初航海(函館ー小樽) | RikiStyle

初航海(函館ー小樽)

そうしていよいよ15日

朝4時起きで準備し

5時すぎに出航。

 

ヨットを軸にした

生活がしたいと思って3年。

ヨットを手に入れて1年半。

修理・修繕を繰り返し

まだ水漏れ箇所もありますし

ここをもっとこうしたい。

なんて思いもたくさんあり

”完成”とは言えませんが

 

いや、ヨットに完成なんて

ないのかもしれない。

 

とさえ思うほどですが

それでもようやく

ようやくこの日を迎えました。

 

まぁ、いちど

僕のこの船は

小樽から函館まで運んだので

この船にとっての初航海ではないですが

そのときは

僕は操船のお手伝いをする程度で

ほぼ何一つ自分で判断はしていなかった。

 

しかし今回はようやく

自分の判断で

自分の責任において

自分の船を操船し

自分でセットした目的地に向かう。

という段階に。

 

正直ドキドキです。

 

この日は流れの強い津軽海峡を

日本海側に出るというミッション。

多くの場合

風と潮が向かいから来て

船の前進を阻まれる海域。

いきなり難しめ。

タイミングが重要で

この日は風もほとんどなく

潮の流れもかなり弱まる日。

なので、この日に出たかった。

その後の行程日数と天気を見ても

この日しかない。

 

ってことで風もないので

この日はほぼセールは使わず

エンジンのみの機走です。

 

4時間ほど走ったところで

イルカの姿を見かけた。

 

あー!

なんて騒いでしばらくしたら

船のすぐ近いところに現れた!

 

そして船の周りで遊ぶように

並走してくれる。

カマイルカだった。

 

船首のところで

海の中から

僕たちの顔を覗き込むように

横になってこちらを見て

あっち行ったりこっち行ったり

飛び跳ねたり。

 

その場所では

思いっきり向かい潮で

3ノットをきってしまっていて

本当は進路を少し

岸に近づけたかったのだが

彼らとの時間が素晴らしすぎて

そのまま走り続けた。

 

約2時間くらいだっただろうか

こちらが危害を加えないことを理解すると

彼らはどんどんこっち近くで

より我々を意識してダンスをしてくれた。

 

風もないことで

水面はガラスのように透き通り

その姿がくっきりと浮かび上がり

透明度が高いので

イルカがまるで

空を飛んでいるのかと思うほどだった。

 

イルカと一緒に並走する。

それはまさに

僕が自分のヨットで

体験してみたいことの一つで

その一つが初日に叶った

夢のような時間だった。

 

 

その後さらに7時間ほど走った頃

ちょうど日本海へと抜ける

松前灯台あたりで

思いっきり向かい潮。

全く船が進まない時間帯があり

向かい風もあったので

その風を利用して抜けようとしたが

それもうまくいかず

ヒヤヒヤとした。。。

 

それでもなんとか乗り切り

夕陽を横目に

この日定めたの目的の港へ。

 

到着した時には

もう暗くなりかけていた。

 

漁港の入り口に

漁り火を灯した漁船があり

僕たちのヨットが入るのを見て

仲間に連絡が入ったようで

地元漁師の方が

停泊させる場所の指示と

舫を取るために

駆けつけてきてくれた。

 

着岸はイマイチうまくいかなかったが

それでもまぁ、とにかく着岸し

あらかじめ営業時間を

電話で確認していた

ガソリンスタンドに

空になったタンクを2本持って

燃料を確保する。

 

夕飯を食ってシャワー浴びて

即就寝。

 

約14時間

50マイル程度の航海。

 

 

16日

夜間に強風が吹き荒れる。

朝も少し残る予報だったので

この日は前日よりも1時間遅く

5時に起き6時前に出発。

出発早々から

カマイルカの群れが遊びに来てくれた。

 

その後

わりといい風が吹いてくれ

機帆走

時にはエンジンもとめて帆走のみでも

走ることができ

いい時で7ノットほど出た。

 

そんな感じで

全体的に割といい風を使うことができ

 

17時過ぎには瀬棚港に入港。

 

ネットの情報で

確認していた場所につけ

歩いて温泉に。

 

そして地元のお店を探して入る。

 

ほとんどどこも開いてなくって

唯一見つけた

”ど”ローカルなお店に入って

夕食&乾杯。

 

歩いて船に戻り、就寝。

 

約12時間

63マイル程度の航海。

 

17日

夜間、雨風強かった。

4時半起きで北上開始。

 

朝のうちは風が少し残り

いい感じでセーリングもでき

しばらく行くと

イルカちゃんたちもよってきてくれて

いいスタート。

 

その先、寿都にある弁慶岬は

風が吹くことで有名。

松前で出会った漁師さんも

「弁慶岬だけは気をつけろ」

と言っていた。

 

いくつかのアプリで予報を確認しても

悪くない状況だし

朝から海の気象通報を確認するも

弁慶岬で5mとのことだったし

楽勝だろう。と

その岬に近づいた。

 

近づくにつれて

ちょうどいい感じの風も吹き始め

こりゃ調子いいぞ。と

メインもジブもフルセールで

その岬の前を通過。

 

これはこのまま

いい感じでいけるんじゃないかな。

と期待。

 

でも地形から見て

この先からが

一番注意が必要。

気を抜かないようにしておかないと

と、話をしたその直後から

風強まり、波もバシャバシャ

雨も強めに降り出して

一気に荒れ模様に。。。

海況の急変に

それまでのお気楽ムードから

一気に窮地に立たされた感覚で

必死でした。。。

 

セールの面積を小さくし

風を逃すように走り

どれくらい格闘したのか。。。

なんとか乗り切った。。。

怖かった。。。

 

山での怖い状況って

自分の判断で

その中でできることを探せるし

避けることもできるし

待機することもできるし

引き返すこともできる。

 

でも海ってその場で

そんな状況に出会うと

その中でできる最善な状況を保って

あとは祈るしかない。。。

頼む。乗り切ってくれ。。。って。

 

でもまぁなんとか乗り切れて

その後は穏やかな海を越え

 

16時頃、クタクタな状態で

 

この日の目的地神恵内に。

 

漁師さんに声をかけ

役場で停泊許可をもらい

小さな商店でお惣菜を買い

タンク2本分の燃料を買い足し

船に戻って夕食。

シャワーを浴びて

疲れ果て、即就寝。

 

 

18日

4時起きで海峡を確認する。

この日の危険箇所

積丹半島の回り込みで通過する

神威岬の情報では風速10m。。。

え。無理でしょ。。。

 

他のアプリではとっても穏やかな

いい状況を示しているのに

実況で10mとは。。。

 

20日まで日程的な

ゆとりを持たせていたものの

翌19日も翌々日の20日も

強風で動けそうもない。

そうなると

予報を信じて

とにかく船を進めてみるしかない。

ダメなら最悪はその手前の漁港に

逃げ込むとして

海況の確認を続けながら進め

その場所に近づく2時間後頃に

改善されていることを祈るしかない。

霧も濃い。。。

 

と、近づくにつれ霧も晴れ

 

徐々に風は弱まった情報が入ってきて

そのまま岬を回り込むことができた。

よかった。。。

前日に海の怖さを思い知らされたので

ヒヤヒヤしたよ。。。

 

むしろとっても穏やかで

拍子抜けするくらいでした。

 

積丹半島を回り込み

静かな海を

微風の追い風をもらいながら進む。

 

するとまたイルカたちが姿を現した。

しかも見てると

あっちにも!こっちにも!

いや、あっちの方にも

あの奥にも!と

気がつけば見渡せる限りの海を

無数のイルカの大群が埋め尽くし

とても雄大で壮大な体験でした。

 

そこから霧はまた濃くなり

岸の見えない

真っ白で静かな海を進み

途中では海に浮かぶアザラシの

すぐ脇を通り過ぎ

 

今回のゴールである

小樽に近づくにつれ

イワシの死骸がたくさん流れて

それにより海の色も濁り

ところによってはイワシ臭く

 

雨によるものであろう

流木を避けながら

15時頃には

なんとか無事に小樽港に入港。

ホッとした。。。

 

友人には同乗して貰ったが

全ては自分の判断で操船し

4日間の回航を

無事達成することができたことは

少なからず自信にもつながった。

危険を感じる経験を得たことで

今後、より慎重にもなれるだろう。

 

この先、利尻島までは

あと2〜3日間もあれば

たどり着けるだろう。

 

ここから僕は一旦本州に戻り

出稼ぎをしなければいけないので

この海の旅の続きは

4月30日以降になってしまう。

 

利尻では

雪が急速に溶けている

という情報なので

辿り着けたところで

元々の目的であるスキーは

できるだろうか。


芯まで蓄積した疲れを感じながら

4日間僕をここまで

つれてきてくれた僕の船を

しっかり洗ってやり

エンジンの冷却のための

海水の吸い上げが

うまくいってなかったのを改善し

不要な荷物を運び出した。

 

同乗してくれた友人と

温泉の銭湯に行って

 

焼肉で軽く打ち上げをして

 

お世話になっている

ヨット会社の持つ

事務所に泊まらせていただく。

深く、泥のように眠りの底へ。