『わくらば日記』 朱川湊人 | 鈴と空のブログ

鈴と空のブログ

読んだ本の紹介を簡単に。
あとは気になる人やニュースなんかについて思ったことを書こうかなと。
たまに真面目なことをかいたりもするかも。

わくらば日記/朱川 湊人
¥1,470
Amazon.co.jp


姉さまの“あの力”は、人を救いもしましたが―――。


人や物の記憶が“見える”不思議な力を持つ少女が出会った、
五つの事件、様々な人々、
そして人なればこその、深い喜びと哀しみ。


気鋭の直木賞作家が、
ノスタルジーとともに現代人の忘れ物を届けます。


昭和三〇年代。
当時私は東京の下町で母さまと姉さまと三人、
貧しいながらも仲むつまじく過ごしておりました。
姉さまは、抜けるように色が白く病弱で、
私とは似ても似つかぬほど美しい人でしたが、
私たちは、それは仲の良い姉妹でした。
ただ、姉さまには普通の人とは違う力があったのです。
それは、人であれ、物であれ、
それらの記憶を読み取ってしまう力でした……。


小さな町を揺るがすひき逃げ事件、女子高生殺人事件、
知り合いの逮捕騒動……。
不思議な能力を持つ少女が浮かび上がらせる事件の真相や、
悲喜こもごもの人間模様。
現代人がいつの間にか忘れてしまった大切な何かが心に届く、
心温まる連作短編集。


懐かしくてやるせない、五つの物語。
――――― 帯より


個人的評価 : ★★★★☆


好きな雰囲気だったな。

5つと悩んだんだけど、続編への期待も込めて今回は4つで。


父親がまるで登場しない理由とか
姉さまがどうして亡くなったのかとか
気になることはたくさん残ったまま。
続編が早く読みたい。


姉さまが二十七歳で死んでしまうというのが
早い段階で書かれちゃってるので、
姉さまの人柄がわかるような部分を読むたびに
「こんなに優しくて強いい人が…」って哀しくなる。


素敵な家族だな、と。
家族だけじゃなくて町の人たちや刑事も。


人を救うために大変だとわかっていても「見」たり、
その辛い思いの後でも変わらず優しい姉さまはもちろん
厳しく叱るし手を出すこともあるんだけど
真っ直ぐで娘のことをすごく大切に想ってる母さまも。


最初はものすごく悪印象だった神楽刑事も、
実は熱くて結構いい人だったり。
口うるさいおばさんも愛情ゆえだったり。


そういう人たちが素敵なのも「好き」の大きな理由だな。