青山娼館 小池 真理子 (著) | [ridiaの書評]こんな本を読んだ。[読書感想文]

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小池真理子の描く世界には濃密な香りがある。


その香気は愛から放たれる。


性愛が花のおしべめしべの受粉に喩えられる様に、小池真理子の描く愛には花の香りがする。








タイトルは青山娼館


タイトルにあるとおり、舞台は娼館。


主人公は娼婦だがそこのところはあまり本筋に関係がない。




愛を自分のものにできないひと(登場人物すべて)が愛の幻想を追う話し。




主人公の奈月は愛に恵まれない。




父はなく、母は男狂いで子どもに無関心。長じても恋人には身体だけを求められるばかり。誰からも愛された実感が無い奈月は愛の依存先として私生児の娘(舞)を産む。




甞めるように可愛がっていた娘だが、事故で亡くしてしまう。


そのうえ唯一の心のよりどころであったたったひとりの親友(真木子)も自殺してしまう。




奈月は大切であればあるほどなくすとつらい人との情愛を結ぶことより、心とは無関係にある人肌のぬくもりに救いを求めて娼婦になる。




娼婦になったきっかけはマッサージされたことである。


全身の凝りがひどくて揉んでもらった、その手のぬくもりに癒されたのがきっかけ。


それなら娼婦じゃなく按摩さんでも構わないんじゃないかと思った。




なんで娼婦?




そのあたりはまったく掘り下げていないし娼館でのあれこれも単に非日常の舞台設定として用意されたように思えた。(ちなみにマダムの過去話は蛇足だと思う。あれは秘密にしておいた方がマダムの神秘性が保たれた。)




娼館は川端(亡き親友の恋人)との不思議な関係を成立させるための装置だったのだろう。




この物語に登場する人はみな愛を求めている。


でも、誰も与えようとしていない。


だから愛は蜃気楼のように手の届かない幻想として語られるだけだ。




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Post DATE: 2009/12/02

価格:¥ 620

発売日:2009-02-25

生きつづけることの壮絶さ

タイトル負けです!

愛の幻想に固執する著者の執念がわからない

小池さんがこういうテーマで書くなら・・・




「恋は御法度よ」会員制娼館のマダム塔子は言った。娘と親友を亡くす不幸のどん底から、高級娼婦という仕事に行き着いた奈月(32)。青山に佇むその旧い館には、白檀の香りと真に拮抗する男女の関係があった。身体をぶつけ合い、生の実感を取り戻す奈月は、やがてマダム塔子の過去を知ることになる―。怒りと悲しみに満ちた人生が交錯し、身体から再生していく日日を描いた全く新しい衝撃作。