「黒髪」の本当の意味 | 地唄舞 吉村ゆかり 粋・はんなり日記

「黒髪」の本当の意味

「黒髪の むすぼれたる 思ひをば 解けて寝た夜の 枕こそ ひとり寝る夜の 仇枕 袖は片敷く つまじゃといふて 愚痴な女の心と知らで しんと更けたる 鐘の声 夕べの夢の 今朝さめて ゆかし 懐かし やるせなや 積もるとしらで 積もる白雪」

上記は、艶物の代表曲「黒髪」の歌詞。

地唄と長唄にそれぞれ「黒髪」があり、歌詞はほぼ同じです。

地唄では一般に、恋しい人に捨てられた女の淋しさを唄っているとされていますが、調べてみると、この「黒髪」には悲痛な物語があることがわかりました。

もともと、この「黒髪」は、「大商蛭小島」(おおあきないひるがこじま)と称する芝居の中で使われていたのだそうです。

この「大商蛭小島」という芝居は、曾我狂言の発端に該当する曾我兄弟の父の河津三郎の最後から、源頼朝が源氏再興の院宣を受けて旗上げをするまでの芝居で、

この芝居の「正木幸左衛門内奥座敷の場」で、伊東祐親の息女の辰姫が、源氏再興を志す頼朝のために己の恋を諦めて、北条時政の息女の政子に頼朝の妻の座を譲り、

頼朝と政子を二階の寝間で新枕につかせたのち、自分は鏡台に向って髪を梳き始めますが、

やはり嫉妬の思いにかられて身も心も燃え、気もそぞろに狂わしく悶えるのです。

この場面で、「黒髪」が使われたのが始まりとされています。

地唄では、雪の積もる静かな夜、片袖を夫に見立てて独り淋しく寝るやるせない女の想いを唄ったものですが、好きな男が他の女と新枕を交わしている側で、激しい嫉妬に苦しみ、悶えながら髪を梳いている、そういう場面で使われたことが始まりだった、と知ると「黒髪」への想いも切なさが増します。

いつの日か女性の嫉妬、狂おしいまでの情念を内に秘め、哀しみ、憂いを湛えた「黒髪」を舞えるようになりたい、と思います。





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