読み始めてしばらくして、表紙カバーの著者略歴を見た。
久坂部 羊
大阪府生まれ。大阪大学医学部卒業。医師。2003年、『廃用身
』で作家デビュー
・・・医師。
・・・まさかね?
まさか、まさかと思いながら、それでも第3章くらいまで半信半疑で読んでいました。
つまり、これはノンフィクションじゃないか?と。
あるいは実話を基にした創作かもしれない・・・と。
読了した今、思う。
やはりこれは実話を基にしたフィクションになるのかもしれない、と。
良質な創作がときに未来を予言し、現実を捕まえるように。
廃用身とは、脳梗塞などの麻痺で動かず回復しない手足をいう。神戸で老人医療にあたる医師漆原は、心身の不自由な患者の画期的療法を思いつく。それは廃用身の切断だった。患者の同意の下、次々に実践する漆原を、やがてマスコミがかぎつけ悪魔の医師として告発していく―。『破裂』の久坂部羊の、これ以上ない衝撃的かつ鮮烈な小説デビュー作。