諸事情により暫くPCからの更新が出来なくなるので、一旦の書き納めにちょっと面白いものを貼り付けておきます。

考察といった考察も出来ないかも知れませんが、題材としてはいいですよこれ。

恋する私の白(軍)馬の王子様(自重?何それ美味しいの)・そして建安文学の担い手である曹子桓様の処女作とも言われる賦なのです!

といっても現存する物の中で一番古いらしい・・というだけなので、実際にはもっと前に何か書かれているかも知れません。

22歳の頃の作品という事で、曹丕ならもっと若い頃から筆を取っていてもおかしくないと思うんですよねー。

魏書に、「年八歲、能屬文.有逸才、遂博貫古今經傳諸子百家之書」ってあるくらいだし。

8歳で諸子百家のもの網羅してたって人間ですか。

とはいえ、初期の作品には変わりないですし、ここで紹介した他の作品に比べてだいぶ作風が違って面白いです。



「述征賦」 曹子桓


建安之十三年

荊楚傲而弗臣

命元司以簡旅

予願奮武乎鄴

伐靈鼓之硼隠兮

建長旗之飄飄

耀甲之皓皖

馳萬騎之瀏瀏


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建安の十三年

荊楚傲りて臣とならず

元司に命じて以て旅を簡ばしむ

予は武を鄴に奮わんと願う

靈鼓の硼隠たるを伐ち

長き旗の飄飄たるを建て

甲の皓皖たるを耀かせ

萬騎の瀏瀏たるを馳す


後に「詩賦は麗しきを欲する」と言った曹丕ですが、その割には・・・と(笑)

最初の二行からわかるように、荊州を平定しに行った時に詠まれたようです。

お坊ちゃま育ちの曹丕ですが、ちゃんと自分でも戦います。

指揮は上手くないですが自分で戦うと強いです。

・・・戦の最中に賦なんて作ってる場合か?(笑)

と、色々言いたいところはありますが、私が曹丕の詩賦の魅力だと思っている「内側に向かう負のエネルギー」的なものが全く見受けられません。

若いからかも知れないけど。

戦に昂揚する若者の姿そのままですね。

あまりの変貌っぷりに、この後の彼に一体何が!?となりますが、三国志を読んだ方ならまぁ色々お察しできますよね。

後半はどちらかと言うと曹植の勇猛な類の詩に感じが似ている気がします。

君主となり急激に置かれる立場が変わった曹丕と、あくまで臣のままだった曹植。

その後のキャラクターこそ大きく違ったものの、公子として同じ立場であった若い頃は似た性格をしていたのかも知れないですね。