- 黒百合/多島 斗志之
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私も一彦もすぐに彼女を好きになった。
ふたり同時につまづき、
折り重なって転んでしまったような、そんな初恋だった。
一九五二年の夏休みのことだ。
遠い思い出だ。
驚愕の欠片はやがて、驚愕の絵を描き出す。
才人が行き着いた瞠目の地平。
繊細な技巧が駆使された、工芸品のように美しい傑作ミステリ。
――――― 帯より
「六甲山に小さな別荘があるんだ。
下の街とは気温が八度も違うから涼しく過ごせるよ。
きみと同い年のひとり息子がいるので、
きっといい遊び相手になる。一彦という名前だ」
父の古い友人である浅木さんに招かれた私は、
別荘に到着した翌日、一彦とともに向かったヒョウタン池で
「この地の精」と名乗る少女に出会う。
夏休みの宿題、ハイキング、次第に育まれる淡い恋、そして死
―――一九五二年夏、六甲の避暑地で
かけがえのない時間を過ごす少年たちを瑞々しい筆致で描き、
文芸とミステリの融合を果たした傑作長編。
才人が到達した瞠目の地平。
――――― 表紙袖より
個人的評価 : ★★★☆☆
少々4つ寄りの3つ。
雰囲気はいいし美しいとも思う。
ただ、個人的な好みとはちょっと違ったかな。
“傑作ミステリ”なんて煽り方がどうなんだろう、
なんて思ってしまう。
確かに「おぉ」って思ったりもしたんだけど…。
ミステリとしてというよりも
3人の少年少女の淡い恋物語・青春物語として読んだ方が
もっと楽しめたんじゃないか、なんて。
多島さんが自殺をほのめかす手紙を残して失踪、
ってニュースを見てから早数日。
事情は色々とあるようだけど、自殺って結末は残念すぎる。
思いとどまっていてくれれば、と思う。