ああいった事情があるのは仕方ないし、
そのために決断を迫られることがあるというのも分かる。

それは分かるんだけど、何でそういうことになってしまうのだ?と。
他にもっと取れる手段があったろうに、なんて。


最後まで読んでより強く残るのが
「面白かった」というよりも「わからん」だった。