ネットを見ていると、

0か100か、

という考えの方が思いのほか多く、

私の他の記事を極端にとらえられている方が散見されるため、

私の考えをここで整理しておきたいと思います。




まず、

私はこの都条例改正案に反対の立場です。




その理由は、

表現の自由を不当に制限する条文だから。


ということです。




表現の自由は聞きあきていると思うのですが、

もう少し詳しく。




1.規制の範囲が広すぎる。


私は基本的には規制は一切あるべきではない、

と考えています。


でも、

それは現実的ではありませんし、

不本意ではありますが、

規制を進めようとする中でも一部の方とは、

妥協する必要があると思っています。

(落とし所というやつです)


そのため、

現行の都条例を撤廃しろとまで言うつもりはありません。



しかしながら、

今回の都条例改正案は、


もともと広く規制することが可能な旧条例の文言を広げたものだから、

なんでも規制対象とすることが可能な文言です。


源氏物語だって規制できちゃう



よって、

今回の都条例の文言には絶対に反対です。


都は「過激な性描写を取り締まる」と言っています。



それであれば、

旧条文の文言で十分でしたし、

仮に多少拡大するとしても、


「過激な性描写だけを」取り締まる文言とするべきでした。


また、

法律と言うのは、

言葉で定める以上、

どうしてもグレーな部分が存在します。


そのこと自体は否定するものではありませんが、

グレーの部分についてもある程度外延をはっきりしてもらう必要があります。


そうでなければ、

過剰な委縮が起きるためです。




2.あいまいな条文


過剰な委縮

と書きました。


外延をはっきりしないため、

(わざとだと思いますが)

東京都は本来規制する権利がない範囲まで、

表現を規制することができます。


これは非常に大きな問題をはらんでいます。


くわしくはこちら。

都条例の問題点(広すぎる規制範囲)




3.わいせつ規制から内容規制への転換


改正案は、

猥褻規制ではなく、

内容規制です。


これは、

表現規制として非常に問題があると、

憲法学界ではとらえられている規制形態です。


東京都や規制派は、

岐阜の事件に関する最高裁判例をもって、


「条例は憲法に違反しない」


と言いますが、

岐阜の事件は「猥褻規制」に関する判例です。


判例には適用することができる範囲(射程、又はscopeといいます)

があります。


猥褻規制に関する判例である岐阜の判例は、

「モラル規制」に転換した本改正案にまで、

安易に適用していいものではありません。



モラル規制がなぜいけないのかはこちら。

都条例の問題点(モラル規制)




4.まとめ


上記のとおり、

表現の自由を侵害する条例には反対です。



でも、

一部で誤解があるようですが、

私は「今すぐこんなに拡大解釈された運用が行われる」とは言いません。


また、

これだけ取り締まれる条例だから、

出版社は委縮しないとあぶない、

というつもりもありません。



これは誤解です。



私はただ、

言論統制が生み出す不幸な時代へのレールをひきたくないのです。



そんな時代を生み出すことができる条例を、

あなたたち青少年に残したくないのです。



そのためにも、

出版社には委縮せずにがんばってほしいです。



現在の文言だけを見れば、

ほとんどの作品は規制対象となります。



現在は、

運用でそれをセーブしている状態です。



日本が、

健全に機能している間は、

それでもいいでしょう。



でも、

現在の法システムの原則論は、

健全に機能しなくなった時代の反省を踏まえて作られたものです。



その教訓を、

安易に無視してはいけない。

というのが私の思いです。



将来、

国が狂いだしたときに、

この条例が国民を苦しめるために使われることが、

私は一番怖いのです。




繰り返しになりますが、

私は「ワンピースが規制されるから条例に反対して!」なんて、

極端な事をいうつもりはありません。




「ワンピースさえ規制できるような条例は怖くないですか?」


「そんな条例の存在を許していいんですか?」




と言いたいのです。


法律は、

本来そんな軽々しいものではないのです。



最初に書いたとおり、

条例そのものを撤廃しろとまではいいません。


でも改正するのであれば、

もう少しきちんとした文言で、

憲法学者や出版業界の意見を上手に取り込んだ、


抑制された文言で立法していただきたい、


だから改正案には反対、


というのが私の立場です。






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