- 第四の闇/香納 諒一
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インターネット心中、バラバラ殺人、公開された犯行声明。
そのただ一つの接点は――。
インターネット心中で妻の恭子を失い、ネット古本屋を営む「私」は、
心中事件を追っていた旧知のライター、小杉の切断死体を発見する。
恭子と運命を共にした女性の弟であるジローや、
渋谷のアウトサイダー仲間らと私は事件を探り始める。
小杉より前にも、ネット心中サイト主宰者などが
同様の殺され方をしていたことが判明。
事件が不可解な進展を見せ始めた折、
私のもとへ正体不明の人物から深夜に電話が入る。
電話の主は「過去に抱えている闇を理解しろ」と挑発、
その後も執拗に自己中心的な発言を繰り返した。
事件の闇はマスコミへの犯行声明をもって
公開殺人へと変貌を遂げ始め……。
現在進行形の猟奇的殺人があぶり出す、物悲しい過去の闇。
最終ページに刻印された驚愕と慟哭の真実。
――――― 帯より
個人的評価 : ★★★☆☆
「私」の最後の嘘は想像した通りではあったので驚きはしない。
この物語の結末としても、「そういうものか」と思いもする。
一番しっくり来る終わり方だろうな、と。
さらには「私」を特に好きだと思っていたわけでもない。
抱える事情やそれに由来する闇を考えるに、
どうしようもない駄目な人間だとは言わないけど、
物語の登場人物としてさほど惹かれる何かがあるわけでもないし。
なんだけど、ああいう結末は何だか残念なような、厭な感じがするような。
ネタバレ気味だと思うけど、再生の光が見えて欲しかったかな……、なんて。
仮にその(光の見える)結末だったとして、
納得できたかどうかと問われても微妙なところなんだけど。
ネット心中に集う人たちの心境だとか
それぞれ違う立場で遺された人たちの抱える闇だとか
犯行声明での言い分だとか
興味深い要素が色々とあるわりに手こずってしまった。
それは人が私にとって魅力的ではなかった、
というのが大きいのかな、やっぱり。