誰にでも人に言えない秘密はある。




女兄弟がいないためか、私にとって母は姉のような存在でもあり、何でも話せる間柄だ。
今まで話せないことなんてなかった。
そんな母にさえ言わず、私は行動に出た。


夏休み最後の日。
イラク入国。 


今までは、次に行く国を随時報告してきた。
トルコの次の国は、グルジアということになっていた。
どうせ行く前に言っても心配されるだけだし。
事後報告することにした。


イラクに入れると初めて聞いたのは、ケニアに居る時だった。
その時からずっと行きたいと思っていた。
でも、やっぱり今でも世の中を騒がせている「イラク」だから、一人で行くのは怖いし、不安。
でも、行きたくてずっと気持ちの端っこにひっかかっていた。

イラクと行っても、旅行者が自由旅行出来るのは北部のクルド人自治区。
クルド人というと日本ではよく暴動を起こしている荒い人種のように報道されているが、とても親切な人達だ。

イラクに行った人にいろいろと話は聞いたけれど、全て半年以上前の情報。
そういう地域の情勢は変わりやすい。
だからすごく迷った。


それでも、どうしても行きたかった。
ずっと心の隅に常にあった。
ここで行かないと後悔すると思った。


ディヤルバクルで「次にどこに行くの?」と現地人(たぶんクルド人)に聞かれた時、「イラク」って言うと、「Nice!!」と言われた。

最近の海外のニュースを調べ、イラクの事件、殺人などはほとんどが南部のバクダットで起きてるもので、クルド人自治区では起きていないことがわかった。
クルド人自治区でのトップニュースは2ヶ月前の火事しかなかった。


トルコのクルド人はすごく親切で、同じクルド人だったら大丈夫なんじゃないか。
クルド人に賭けてみる事にした。


それだけで、私はイラクに行く事を決めた。
行けると確信した。




それでもやっぱり怖かったし、不安だった。



イラク行きの基点の街へ移動する。
もうその時点でむっちゃ不安で、半分投げやり。
そこでイラクへ行くイラク人と会い、あっという間にイラク入国。
イラク側のイミグレはとても綺麗で、待ち時間に紅茶が振舞われた。
全ての手続きが済んだのが、夜の10時。
夜中に街中に放り出されるのだけは嫌だったので、初日から国境のベンチで野宿。
慣れたもんです。

りんどう烈火  ◇ 九州女児世界一周独り旅リアルタイムBLOG ◆-I2
イラク入国を待つ車の列。
皆、イラクへ行きたいんだ~!!?



イラクに入国して、目的地の街まで数時間の間に30箇所ぐらい検問があった。
これも今までで最多。
でも、旅行者には緩く、パスポートチェックは2回だけ。
街中にも兵士がうようよいる。

普通他の国で兵士にカメラなんて向けようもんなら、すごい剣幕で怒られる。
しかしここでは兵士とツーショットが撮れる。
世界中でここだけじゃね?

りんどう烈火  ◇ 九州女児世界一周独り旅リアルタイムBLOG ◆-I7
イケメン兵士とツーショット撮れて嬉しそうな中国人女



クルド人が親切なのはトルコのクルド人と接していた時点で知っていたけれど、イラクのクルド人は桁違いに親切。
たぶん、旅行者なんてめったに来ないから。

ちょっと話しただけで、友達とみなされ、それが食堂の兄ちゃんだと、毎食タダ
お金を払わせてくれない。
シャイ(紅茶)なんて金出して一回も飲んでない。
周りの誰かが出してくれる。


ここもイスラム教徒が多い。
ラマダン(イスラム教の断食月)だったので、日が出ている時は基本何も口にしたら駄目なのに、皆隠れてモロ食ってる。
入り口がカーテンで見えない店は飲食店で中でみんなモリモリ食ってる

いいのか?アッラー、きっと見とるで・・・。

でも、カーテンの外では、異教徒の私にでさえアイス売ってくれない(泣)
隠れて食ってるくせに・・・!!

りんどう烈火  ◇ 九州女児世界一周独り旅リアルタイムBLOG ◆-I7
この赤いカーテンの裏では断食なんて有り得ない世界が・・・。



公園でぼーってしていると、「一緒に写真撮ってくれ」と言われた。
それは旅行中よくあること。
でも、ここでは恐ろしいことになった。

最初は、個々が持っている携帯で交代でツーショット写真を撮られまくり、それがどんどんエスカレート。
その公園には家族連れなどを撮ってその写真を売りつけるカメラマンがうろうろしているのだが、そいつまで参入してきて、大量のイラク男子とツーショットを撮らされる私・・・。
調子に乗ったカメラマンは、「こっちの方がいいんじゃない?」と噴水前でポーズをとらせたり。
それをイラク男子達は喜んで買っていく。
カメラマン大儲けやん!!
ちょっとは私にも分け前をくれ!!


私はいつも日除けにノッポ帽を被っているのだが、途中からリクエストによりそれを脱いだ。
イスラム圏なので、女が髪を出す事が禁じられているイラク。
私が帽子を脱ぐと「お~!!」って声が上がった。
いちいち反応が面白い。

すると、ちょっと前に帽子の私と写真撮った男が帽子なしの方がよかったのか出来上がった写真を見せながら愚痴ってきた。
そんなん私に言われてもね~。
もう一回取り直すか?
金はお前持ちだぞ。


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クレーム写真 こっちがよかったんやて


40分ぐらいで50人ぐらいさばきました。
マジで分け前よこせ!!
ここまで芸能人並みに写真を撮られまくったのは初めてだった。
なかなか面白かった。
芸能人って大変なのね。

あまりに人が集まりすぎて、警察に「お前どっか行け」と追い払われた。
何で私?


有り得ない事が山盛りで、久しぶりに腹の底から笑った。
こういう爆発的なのは、アフリカに似ている。
そういう意味でも、刺激的で面白かった。
ここんとこ生ぬるい感じで旅していたから。


クルド人はずっと虐げられてきた人達だから、たまに暴動起こしたりして、それが変に日本では大きく取り上げられたりするけれど、でも、本当はすごく優しくて親切な人達。
私には彼等がなぜここまで親切なのかわからない。
どこの国とは言わないが、虐げられてきた人種は基本精神的に捻くれていて世界中の人から嫌われていたりするんだけど。
本当の事って、行ってみないとわからない。


無事にトルコに戻ってきて、内緒にしていた親に電話でさらっと報告。

「2日前イラクに行ってきた。」
どんだけ驚くかとちょっと楽しみだった。

すると、
「今、ホークスの試合のいい所やけん、切るばい」とさらっと言われ、電話切られました。

逆にこっちが驚いた。


野球馬鹿の父にとって、私の命なんてホークスの試合結果以下
子供が子供なら、親も親。
あれ?逆だっけ?


りんどう烈火  ◇ 九州女児世界一周独り旅リアルタイムBLOG ◆-I3
イラクシャイ(イラクの紅茶)は今んとこNO.1!!トルコ人買い占めてた。
イラクは思いの外、物に溢れていてビックリした。


りんどう烈火  ◇ 九州女児世界一周独り旅リアルタイムBLOG ◆-I8
アルビルの街は城壁ある街でとてもいい雰囲気の街。
しかし、城壁内は・・・見せられません。