ストロベリーショートケーキ | by 行正り香

ストロベリーショートケーキ

昔書いたお菓子本、「そうだ、お菓子を作ろう」を見ていたら

二女さくらが割り込んできて

「ストロベリーショートケーキを焼こうよ」ということになりました。

こちら、デコレーションはかりんです。


by 行正り香

いろんなケーキ台を実験しましたが、

30台めくらいに、やっと満足できたのが、

こちらの配合です。

ポイントは冷やした卵白とグラニュー糖をミキサーで13分泡立てること。

小麦粉以下はちゃんと混ぜておくこと。

あとはそれを卵白に混ぜ込んで150度で50分焼く、という手法です。


卵白4

グラニュー糖1/2カップ


小麦粉3/4カップ

ベーキングパウダー大さじ1/2(小麦粉といっしょにふるっておく)

卵黄3

牛乳大さじ5

植物油大さじ3


変わった配合なので、「まずいのでは」と心配されますが

化学の実験なみに、いろいろ調整してみた結果です。

お菓子作りは、本当に化学の実験と同じで、

条件を一つかえると、すべての状態が変わります。

というわけで、毎晩2台ほど作ったのですが、

最後に行きついたのは、シフォンケーキとスポンジケーキを組み合わせたような

オリジナル配合です。


こんなの普通のスポンジじゃないし、おかしい、と

よく言われたりしますが

確実に膨らむ、きめが細かくしっとりしていて、

私が大好きなオークラのスポンジケーキレベルまで達することができる

スポンジです(笑)。

あわだて13分もやりすぎ、グラムではからないと、できないはず、と言われますが

作った方には、とてもおいしいとほめられます。

なので、まずは何一つアレンジせずに、このままの配合で作っていただきたいです。

量りも使う必要はありません。


人から「それはふつうじゃない。それは絶対に失敗するよ」と言われても

「ほんとうに、そうかな?」と、こっそりその道を歩いてみて

「ああ、本当にそうだったな」と納得して道を引きかえすほうが好きです。

頭の悪いやり方だな、時間がかかるやりかただな、

と自分でも可笑しくなって笑うときがありますが

でも、もしかしたら「この道の先は、絶対に行き止まりです」と言われている先に

茨に隠れた、すばらしいカントリーロードがあるかもしれない。


だから、子供たちにも「それは無理」とは言わないようにしようと思います。

「やりたい」と言われたら、やってごらん、みてごらん。

「がんばったけど、だめだった」と言われたら、

やってみてだめなことが分かって、よかったね、さぁ、ネクストだ!と言いたいな、と思います。


普通じゃないけど、普通よりおいしければずっといい。

みんなと同じじゃないけど、みんなよりハッピーなら、ずっといい。

「だめ、むり」のアドバイスを投げかけてくれる人には感謝しつつ

本当にだめかどうかは、自分で確かめてほしいな、と思います。

たくさんのトライ&エラーをして、

one and onlyの道を見つけてほしいな、と思います。





朝、こっそり早起きして、

コーヒーを入れて、残ったケーキを食べてしまいました。

すまん。かりん、さくら。

おいしいものは、隠れて食べるとなお、おいしい。


ケーキをヒミツで食べ終わってほっとして、

二杯目のコーヒーと、弥生さんのCDから「もうひとりの私」の歌声。

ここちよい声に、ほっとする朝です。