- 転生 (幻冬舎文庫)/貫井 徳郎
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夢の中の見知らぬ君に会いたい。
おれに心臓をくれたのは……。
心臓移植を受けた青年が見始めるおかしな夢。
タブーを犯しドナーを探す青年がつきとめた
最先端の恐るべき臓器移植の実態。
いま人類が踏み込んだ「生」の意味を問う書き下ろしミステリー。
――――― 1999年版 帯より
個人的評価 : ★★★★★
4つ寄りの5つ。
ちょっと甘めかもって気もするけど、なかなか面白かったので。
ここ最近、イマイチグッとこないのを
続けて読んでたせいもあるのかもしれないけど、高評価。
「ミステリー」ではあるけど、事件の謎解きというよりも
人間の記憶とかそれこそ“「生」の意味”ということでの方が面白い。
国家レベルの秘密組織にまで展開した割には
ちょっとあっさりめ?という印象も残るけど。
真崎教授があれで終わりってなんかもったいない気がする。
面白そうなキャラクターだったのに。
この人は他の作品にも登場したりしないのかな。
ネタバレにならないようにと思うと、
どこまで書いていいやら難しいんだけど、
「優先順位」っていうのもすごく興味深い問題だと思う。
ドナーが一人いるということは、心臓も肝臓もひとつしかない。
そういう考え方って今まで意識したことなかった。
適応具合、病状、登録期間、物理的な距離、などなど
もしもそういう条件が同じくらいの人が二人いた場合、
どちらをレシピエントとして選ぶのか。
私も随分前にドナーカードを書いて持ってるけど、
「自分にはもう必要なくなるものだから、
有効に使える人がいるならその人に使ってもらえばいい」
と思って書いたものだった。
「自分の臓器が誰(どんな人)を助けるのか」
なんてことは考えたことなかった。
「人の命に重いも軽いもない、みんな平等」って。
そうでなきゃならないと頭ではわかってても、
実際に自分が係わる場合、やっぱり優先順位を考えてしまう気がする。
自分がドナーである場合はもう自分では考えられないから、
自分が“ドナーの家族”になった場合。
お年寄りよりも若い人、普通の人よりも何かに秀でた人、……。
そんな風に思ってしまう気がする。